体育授業のちょっとしたコツ(1)
最近は、どの小学校においても比較的教職経験の浅い先生が増えているように思います。
昔は「この教科だったらこの先生に聞けばよい」というように、どの教科指導においても学校の中で学ぶ機会が多くありました。
体育授業においても同様に、これまでいわゆるベテランと呼ばれる先生から引き継がれてきた、子供達を指導する上で大切にしたいちょっとしたことが十分引き継がれていないよう感じます。
今回は、これまで私が体育授業を行う上で、意識していたちょっとした指導のコツを紹介します。
大阪市立堀江小学校 主幹教諭 (大阪教育大学大学院 教育学研究科 保健体育 修士課程 2年) 川村幸久
◆1日1回は全力で走る機会を
私が運動場で体育の授業を行う際に意識していたのは「全力で走る機会を45分の授業の中に組み込む」ことです。
先生がそのことを意識して授業を計画しないと、子供が1回も全力で走ることなく1週間を終えてしまうかもしれないからです。
授業の最初のウォーミングアップを済ませた後に、2人1組で体育倉庫まで走る競争するようにしていました。
そして体育倉庫の前に座り、その時間の体育の学習について説明します。
子供達の走る力をはじめ、体力向上は毎回の体育の時間のちょっとした工夫で大きく変わるのではないでしょうか。
子供達の体力向上は、一朝一夕にはいきません。
◆体育の授業は着替えから
体育の授業の始まりは、子供の着替えるところからです。
読んでいる先生はご自身の学級の子供達を思い浮かべてください。
着替えた後の服は、きちんと畳んで整理整とんできているでしょうか。
もしかすると「着替えた服くらい、いいじゃないか」と思う先生もいるかもしれません。
些細なことですが、服をきちんと畳んで整理整とんすることができないと、紛失トラブルが発生する原因となります。
「脱いだ服をきちんと畳む」という、いわゆる躾にあたる部分は、家庭教育の範疇かもしれませんが、学校でも指導する必要があるように思います。
細かい所にまで目を向けることが必要です。
そして、きちんとできている子を褒めて・認める学級経営を行いましょう。
◆説明は簡潔・明瞭に
多くの子供は「早く運動がしたい」と思っています。
先生が長々と授業の説明をしていると、子供達の運動する時間が短くなります。
そして、次第にその子供達の学習意欲が低下してきます。
年度当初や単元の始めは、約束づくりのため説明の場面が少しは多くなることがあるかもしれませんが、単元が進むにつれ「簡潔・明瞭に話をする」ことを意識して授業を行うことが大切です。
【例1時間目】
今日から跳び箱運動の学習を始めます。
準備の仕方を説明します。
1班は、この場所に4段の跳び箱を用意して……
準備が終ったら、この場に1班から順に‥‥
【例2時間目】
今日の跳び箱運動の学習は、これまでと同じ場所を準備します。
始めましょう。
◆授業の始めと終わりは、チャイムと同時に
授業の始めはまず、あいさつ・課題提示・学習の振り返り等のために全員を集めます。
集まる場所や隊形を毎時間変更していては、効率的に授業を行うことができません。
教室では、一人一人の座席が決まっているので、すぐに授業を開始することができます。
体育の授業でも同様に、いつも集合する場所と隊形を同じにするとよいでしょう。
また「終わりのチャイムが鳴ったら、すぐに授業を終える」ということも同じです。
「体育は子供も好きだからちょっとくらい」というのは間違えています。
どの授業でも、チャイムと同時に始めてチャイムと同時に終了することを心掛けないとけせん。

川村幸久(かわむら ゆきひさ)
大阪市立堀江小学校 主幹教諭
(大阪教育大学大学院 教育学研究科 保健体育 修士課程 2年)
教師生活15年目。これまでの担任・教務主任の経験、大学院での学びを省察し、学級経営やICT活用、体育科教育を中心に、皆様と情報共有をさせて頂ければと思います。
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