体育授業のちょっとしたコツ(5)
比較的教職経験の浅い先生に知っておいて欲しい、体育授業のちょっとしたコツについて紹介します。このシリーズ5回目の今回は、自分の授業を振り返る手法についてです。
7月に書かせていただいた記事とも関連しています。これまでの記事もよろしければ、ご一読ください。
体育授業のちょっとしたコツ(1)、(2)、(3)、(4)
大阪市立堀江小学校 主幹教諭 (大阪教育大学大学院 教育学研究科 保健体育 修士課程 2年) 川村幸久
◆1時間の体育授業を観察する
まずは、1時間の授業をビデオに撮ってみよう
体育の授業の中では、「先生が指示している場面」「子供達が動いている場面」「子供たちが用具の準備をしたり、移動したりしている場面」等、様々な場面があると思います。それをあらかじめ類型化しておき、1時間の授業の中で時系列にどのようになっているのかを観察・記録する方法があります。自分の1時間の授業すべてをどのようなことをしているのかをはっきりさせて、授業改善に役立てるというものです。
これを高橋は、「授業場面の期間記録法」と呼び、授業場面を「マネジメント」「学習指導」「認知学習」「運動学習」の4つに区分して記録するようにしています。
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- マネジメント:クラス全体が移動、待機、班分け、用具の準備、休憩などの学習成果に直接つながらない活動に充てられている場面
- 学習指導:教師がクラス全体の子供に対して説明、演示、指示を与える場面。
- 認知学習:子供がグループで話し合ったり、学習カードに記入したりする場面。
- 運動学習:子供が準備運動、練習、ゲームを行う場面。
※引用文献:高橋健夫編著『体育授業を観察評価する』明和出版(2003)
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◆1時間の授業の中で、どの場面がどのくらいあるのがいいのでしょうか
各授業場面の時間量の配分は、単元過程(はじめ/なか/おわり)において、取り扱う教材によって、さらには対象となる学年によって変化することが予想できるでしょう。よって、「この配分がもっともよい授業である!」というような最適な数値があるわけではありません。しかし、運動学習が中心になる単元「なか」の授業では、運動学習時間が十分に確保され、マネジメントや教師の学習指導場面が少なるほうが望ましいという研究が数多くあります。特に研究者の間では、運動学習場面は最低50%以上を確保、マネジメント場面は20%をこえないようにするのが望ましいという意見が多いです。ご自身の授業場面の時間量の配分を見る時の参考にしてください。
◆ある先生の授業例から考えてみよう1
とある若手教員の例(若手教員)
表作成:川村幸久
◆ある先生の授業例から考えてみよう2
とある若手教員の例(中堅教員)
表作成:川村幸久
例で示した4つの授業場面の配分は、教職経験10年目~15年目までの先生の授業場面を表したものです(%で表しています)。
この数値を見ただけでは、一概に授業の良し悪しを測ることができませんが、参考までにどの授業場面の配分がいいのかは考えてみてください。自分の授業の様子を振り返る際の参考(の1つ)になると思います。ぜひ、一度試してみてください。

川村幸久(かわむら ゆきひさ)
大阪市立堀江小学校 主幹教諭
(大阪教育大学大学院 教育学研究科 保健体育 修士課程 2年)
教師生活15年目。これまでの担任・教務主任の経験、大学院での学びを省察し、学級経営やICT活用、体育科教育を中心に、皆様と情報共有をさせて頂ければと思います。
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