2005.04.05
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ネイホウ! 香港より教育事情探訪記(vol.1)

ネイホウとは広東語でこんにちはの意味。香港に留学中の大学生、須藤綾子さんから、香港での生活、教育事情、IT事情などをリポートをお届けします!

ネイホウ!始めまして、わたしは香港大学で交換留学生として短期留学をしている大学生です。今月から12月まで、香港教育事情探訪記を月一回の連載でお届けします!

 香港に旅行された経験がある方は多いかと思いますが、みなさんは、香港の教育についてどのようなイメージをお持ちですか?わたしのお届けする教育探訪記が、みなさんが香港の教育事情を知る良い機会となり、何らかの形でお役に立てればと思います。第一回は、「香港大学で学ぶ」というテーマでお送りします!

◆ 香港大学におけるICT(Information Communication and Technology)の利用

香港大学ポータルサイト

香港大学ポータルサイト

香港大学に来てまず驚いたのは、手続きのほとんどがデジタル化されていることでした。個人の基本情報をオンラインで登録することから始まり、授業の登録・単位取得状況の閲覧もオンラインでなされます。もはやインターネット環境なしに学生は、ここでは生活できません。

 また、香港大学はイントラネットがよく整備されており、大学が管理・運営する寮までイントラネットは伸びています。(多くの学生が大学の寮で暮らしています。) 授業のハンドアウトを事前にダウンロードし持参することになっている授業もあります。学生は、イントラネットでメールのチェックをしたり、各授業の授業で使われる教材のダウンロードをしたりと、学生生活に大いに役立てています。

 授業中でのICT利用も盛んで、教師のほぼ全員が授業中にICTを利用しています。全ての教室において、PC、スクリーン、プロジェクター、OHTがいつでも利用できるように整備されています。利用に関してトラブルが発生すると、そのつど内線電話などで対応するスタッフが常駐しており、その対応の速さは目を見張るものがあります。香港大学でICTの取り入れが進んでいる主な理由として、ハードウェアとサポートの充実が考えられます。

◆授業の様子

標準的な教室の様子

標準的な教室の様子

香港大学では、授業は生徒とのやりとりを含めて全て英語で行われます。英語でされる生徒同士の討論や発表はまさに圧巻です。(彼らの英語力を支える香港の英語教育については、別の月に紹介いたします。)

 特筆すべきは、授業が英語で行われることだけでなく、大変魅力的なティーチングをする授業者が多いということです。わたしが所属しているのが教育学部であることもあり、授業への満足度はかなり高いものがあります。(現在、聴講を含めて8つの授業に出席しています。) 人数の多いクラスでは、ほとんどの教師はハンズフリーのマイクを使い、教室内をダイナミックに動く教師もいます。

 全ての教室内で、携帯電話の禁止と、飲食禁止という文字が掲げられているのが目に付きます。一般的に見て、香港における携帯電話のマナーは良くありません。授業中でも、つい先ほどまで真剣に討論をしていたと思ったら、口を手で覆いながら小声で(しかし堂々と)電話にでる学生が多いのには心底驚きました。(街中を走るバスの運転手が片手運転で電話応対する姿に冷や冷やすることが多く、香港の人々の携帯電話のマナーの悪さは、もはや社会問題かと思われます。)

食事会にて。ドレスコードが黒に決められており、食事の前には寮歌を唄います。

食事会にて。ドレスコードが黒に決められており、食事の前には寮歌を唄います。

さてここで、Hong Kong Education; Systemic features and social approaches(香港の教育事情についての授業)という授業を紹介します。その名の通り、これは香港の教育について学び、考える授業です。授業は基本的に講義スタイルですが、その中でクイズやグループディスカッションも上手く組み込まれています。グループディスカッションの後には、必ずクラス全体での意見交換の時間が設けられ、毎回活発な意見交換がなされます。教師は毎回進行役に徹し、必要あらばコメントをつけます。知識の植え付けや、テキストの朗読のような授業を日本で多く受けてきた私は、この授業の質の高さに驚きました。先の述べたように、ICTの利用が進んでいる香港大学では、授業ごとに専用のウェブサイトがあることは珍しくありません。この授業のページの利用法は、

(1) ハンドアウト・授業で使われるPowerPointRのファイルをダウンロードする。
(2) 週ごとに変わるトピックについて、オンラインディスカッションをする。
(3) 先生からのメッセージを読む。

 大きく分けてこの3つがあります。特に(2)は、授業を週に1回2時間の決まった時間で終わらせることなく、常に学生に問題意識を持たせるという点でも、大変重要なものです。このディスカッションでは、次の授業内容と関連するトピックが取り上げられ、授業中に必ずフィードバックがあることがこの活動をさらに意味のあるものにしています。もっとも、この活動が成功しているのは、生徒の高い意欲によるとも考えられます。

◆学生生活(寮生活)

前述したように、学生の多くは大学の管理下にある寮に住んでいます。同じフロアーの学生とキッチン・トイレ・バスを共有することもあるでしょうか、学生同士の関係はとても密なものと言えます。少なくとも月に2回はフロアーごとにイベントがあり、夜12時に「デザートを食べるから集合!!」と叫ぶ声を聞くこともしばしあります。わたしの住んでいるウェイ・ルン・ホールでは、月に一度の食事会への参加が義務付けられています。スポーツ系や文化系のサークルも寮ごとにあり、寮対抗の大会がよく開催されています。寮で暮らす学生にとって、寮という共同体の一員であるという意識はとても高いといえます。各自が寮での生活に慣れ、様々な活動に積極的に参加をすれば多くの人と出会う機会があり、恐らく友人も増えるでしょう。学生生活がより充実することは間違いないかと思います。

今回は、わたしの香港での"学びの場"である「香港大学で学ぶ」というテーマでお届けしました。香港大学についての詳細は、情報が充実しているウェブサイトを是非ご覧下さい。

香港大学 http://www.hku.hk/

では、また来月お会いしましょう。再見!

取材・文:須藤 綾子

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