2017.08.02
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22nd New Education Expo in 大阪&東京 現地ルポ(vol.6) 小学校段階におけるプログラミング教育と教材の在り方

22nd New Education Expo in 大阪&東京 現地ルポ(vol.6)

「New Education Expo 2017」が東京(東京ファッションタウンビル)で6月1日~3日の3日間、大阪(大阪マーチャンダイズ・マート)で6月16、17日の両日、開催された。6回目の現地ルポでは、2020年度より小学校で必修化されるプログラミング教育に関するセミナーを大阪会場から、展示ゾーンを東京会場からご紹介する。セミナーには、子どもが楽しみながらプログラミング的思考に触れられる話題の知育絵本シリーズ『ルビィのぼうけん』(翔泳社)の著者であるフィンランド出身のプログラマー、リンダ・リウカス氏と日本の教育者が登壇。その模様に加えて、リンダさんのミニインタビューもお届けする。展示ゾーンからは最新の小学校向けプログラミング教材についてリポートする。

子ども達の未来を作るプログラミング教育とは

子どもたちが活躍する未来のために!
~世界20カ国で刊行される『ルビィのぼうけん』の著者とプログラミング教育を考える~

Hello Ruby著者、Rails Girls共同設立者……リンダ・リウカス 氏
宮城教育大学 教育学部 准教授……安藤 明伸 氏
茨城大学教育学部附属小学校……清水 匠 氏
【モデレーター】武庫川女子大学 生活環境学部 生活環境学科 助教……白井 詩沙香 氏
【通訳】株式会社アトラクタ CEO……原田 騎郎 氏

[講演]創造的な技術教育(※原題「Creative technology education」)

プログラミング的思考が楽しく身につく「物語」と「体験」

Hello Ruby著者、Rails Girls共同設立者 リンダ・リウカス 氏

Hello Ruby著者、Rails Girls共同設立者 リンダ・リウカス 氏

いよいよ小学校での必修化が始まるプログラミング教育。特定のコーディング(プログラムの記述)を学ぶのではなく、意図する活動を実現するために必要なプログラムの作成を通して、試行錯誤しながら論理的に問題を解決していく「プログラミング的思考」を育むことを目的としている。これを教科や総合的な学習の時間の中で探究的な学習を通して学ぶ、というのが国の指針だが、「どのようにして教えればよいものか?」と頭を悩ませている先生方も少なくないだろう。そんな学校現場の戸惑いや疑問を払拭し、前向きにプログラミング教育に取り組む一助にしようというのが本セミナーの主旨。武庫川女子大学の生活環境学部で助教を務める白井詩沙香先生の進行により、まず、リンダ・リウカスさん(以下、リンダさん)が壇上に上がった。

リンダさんはフィンランド出身のプログラマー、イラストレーター、絵本作家で、若い女性にプログラミングを教える団体Rails Girlsの共同創立者としても活躍している。著書の絵本『ルビィのぼうけん こんにちは! プログラミング』(鳥井雪訳、翔泳社)は、好奇心旺盛な女の子ルビィの物語と、コンピューターを使わない「アンプラグド」なアクティビティ(練習問題)を通じて、子ども達がプログラミング的思考を学ぶことができるという画期的なもの。現在、日本を含む20か国で出版され、リンダさんによる小学生向けのワークショップが開催されると共に、絵本を学校の授業に活用する試みが広がっている。

子ども達にプログラミングの考え方を楽しく学ばせるために、「物語は最適な方法」であると語るリンダさん。さらに、「語学の習得に実際のコミュニケーションが効果的なように、プログラミングも体験的に身につけさせることが大事」だとして、ルビィの物語やアクティビティでどのような学びが実現できるのかを説明した。

例えば、ルビィはお父さんから「学校に行くための服を着なさい」と言われ、パジャマの上に服を着る。また、「おもちゃを片付けなさい」と言われた時は、ペンやクレヨンは散らかったままにしておく。「パジャマを脱ぎなさいとは言われていないし、ペンやクレヨンはおもちゃじゃないから」というのが、その理由だ。このエピソードは、「正確に正しい順序で命令しなければ、コンピューターは意図した通りには動かない」という、プログラミングを学ぶ上でとても大切な考え方を示しているのだという。
「そうやって問題を細分化していくことにより、手に負えないように思える大きな問題も小さな問題の集まりに過ぎず、一つずつ順を追って解決していけばよいのだということを、子ども達は理解できるようになるのです」(リンダさん)

この問題を解決するための手順(アルゴリズム)を体感できるのが、歯を磨く手順をコンピューターに指示を与えるように具体的に細かく書くアクティビティだ。歯磨きの手順は細分化すると人によってかなり異なるので、正しい手順も様々だが、それは「プログラミングが創造的な営みであることの現れ」であるとリンダさんは言う。

武庫川女子大学 生活環境学部 生活環境学科 助教 白井 詩沙香 氏

武庫川女子大学 生活環境学部 生活環境学科 助教 白井 詩沙香 氏

また、犬やトイレ、自動車などのイラストを見て、どれがコンピュータかを考えさせるアクティビティは、コンピュータがPCだけではなく色々な物に入り込んでいることを知るきっかけになる。そんな風に身近な物をコンピューターとして捉えることで、「子ども達は入力、処理、出力というプログラムの3大要素を理解できるようにもなっていく」とリンダさん。さらに、「コンピュータが入っていない物にコンピュータを入れたら、どんなことが起こるだろう?」と想像させることにより、子ども達に作り手の立場を体験させ、「コンピュータは世の中を便利にするために役立つもの」であるとの認識を深めることもできるという。

「子ども達が大きくなる頃には、今よりもっと多くのことをコンピュータが処理できるようになるはず。その時に備えて子ども達がコンピュータをツールとして使いこなせるようにすることが、プログラミング教育の目標なのです」(リンダさん)。

フィンランドとアメリカに見るプログラミング教育実践

次に、リンダさんはフィンランドとアメリカのプログラミング教育について語った。

フィンランドでは2016年から基礎学校(日本の小中学校)段階でプログラミング教育が必修化され、リウカス氏もマニュアル作りに参加してきた。同国は総人口500万人ほどの小さな国でありながら、携帯電話の「ノキア」をはじめ数多くのIT企業を輩出していることで知られる。その背景にあるのは、知識を詰め込むのではなく主体的に楽しく学ぶことを重んじるフィンランドの教育法。プログラミング教育にも、その先進的な教育方針が反映されている。

「プログラミングは独立した教科ではなく、算数を中心としたすべての科目に横断的に取り入れられています。1~2年生では遊びを通じて正確な指示・伝達を行う方法や論理的な思考を学び、3~6年ではビジュアルプログラミング言語(コードをアイコンや絵で表したもの)で失敗を恐れずに命令をコンピュータに伝えることを習います」(リンダさん)

とはいえ、当初はプログラミングの指導に前向きではない教師も多く、そのままではスムーズな導入は見込めなかった。
「そこで、フィンランドでは他の先生に体験に基づいたプログラミング教育の見本を示すマスターティーチャーの育成を行っています。プログラミングと教科の目標の両方を達成できるカリキュラム作りも、マスターティーチャーが自由に行っていいことになっています」(リンダさん)

一方、アメリカでは州や市といった単位でプログラミングやコンピュータサイエンスを必修化しようとする動きが広がっており、リウカス氏はニューヨーク州でプログラミング教育を実践する教師の養成に携わっている。

「コンピュータサイエンスを学ぶ時に、子どもたちが楽しいと思うことが一番大事なことです。そのためには、アメリカでは、子どもたちが楽しいと思うプロジェクトを作り、それを授業の中に取り入れていく方向を、先生方に時間をかけて教えています。ポイントとなるのが、良い問いを見つけること。『世界を良くするためにはどうすればいいか』などという漠然とした大きな問題ではなく、『学校に来る鳥のためにアミューズメントパークをつくるとしたら、どんなものがいいと思う?』といった、子どもたちの興味をかき立てる具体的な問いを見出すことが大切です。先生が問いを見つけるために、また、子どもが答えを考えるための思考を助けるツールとして、授業の中で検索エンジンを使っています。
日本の先生も『いま面白いことは何だろう?』『次は何を試してみようか?』と、楽しい問いをぜひ考えてみて下さい」(リンダさん)。

[事例発表]コンピュータを使わないプログラミング教育の実践~教科学習の手立てとしてのプログラミング的思考~

プログラミング的思考を用いて学びを深める

茨城大学教育学部附属小学校 研究主任・副教務 清水 匠 氏

茨城大学教育学部附属小学校 研究主任・副教務 清水 匠 氏

次に登壇したのは、茨城大学教育学部附属小学校で研究主任(副教務)を務める清水匠先生。清水先生は昨年まで学級担任としてICTの活用に取り組んでいたが、プログラミングについては全くの初心者だったこともあり、授業に取り入れることには少し懐疑的だった。しかし、紙と鉛筆で行えるプログラミング教育や、絵本『ルビィのぼうけん こんにちは! プログラミング』(翔泳社)に出会い、「教科の学習の中でコンピュータを使わずに、プログラミング的思考を手立てにして教科の目標を達成していく授業」を考案。その中から、5年生の算数における実践事例を発表した。

5年生算数「まとまりをみつけて」
●教科の目標
まとまりを見つけることで数量の関係を捉え、それらを式に表して計算する
●教科目標達成の手立てと位置づけるプログラミング的思考
【ループ】
まとまりを見つけてループ(同じことを繰り返し実行する処理)を設定することで、長く続く作業を簡単にプログラミングできることに気づく
【例】 信号機(青1分⇒黄10秒⇒赤1分のループ)、工場のベルトコンベアー作業

まず、導入ではフルーツが一定の法則で並んだ図柄を見せ、まとまりを捉えると規則性が見えてくることを体感させる。そして、『マッチ棒で正三角形を作って横に10個並べる時、マッチ棒は何本必要か』という算数の問題を提示。導入での活動から、まとまりを探して規則性を見つければ本数が予測できることに気づかせる。そうしたら、実際に楊枝で三角形を作るグループ活動を行って規則性を探し出し、それを全員で共有して立式。最後にペアになって問題を出し合い、相手の指示に従って計算することで、コンピュータの感覚を体験する。まとめでは、今日使ったのはプログラミングのループという考え方で、日常生活では信号機などに活かされていることを押さえる。

「こうした実践を重ねるうちに、子ども達は『コンピューターには正確に指示を出さなければいけない』ことや、『日常生活の中には沢山のプログラムが存在する』ことに気づきます。すると、当初の『コンピューターってすごい』という感想が、『正確に指示を出す人間(プログラマー)ってすごい』という風に変化し、『自分の生活があるのはコンピューターやプログラマーのおかげなんだ』という認識も生まれてきました」
と清水先生。ここから、コンピューターを使ったプログラミング教育への道筋も見えてきたという。

「プログラミングという新しい学びに子ども達は目を輝かせ、とても主体的に取り組んでいます。いつも授業でリーダーシップをとっているのとは違う子が活躍する場面も多く、これまで以上にアクティブで対話的な教え合いが生まれました。そんな子ども達の姿を見ると、教師としてもチャンレンジ精神や探究心が芽生えるもの。皆さんも、ぜひこれをきっかけに考えを深めていただければと思います」(清水先生)。

[事例発表]コンピュータを使ったプログラミングの取り組み

コンピュータの動きが体感できるプログラミング授業の実践事例

宮城教育大学 教育学部 准教授 安藤 明伸 氏

宮城教育大学 教育学部 准教授 安藤 明伸 氏

続いて行われたのは、宮城教育大学教育学部准教授の安藤明伸氏 による事例発表。宮城教育大学の附属中学校は文部科学省が指定する研究開発学校で、技術・情報科という教科を設けてプログラミング教育に取り組んでいる。その運営指導委員を務める安藤氏は、コンピュータが指示通りに動くことを体感できるという、コンピュータを使ったプログラミング授業の実践について語った。

同校ではプログラミングと他教科に共通して求められる資質・能力として、チームで協力するためのコミュニケーション能力、新しいものを生み出す創造力、モラルを守る人間性、情報や人間関係をマネジメントする能力を挙げ、育成を図っているという。そのための取り組みの一つが、2人1組で協力して作業を行う「ペアプログラミング」。コードを書く人と、それに助言や提案をする人とに役割を分けることにより質の高いプログラムの開発を目指すというもので、役割は適当なタイミングで交代する。
「本校では3〜4人のグループで行うこともあります。ただし、互いの相性が良くないと作業がうまく進まないので、そんな時は先生がペアの交代などを考えなくてはならないでしょう」(安藤先生)

安藤先生は子どもが楽しく取り組める課題設定のヒントになる、次のような事例も挙げた。
「修学旅行で緊急時の連絡用にグループに1台アンドロイドのスマートフォンを貸し出すにあたり、子ども達に旅行中に役立つアプリを開発させるという研修を行いました。スケジュール管理や音声録音など、自分達が使いたいアプリをAndroid Studio(アンドロイドスタジオ)というアプリ開発ソフトを使って作り上げるのです。それまで子ども達にとってアプリは探してダウンロードするものでしたが、開発を体験した今では、アプリのボタン配置などから作り手の意図を読み取れるまでになっています」(安藤先生)

また、小学校段階でのプログラミング教育にも造詣が深い安藤氏は、総合的な学習の時間と外国語学習を組み合わせ、そこにプログラミングを取り入れた、仙台市の小学校におけるコンピュータを使ったプログラミング授業の実践についても紹介。イギリスの小学生と日本の小学生がScratch(スクラッチ)という子ども向けのビジュアルプログラミング言語を使って、それぞれの自己紹介や学校紹介をするという、盛りだくさんの授業だ。
「イギリスの子ども達は全員が同じフォーマットを使い、中の図だけを変えるといった限定的なやり方をしていました。そこで、日本の子ども達にはもっと自由に表現させるようにしたのですが、結果、自由度の高いことが必ずしも良い成果を生むわけではないということがわかりました。できることが沢山あると、逆に何から手を付けていいのかわからなくなってしまうので、小学校段階では一定の枠組みの中で自由を与える必要があると思います」(安藤先生)

この授業の前後でアンケートを行い、プログラミングに対するイメージがどう変化するかを調べた所、日本の子ども達は苦戦をしたにも関わらず、「難しそう」という苦手意識は減少したという。
「子ども達のように、大人もプログラミングへのマイナス意識を変えなければならないでしょう」(安藤先生)。

[パネルディスカッション]プログラミング教育実践のヒント

自分なりのやり方を見つけて、ぜひ実践を!

最後は全員揃ってのパネルディスカッション。それぞれの登壇者から、学校現場へのアドバイスやメッセージなどが述べられた。

「プログラミングで課題を解決する方法は一つではありません。正しい答えが沢山あるという前提で臨むことが大事です。特に日本の子ども達は間違った答えを言うことを怖れる傾向にあるので、まずは安心して発言できる雰囲気を作ること。そうすれば、どんどん良い意見が出て来るはずです。また、教え方も一つではありません。色々な実践事例を参考に、自分なりのやり方をプラスしてトライしてみて下さい」(リンダさん)。

「私はコンピュータを使わない方法から入りましたが、入り口は他にもあるので、それぞれの先生のやりやすい所からスタートすることが大切だと思います。教科の学習のねらいとプログラミングのねらいの両方を達成させるのは、最初は少し困難ではありますが、やっているうちにコツが掴めてくるはずです」(清水氏)。

「今の子ども達はWebの検索サイトではなくYouTubeで検索し、動画から必要な情報を得て勉強するという、私達とは違う学習スタイルを身につけています。そんな子ども達がプログラミングを学んで何を生み出すのか、これからの可能性に期待しましょう」(安藤先生)。

「今日のセッションでプログラミング教育を始めてみたいと思う先生が一人でも多く現れてくれれば嬉しく思います。これからも一緒に頑張っていきましょう」
という白井先生の言葉により、セミナーは大盛況のうちに幕を閉じた。

リンダ・リウカス氏ミニインタビュー

超満員の会場でパネルディスカッションを終えたばかりのリンダ・リウカスさんに、学びの場.comがお話を伺いました。

インタビューに答えるリンダ・リウカス氏

インタビューに答えるリンダ・リウカス氏

学びの場.com 日本の先生方とのパネルディスカッションはいかがでしたか?

リンダさん たくさんの参加者の方が、笑顔で、頷きながら聞いて下さいました。皆さんがリーダーとなって、プログラミング教育を進めていただければ嬉しいです。

学びの場.com 今回の来日で、学校を訪問したり、先生や子ども達と触れ合って感じたことは?

リンダさん 日本では、先生がとても尊敬されている存在であることが感じられました。学校で驚いたのは、子ども達が自ら掃除をしていたこと。プログラミングの概念を取り入れたアクティビティとして、フィンランドでもやってみたら面白いかもしれませんね。

学びの場.com 「ルビィのぼうけん」についてお聞きします。この本は、前半の物語と、後半のアクティビティ(実習問題)で構成されていますが、どちらを先にデザインされたのですか?

リンダさん 完成形をイメージしながら同時進行で制作しました。私はイラストレーターであり、プログラマーなので(両方とも本職ですから)。あとは、実際に子ども達と何回もワークショップを重ねながら、その反応や意見を聞いて細かな修正を加え、完成度を高めていきました。子どもは思わぬ反応をするのでちょっと怖いですけど、そういう過程も楽しかったです。

学びの場.com 最後に、学びの場.comの読者である先生や保護者の皆さんにメッセージを。

リンダさん 子ども達は、絵本に出てくるキャラクターに憧れ、好きになります。まずは「あの人のようになりたい」と思えるモデルを示してあげることが大切だと思います。プログラミングを学ぶためには、身の回りにある色々な出来事から、「解決したい、解きたい」と思える問題を見つけることが大事。プログラミングの手法を身につけると解ける問題の幅がどんどん広がります。これからのプログラミング教育の広がりにワクワクしています。

離日のタイミングが迫る中、終始笑顔でフレンドリーにご対応いただきました。プログラマーとしての論理的な思考と、それを可愛らしく親しみやすい絵本の世界に構築できるリンダさんの才能とお人柄を感じることのできた納得のインタビューとなりました。ありがとうございました。

展示ゾーン

[プログラミング教材]初めてでも指導しやすく学びやすい、小学生向けの注目教材が集合!

レゴジャパン株式会社の展示ブース

レゴジャパン株式会社の展示ブース

東京会場の展示ゾーンからは、プログラミング教育に初めて取り組む小学校に最適なコンピュータを使った(プラグドな)教材とコンピュータを使わない(アンプラグドな)教材をご紹介する。

コンピュータを使った(プラグドな)教材は、レゴ(R)のプログラミングロボット教材「レゴ(R)WeDo 2.0」。同社が小学校高学年・中学生以上向けに提案する「レゴ(R)マインドストーム(R)」の小学校低学年以上向けモデルだ。「レゴ(R)WeDo 2.0基本セット」に含まれるのは、レゴ(R)ブロック、モーター、センサーなどの組み立てセットと専用ソフトウェア。レゴ(R)ブロックにモーターやセンサーを組み合わせて作った車などのモデルに、PCなどで組んだプログラムをBluetoothで送信することによって動作させる……などと聞くと難しそうだが、プログラムは「スタート」「モーター出力」などの機能を示すアイコンを並べていくだけ。子どもでも戸惑うことなく扱える上、トライ&エラーを繰り返しながら課題を解決するというプログラミングの考え方が自然と身につくように設計されている。さらに、プログラムの結果をモデルの動きとして実際に確認できるので、改善点などがわかりやすく、学びが深まりやすいという利点もある。

レゴジャパン株式会社の担当者によると、最近は私立だけでなく公立でも導入する小学校が増えており、主に理科や総合的な学習の時間での活用が広がっているという。今年の7月中旬には「レゴ(R)WeDo 2.0」を通してプログラミング的思考を育むためのカリキュラムが公式サイトにて公開される予定なので、そちらも参照いただきたい。
「ルビィのぼうけん」でおなじみの翔泳社の展示ブース

「ルビィのぼうけん」でおなじみの翔泳社の展示ブース

コンピュータを使わない(アンプラグドな)教材は、大阪会場のセミナーに登場したフィンランド出身のプログラマー、リンダ・リウカスさんによる知育絵本『ルビィのぼうけん こんにちは! プログラミング』(鳥井雪訳、翔泳社)。女の子ルビィが冒険する前半の絵本パートと、後半のコンピューターを使わないアクティビティ(練習問題)パートを通じて、4~11歳の子どもが楽しみながらプログラミング的思考に触れられるようになっている。

リンダさんの講演でご紹介した以外にも、例えば、コンピュータへの命令を「ダンスを踊る人への指示」に置き換え、実際にダンスをすることで、同じことを繰り返し実行する「ループ」という考え方への理解を促すといった学びの要素が満載。こうしたアクティビティで使うカードなどの教材の一部は絵本の特設サイトからダウンロードすることも可能だが、2017年6月、本書に教材データやワークシート、教科授業への応用事例集などが付属した『「ルビィのぼうけん」 ワークショップ・スターターキット』(リンダ・リウカス著、鳥井雪訳、SE編集部編著、翔泳社)が発売され、より活用しやすくなった。普段の教室ですぐに始められるだけでなく、子ども達のプログラミングへの理解を深めたい場合にも有用な本書、一度手に取ってみてはいかがだろうか。

取材・文:吉田 教子/写真提供:New Education Expo実行委員会事務局

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