ウィルダネスセラピーと子どもたち アメリカ・オレゴンより

今回は、アメリカオレゴン在住の阪元千穂さんからの投稿です。阪元さんが現在働いているアスペンアチーブメントアカデミーという学校で行われている、日本ではあまり例のないプログラムのご紹介です。
悩みを抱える子どもたちの最後の行く先は

砂漠地帯の埃と日差しの中を生徒たちは黙々と歩きつづける
アスペンアチーブメントアカデミーでは、ウィルダネスセラピーというプログラムが実施されている。ウィルダネスとは、手つかずの自然、荒野、といった意味で、ここに来た子どもたちは、荒野の中に放り出され、8~10週間、自分の力で移動しながら過ごしていく。
大自然の厳しさ、そして自分自身と向き合う
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太陽が沈むと気温は一気に下がる。
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6月の半ばでも雪が降ることもある。

時には標高10,000フィートを超える山岳地帯を歩き回ることもある。
火を起すことができなければ暖かい食事はとれない。雨が降ったとき、すぐに雨具が取り出せないようなら濡れてしまう。すべて自分の責任だ。雨が降っても、暑い日ざしが照り付けても誰も責めることはできない。世の中には自分の力ではどうにもならないこともあるのを悟らなければならない。
両親との再会

与えられた課題をこなし、自分の過去を見つめ本当の自分と素直に向き合うことができたとき、生徒はイーグルの称号を与えられその功績をスタッフや仲間たちから称賛される。全ての生徒がイーグルになれるわけではない。たくましく自分の力で大空にはばたくことはたやすいことではないのだ。
もちろんこれはほんのスタートに過ぎない。薬物の中毒やそれまでの生活から自分を変えるのはそんなに簡単ではない。多くの子どもたちは、ここからさらに寄宿舎学校へと送られる。新しいスタートを切るためだ。ただ、この2ヶ月以上の荒野での生活は、子どもたちに新しい何かと自分の中に潜む強さを悟らせる。この経験が次の困難を乗り切る助けになるようにと、私は心の中で祈りながら子どもたちに別れを告げる。(※生徒のプライバシー保護のため、建物、人物の写真は掲載することができません。ご了承ください)
アメリカ在住:阪元千穂
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