2018.07.16
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夏休み、体育授業力向上のために

いよいよ夏休みです。
1学期お疲れさまでした。
今、4月に思い描いた学級と7月の学級の様子はどうでしょうか。
夏休みは、2学期以降の行事の資料案件作成や指導案検討、水泳・陸上大会の練習や補講等、夏休みといえど
子供達に直接関わる取組や行事に向けての打ち合わせがあると思いますが、少し時間が取れる間に自身の教師力向上・授業力向上にも努めたいものです。
今回は、この夏休み自身の体育授業力向上のための手立てについてです。
どうぞよろしくお願いいたします。

大阪市立堀江小学校 主幹教諭   (大阪教育大学大学院 教育学研究科 保健体育 修士課程 2年) 川村幸久

◆体育授業力向上のために1◆

既存のチェックリストを活用して自身の授業を振り返る

まずはこのチェックリストを見てください。(1 - 2 - 3 - 4 - 5で評定)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
1.子どもが、意欲的に学習に取り組んでいた。
2.子どもの笑顔や拍手、歓声などがみられた。
3.子どもが、自ら進んで学習していた。
4.授業の場面展開が、スムーズに行われていた。
5.移動や待機の場面が少なかった。
6.授業の約束事が守られていた。
7.子どもが何を学習し、なにを身につけようとしているのかが、よくわかる授業であった。
8.子ども同士が積極的に教え合っていた。
9.子どもの上達していく姿が見られた。
10.先生は、ほめたり励ましたりする活動を積極的に行っていた。
11.先生は、心を込めて子どもに関わっていた。
12.先生は、適切な助言を積極的に与えていた。
13.学習成果を生み出すような運動(教材、場づくり、学習課題)が用紙されていた。
14.楽しく学習できるような運動(教材、場づくり、学習課題)が用意されていた。
15.学習資料(学習ノート、カード)が有効に活用されていた。
16.今日の授業は「よい体育授業」であった。
17.上記の項目以外で、あなたがとくに注意して観察していることがあれば、下に記入し、評価してください。

評定
1:まったくあてはまらない
2:あまりあてはまらない
3:どちらともいえない
4:よくあてはまる
5:たいへんよくあてはまる
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上記のチェックリストは、高橋ら2003が作成した「観察者による体育授業観察チェックリスト」です。
(体育授業を観察評価する 髙橋健夫編著 明和出版より引用)
本当は、授業を見ていただいた先生方が授業を評価するための質問項目ですが、この項目を知っていて授業を計画するのと、知らないで授業を計画するのでは、授業の良し悪しが大きく変わると思います。
この夏休み、自身の授業を振り返る視点として、一つは既存のチェックリストを活用するのもいいかもしれません。
1学期の自信の体育授業はどうだったのかを自分で1~16(17)の項目に沿って評価すれば、自分の授業に足りなかった点が出てくると思います。
2学期以降の体育授業を計画する際に役立つ授業改善のポイントが分かります。


余談になるかもしれませんが、私が体育授業で大切にしなくてはいけないなと考えている視点は、次の10点です。
データに基づいた客観的な評価項目ではありませんが、参考までに項目に照らし合わせて自身の授業を振り返ってみてください。
 □ 子供たちが意欲的に学習する授業になっているか
 □ 子供たちが新しい気づきや発見がある授業になっているか
 □ 子供たちが授業の約束を守って安全に学習できる授業になっているか
 □ 子供たちの笑顔・拍手・歓声が自然と出る授業になっているか
 □ 友達やクラスの仲がよくなる授業に
 □ 子供たちが何を学習するのかがわかる授業になっているか
 □ 子供たちが積極的に意見を交換したり教え合ったりする授業になっているか
 □ 子供たちが授業で学習したことを、休み時間や放課後もやってみようと思える授業になっているか
 □ 子供がもっと体育の学習がしたいと思う授業になっているか
 □ 子供たちが今までできなかったことができるようになる授業になっているか
まずは、自分にとってよい体育授業だなと思うイメージの合致する既存のチェックリストをさがしてみてください。

◆体育授業力向上のために2◆

研究会に参加しよう

自身の体育授業を振り返る視点の2つ目として、研究会に参加して他の先生方の実践を聞くということが有効だと思います。
他の先生方の授業実践の中から
 ・子供の様子
 ・先生の発問・声掛け
 ・授業展開
 ・掲示物
 ・先生の教材、運動の特性理解
 ・体育としての学びを深める視点
 ・教材 等
たくさんの発見があると思います。
他の先生の発表を聞いて、自身の1学期の体育授業はどうだったのかを振り返るというのも一つです。

私は毎年、この体育研究会に参加するようにしています。
http://sports.geocities.jp/zensyotai/home.htm(全国小学校体育研究連盟)
http://sports.geocities.jp/zensyotai/62youkou.PDF(今年度8月に実施される大会要項)
ぜひ、多くの先生方の実践を聞いて、自身の体育授業を振り返ってみてはどうでしょうか。

参加するよりは、少しハードルが上がるかもしれませんが、研究会の実践発表や実践論文の投稿にチャレンジするのも自分の授業を振り返る上で有効です。
まとめていくうちに、実践では見えない部分や足りないなと感じる部分が見えてきます。
まとめていくうちに、実践の良かったところも見えてきます。
そして、発表することで他の先生方から意見をいただくこともできます。
なかなか自分のやったことに対して、他の人から意見をもらう機会はありません。

体育授業力向上のために、研究会に参加するとともに、自分から積極的に発表や論文投稿をするのもいいですね。
(※教科書会社や出版社のHPを見ると研究会情報というのがたくさん掲載されています)

◆体育授業力向上のために3◆

諸々

この夏休み、体育授業力向上のための他の手立てとしては、
本やインターネットから情報を入手するというのもいいと思います。
子供たちに見せたい動きのポイントを示す動画や資料、私たち指導者が読んで教材の理解を深める書籍等がたくさんあります。
ここで具体的に本の紹介をしてしまうと、宣伝になるので割愛しますが、一度、体育授業力向上のためにこの夏研修を深めてください。

そこで得たことは、すべて子供たちにかえってきます。
では、充実した夏休みをお過ごしください…。

川村幸久(かわむら ゆきひさ)

大阪市立堀江小学校 主幹教諭
(大阪教育大学大学院 教育学研究科 保健体育 修士課程 2年)
教師生活15年目。これまでの担任・教務主任の経験、大学院での学びを省察し、学級経営やICT活用、体育科教育を中心に、皆様と情報共有をさせて頂ければと思います。

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