4年生と取り組む福祉学習~子どもたちの学習の実際~(3)
前回に引き続き令和7年度に実施したテーマ単元「福祉学習」の学習の実際を記述します。
特に、単元の導入段階の様子を取り上げます。
明石市立鳥羽小学校 教諭 友弘 敬之
いよいよ単元開きへ

(資料1)単元の導入で提示したスライド
学年での対話をもとに構想した単元をようやく子どもたちに紹介する時期が来ました。
本校では、そういった導入を「単元開き」と表現することがあります。例えば、「スポフェス学習開き」や「卒業式学習開き」のように用います。
これは、「スポフェス(運動会)」や「卒業式」を単なる活動として開催するのではなく、その活動の中にどのような学びを組織しているのかを教員が意識するための共通言語と考えています。
さて、福祉学習の単元開きは、学年集会の形をとり、会議室で一斉に行いました。
単元の導入では、子どもたちが暮らす明石市の鳥羽小学校区を題材に、スライドをもとに「鳥羽の町は本当に住みよいまちといえるのか?」と投げかけました(資料1)。また、誰にとっても住みやすいまちにするために「私に何ができるかな?」と問いかけました。
子どもたちは、改めて鳥羽の町にはどのような人が暮らしているのかを想起している様子でした。
その後、今回の単元の大まかな流れを提示しました(図1)。
「知る」フェーズでは、読んで理解したことを要約する学習を行うと説明しました。また、知ったことをもとに「体験する」、そこから自分の考えを言語化して「考える」、最後には地域の方や保護者とともに鳥羽の町について「交流する」という単元の枠組みを丁寧に説明しました。
一人一人に手渡す「私の本」

「私の本」を一人一人に手渡す様子
一連の説明の後、いよいよ一人一冊、福祉に関する本を手渡すことになりました。
列を作る子どもたちの姿からは「どんな本が手元に届くのかな?」「興味のある内容だったらうれしいな!」と、ワクワクドキドキする様子が伝わってきました。
手元に届いた後に開封するよう指示を出そうかと考えていましたが、その必要はありませんでした。本を手にした子どもたちは自席へと戻るや否や中身を取り出し、おもむろに読み始めていました。
特に印象的であったのは、普段、読むことから逃げがちな子どもも「うわっ!僕のはなんだか漫画みたいな内容で読みやすそう!」「読み終わったら貸してな!」と、口々につぶやきながら目を通していたことです。
その時点で、この単元に対するフィードバックをもらえたような気がして、うれしく感じたことを思い出します。
国語科で取り組む「知る」フェーズ
単元前半の「知る」フェーズでは、指導事項を「読むこと(ウ)」の「目的を意識して中心となる語や文を見付けて要約する」ことに設定して学習を行いました。
「要約」の学習過程はさまざまな方法論で語られます。
例えば、各段落のキーワードを抜き出し、それらをすべてつなぎ合わせることで、全体の内容をまんべんなく捉える方法があります。また、家を模したワークシート上に段落の要点を書き出し、それらを再構成することで内容を把握する方法などもあります。
今回は、要約の学習の中でも特に「目的」を重視して、記述を促す仕組みを取り入れました。
つまり、一人一人に手渡した「私の本」を、次に読む人が内容を把握できるように、短くまとめて言語化するということを目的としたわけです。
そうすることで、「私が心に残ったこと」や「次読む人に知ってほしいこと」など、一人一人の目的に合わせて要約する意味を見いだせると考えました。
「要約すること」については、また別の機会に取り上げたいと考えています。
いきなり、一人一人に手渡した「私の本」を要約するのはハードルが高いので、まずは全体で同じ本を読んで、要約する経験を設けました。
読んだ本は、以前教科書で取り上げられていた『手と心で読む』という説明文です。
要約のモデル文を示しながら、それぞれが他者に伝えたい箇所を短くまとめて記述し、学習支援ツール内で共有しました。
他の友達が書いた要約を読みながら「○○さんはこうまとめたのか!」「なるほど、こうやってまとめるといいのか!」と、内容だけではなく、まとめ方に着目して学び合う様子が見られました。
おわりに
このようにして、「体験する」フェーズまでに、一人5冊程度の本を読み、それらを言語化する中で、福祉についての自分の考えを広げていきました。
普段、読んだことを言語化することに抵抗のある子も、「僕もう8冊読んだよ!」と、うれしそうに報告してくれました。
もちろん、要約の内容については、適宜、個別の指導を行いました。
しかし、「100点の要約なんてあるのか?」という問いについても、教師としては同時に考えないといけないと思います。
私自身、現在は大学院で学んでいますが、分厚い本を読みそれらを要約することが果たしてできるかといわれると、自信はありません。
つまり、社会に出て読む本は、教科書のようにせいぜい10ページに収められていることなどないというわけです。
だからこそ、読み手の反応を尊重しつつ、読んだことについて対話し、テーマについての自分の考えを更新し続けることにこそ「読むこと」の価値があるのではないでしょうか。
きれいな形だけが正解なのではありません。
次回は、「体験する」フェーズについて取り上げます。

友弘 敬之(ともひろ たかゆき)
明石市立鳥羽小学校 教諭
「単元学習」をテーマに学び続けてきました。その中で、「学習デザイン」「実の場」「問い」と、興味を広げてきました。今は「そもそも学びってなんだろう?」という問いと向き合っています。それは、子どもの学びだけではなく、教師としての、また大人としての学びも含みます。この学びの場を通して、私の問いを解決していきたいです。
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