2025.08.08
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授業づくりの7ステップ~学習指導案づくりから研究授業まで

夏季休業中、学習指導案検討に取り組んでいる学校もあるかと思います。
授業を構想し実践することは、教師の仕事の中核です。
そこで、今回は「授業づくりの7ステップ」をまとめました。

姫路市立白鷺小中学校 主幹教諭 竹内 哲宏

授業づくりの7ステップ

①学習指導要領を読む

学習指導要領を見直すことで、何を教えるかがはっきりします。裏を返せば、子どもたちが学ぶべき内容が明確になるということです。指導書も参考になりますが、指導書自体が学習指導要領をもとに作られています。ですから、まずは学習指導要領を読むことが、授業をつくる第一歩です。

②教科書を分析する

教科書は各自治体の採択によって決められています。ややもすると、自分が勤務している自治体の教科書がすべてだと思いがちです。しかし、教科書を比較すると、単元の配列や扱われている資料、問いの立て方、授業の展開の仕方が異なることがわかります。複数の教科書を比較することは、授業づくりの参考になります。

③内容研究をする

研究授業をする内容については、最新の社会情勢を把握しておきます。例えば、前回紹介した「くらしをささえる水」でいうと、現在、陥没事故や水道管の老朽化、耐震化が問題になっています。また、姫路市では2025年4月から水道料金が値上げされました。最新の出来事を授業に取り入れることで、子どもたちが学びと社会事象をつなげやすくなります。

④先行実践を収集・分析する

書籍やインターネットで、同じ単元の先行実践を参考にします。優れた教育実践があるのに、それをマネしない手はありません。「まなぶ」は「まねる」ことから始まります。参考にした実践を、自分が目指すところやクラスの子どもたちに合わせることによって、オリジナルの実践に生まれ変わります。

⑤研究テーマとの整合性を確かめる

個人の研究ではなく学校の研究授業であれば、指定された研究テーマがあります。自分のやりたいことがそのテーマからズレていないかを確かめる必要があります。学校で共有している研究テーマに沿った授業を実践することで、一つの研究授業が全職員の学びにつながります。

⑥子どもの実態を把握する

授業づくりをしていると、「教え」から「学び」へ転換するときがやってきます。まずは、教師目線で「教える」内容を整理していきます。そこから、子どもが「学んで」いけるように学習活動をデザインしていきます。その際、目の前の子どもたちが、単元の内容についてどの程度の知識や関心があるのか、これまでの学習でどのような資質・能力を身につけてきたのかを整理することが必要です。そうすることで、教師が一方的に「教える」授業から、子どもたちが「学ぶ」授業への転換を図ることができます。

⑦さまざまな目で検討する

学習指導案を作成しているときは、できるだけさまざまな立場の人に見てもらい、意見をもらうことが大切です。その視点には【専門の目】【一般の目】【外部の目】の3つがあります。それぞれについて解説します。

【専門の目】
その教科を専門としている方の目です。授業の目標は教科内容として適切か、学習活動と子どもの思考の流れが合っているか、教師の発問や指示などについて、専門家として意見をもらいます。特に本校では、中学部に各教科の専門家が在籍しています。そのような先生方の目を通すことで、授業の骨格がしっかりとしてきます。

【一般の目】
その教科を専門としていない方の目です。一生懸命、授業を構想すればするほど、自分の世界に閉じこもりがちになります。そんなときに「これってどういう意味?」「何でこの活動をするの?」と素朴な質問を受けると、改めて自分がやろうとしていることの輪郭が明確になってきます。一般の目を通すことは、自分の中の当たり前を見直すことにつながります。

【外部の目】
自分の学校に属していない方の目です。大学の先生や他校の先生方が、これに当たります。自分や自校のことは、(良さも課題も)自分では気づきにくいものです。外部から指摘や、価値づけされることで自覚することがあります。外部の方に見てもらうことで、自分の研究の現在地を把握することができます。


教師の仕事の中核である授業づくり。夏季休業日は、授業づくりにかける時間を生みやすいです。今回紹介した7ステップを参考にしていただければ幸いです。いろいろな人を巻き込みながら授業づくりを進めることで、研究授業に関わるすべての人の授業力が向上できればと思います。

竹内 哲宏(たけうち てつひろ)

姫路市立白鷺小中学校 主幹教諭


世界遺産姫路城の目の前にある姫路市初の義務教育学校に勤めています。
資質・能力を育成するための授業づくりを中心に発信できればと考えています。

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