2025.08.23
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校内研究?【連載】学校パラレルワールド (2)

≪学校パラレルワールドとは?≫
現実の学校世界にいると、私には、正直、「なにやってんだか」とか「それちがうでしょう」と思うことばかり。
しまいには「これ、もうギャグじゃん」とさえ思うことさえある。
最初は、その心に溜まった疑問や不満を、この場を借りてぶちまけたいと思ったのですが、「そんな美しくないことをするより、わくわくするくらい理想的なパラレルワールドを描いたほうがいいんじゃないか」と思いつき、脳内にもう一つの学校を作って妄想を楽しむことにしました。

東京都内公立学校教諭 林 真未

「校内研究」から「授業改善」へ

毎日の授業と生活指導、校務分掌、突発的な案件でいっぱいの中、片手間にしかやれないものを「研究」と呼ぶことにずっと違和感があった。
「研究」っていう言葉は、寝食忘れて一生かけても成就するかしないか、っていうものじゃないですか?
そう思っているから、今、私たちがやっていることを「(校内)研究」って呼ぶことに、いまだ慣れない......。
あれはせいぜい、「授業改善」くらいの呼び方がちょうどいいんじゃないかい。
いや、呼び方を変えても、モノによっては、これって意味あるのかな......って思うこともあるよなあ(たまーに、たまにですよ!)。

というわけで、今回は「校内研究」、いや、「授業改善」の理想形を、あれこれ妄想してみました。

授業者は実力者

いつも授業を見たいと思っている、あの人の授業をガッツリ見られるのがうれしい。
以前は、経験の少ない人に授業をやらせて本人の成長につなげるという考えもあったらしいけど、それってどうなのかなあ。
経験が少ないからこそ、自分でやる前に良いものを見たほうが、成長につながると思うんだよね。

ベテランっていうだけじゃなくて、ちゃんと経験しながら授業改善を重ねてきた人たちには、それまで培った授業のノウハウがある。しかも、人によってそれぞれカラーが違うから、毎回収穫がある。
経験の浅い人も、自分が希望する前に授業をやらされていろいろ言われるより、良い授業を見て憧れて、「よし」と思って挑戦して評してもらうほうが、ずっと身になると思う。

講師がいないとのびのびやれる

年間で指導講師が決まっていて、その方のご指導の下で「校内研究」をすると、その講師の主張する型に合わせなくちゃいけないっていう、謎の縛りがあるように思う。
講師の型がなかったとしても、少なくとも、その人のお眼鏡にかなうかを意識して授業を作ってしまう。

講師だけじゃなくて、周りの先生方にツッこまれないように、という視点を発表学年が持っている様子も見たことがある。
そういうのが、今は全くないからすがすがしい。

残ってくれた子に最善の利益を

一部の先生たちで考えた授業を本番で披露して、事後の検討会で「ここをこうすればよかった」っていうパターンを、いつも見てきた。
そのたび、違うよなあって思ってた。

今は、授業前の時点でブラッシュアップするところはすべてし尽くして、必要なら、この時点で講師(授業の行き詰まっているところに、明確なヒントをくれるような人)にも来てもらって。

そうやって、教員全員が「ベストだね」って創り上げた授業を、“研究授業”を受けるために帰らずに残ってくれた子どもに提供する。
事後の検討は、事前に予想しきれなかったことについてだけ。
この形だと、授業全体の反省も、みんな自分事として考えられるから有意義なのだ。

子どもたちも、事後に検討事項が次々と出てくるような不完全な授業ではなく、たくさんの先生の知恵を絞った最善の授業を体験できる。
なによりそれがいちばんうれしい。
だって、子どもにいい授業をしてあげたくて、私たちは「授業改善」に取り組んでいるのだから。



妄想終わり(笑) 
現実に戻ろっと(悲)

林 真未(はやし まみ)

東京都内公立学校教諭
カナダライアソン大学認定ファミリーライフエデュケーター(家族支援職)
特定非営利活動法人手をつなご(子育て支援NPO)理事


家族(子育て)支援者と小学校教員をしています。両方の世界を知る身として、家族は学校を、学校は家族を、もっと理解しあえたらいい、と日々痛感しています。
著書『困ったらここへおいでよ。日常生活支援サポートハウスの奇跡』(東京シューレ出版)
『子どものやる気をどんどん引き出す!低学年担任のためのマジックフレーズ』(明治図書出版)
ブログ「家族支援と子育て支援」:https://flejapan.com/

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