2006.06.27
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スモールビジネスの実践授業。 高校生による「オスカーパーティ」とは?

今回は、アメリカ・ミシガン州在住 椰子ノ木やほいさんに、ハイスクールの生徒たちが自ら企画・運営する、本物そっくりの「オスカーパーティ」の様子をご紹介いただきます。

 昨年、「学校内に株式会社!? 何でも有りの進んだ実践教育~
ということで、我が家の子どもたちがお世話になっている、アメリカのハイスクール事情をお届けした。今回は、その続編とも言える、ハイスクールの実践教育の中で繰り広げられる楽しいスクールイベントを紹介させていただきたいと思う。

これも授業の一環。パロディ版オスカーパーティ

受賞者に手渡されるオスカー像。まるでホンモノみたい。

受賞者に手渡されるオスカー像。まるでホンモノみたい。

前回の記事で、「スモール・ビジネス」という、小売業を学ぶ授業があると紹介したが、ハイクールキッズにとって、一番人気のスクールイベントである、「オスカーパーティ」はその「スモールビジネス」のクラスが企画から運営全てを担当し、かなりの収益を得る毎年恒例の学校行事である。

 "オスカー"と言う言葉には誰もが聞き覚えがあるかもしれない。言わずと知れた、あの映画の祭典『アカデミー賞』で副賞として贈られる像のことだ。「オスカーパーティ」は、その"オスカー"をぱくり、『アカデミー賞』や『グラミー賞』など実際にある祭典をまるごとパロッて進行する、パーティイベントなのである。

 『アカデミー賞』が、映画界で活躍した人に贈られる賞というのはご存知の方も多いと思うが、このハイスクールイベントで贈られるオスカー像は、その年、ハイスクールで、活躍した生徒に贈られる。そのジャンルは50種類以上にも及ぶのだが、企画が生徒たちによるものだけに、賞とは言っても首をかしげたくなる賞も多い。

2006年のテーマは

2006年のテーマは"ラスベガス"だったので、舞台の飾りもそれっぽく。

真面目系では、ベストミュージシャン、ベストアーティスト、ベストシンガー、ベストダンサー、ベスト運動選手、ベストドレッサー、ベストスポーツチームなどで、これらは頷ける。おもしろい賞では、「将来いちばんセレブになりそうな人」「いちばんモデルになりそうな人」「最高におもしろい人」「最高のタクシーサービス」「生まれた時に生き別れになったと思える似た者同士」「将来、いちばんノーベル賞を受賞しそうな人」「将来いちばん、金持ちになりそうな人」「いちばんおしゃべりな人」「今年度、学校の廊下でいちばんおもしろいことをした人」などだ。しかし、「いちばん怖い運転をする人」「いちばん変なヘアスタイルの人」「いちばん気の狂った人」「いちばんいなかっぺな人」なんて賞は果たして、受賞して栄誉なことなのかどうかわからない。しかし、これらの発表が会場ではいちばんウケるのがおもしろいところだ。

本物さながらの演出で会場は熱狂の渦

エネルギーとユーモアに満ちたハイクールの生徒たちが企画するイベントだけに、ぶっ飛んだ内容なのは、ご愛嬌と言ったところか。これらの賞は、事前の投票で、あらかじめ4名がノミネートされているが、その中から誰が受賞するかは、この日、フタを開けてみなければわからない。
  • 会場は、ハイスクールの劇場で、入場料は1人6ドルだが満員

    会場は、ハイスクールの劇場で、入場料は1人6ドルだが満員

  • レッドカーペットでのインタビューが、劇場内のスクリーンに映し出されるという懲りようだ。

    レッドカーペットでのインタビューが、劇場内のスクリーンに映し出されるという懲りようだ。

笑えることに、当日は、レッドカーペットまで用意されていて、着飾って会場に到着する入場者は、エントランスホールで司会者からインタビューを受け、その日の服装や気分について、楽しい受け答えをする。その模様は、ちゃんと会場内の巨大スクリーンにも映し出されるという懲りようだ。

 賞の発表の合間には、オーディションを通過した生徒たちの余興で盛り上がる。その余興も、ヒップホップダンスあり、ロックバンドありで会場は熱狂の渦に包まれる。熱気が冷めないうちに、次々と賞の発表が続く。ノミネートされている候補者4名の顔写真が舞台中央の巨大クリーンに映し出されると、"The Oscor goes to …."というお決まりの台詞とともに、受賞者が発表される。名前が発表されるたびに、会場はものすごい歓声が湧き上がる。受賞者は舞台に上がり、オスカー像を受け取ると、それを片手にスター気取りで挨拶をするという具合だ。

ロックバンドの余興で盛り上がる生徒たち

ロックバンドの余興で盛り上がる生徒たち

こんなふうに、催される「オスカーパーティ」だが、「スモールビジネス」の授業を選択科目として選んだ生徒たちにより、その年のテーマの取り決めから、そのテーマに合わせたチケットのデザイン、舞台のレイアウト、オーディションから会場の設営など、全ての進行を授業の一環としてやり遂げる。イベント自体は遊び的要素が強く、チケットが有料(6ドル/1人)ということで、ハイスクールの生徒全員に参加を強制する催しではないが、今年もしっかり楽しみ、しっかり利益をあげたようだ。

 毎年、母としてこのイベントを見せてもらっているが、思う存分楽しんでいるハイスクールの生徒たちを見ていると、私も、もうウン十歳若かったらなぁと思わずにはいられない……。

アメリカ・ミシガン州在住/椰子ノ木やほい

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