2026.07.23
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4年生と取り組む福祉学習~考えるフェーズと対話するフェーズの具体策~(5)

前回に引き続き令和7年度に実施した「福祉学習」の様子を具体的に示していきます。
「考えるフェーズ」と「対話するフェーズ」を詳しく解説します。

明石市立鳥羽小学校 教諭 友弘 敬之

手立てを講じて思考を深める考えるフェーズ

  

3つの段階に分けて記述できるように工夫(図1) 

考えるフェーズでは、子どもたちが読んで理解したり、実際に体験したり、講話を聴いたりしたことを総合しながら自分の考えをまとめられるように、2つの手立てを講じました。

1つ目は、観点別に情報を整理できるシートの提示です。
このシートは、以前の単元においても活用していたもので、子どもにとってはなじみのある手引きでした。ロイロノートのウェビングを用いて、中心に「伝えたいこと」を記述します。そして、その周りに「読んだ本」「体験したこと」「聞いたこと」をテーマとして、自分の考えとその説明をメモ上に残すことができるシートです。
手元に実際のシートがなく、お見せできないのは残念ですが、どの子も必要な言葉をメモに残しながら考えをまとめていた様子が思い出されます。

2つ目の手立ては、記述の際の足場架けです(図1)。
いきなり全文を記述するとなるとハードルが上がると考え、3つの段階に分けて記述できるように工夫しました。
いつもは書くことに抵抗のある子たちでありましたが、「イージーモードかけたから、ハードモードに挑戦していいですか?」と、どんどんと記述を進める様子が見られました。

実際の児童の作文に見る言葉の記述

  

ある児童の作文(図2) 

2時間程度、全体での時間をとる中で、少しずつ作文が完成していきました。図2に一人の作文を示します。
記述した児童は、普段から読書が好きな子ですが、読んで理解したことや体験したことをもとに、自分の考えが言語化されている様子がわかります。
特に、実際に講話を聴いたことが自分の考え方に影響を与えたと自覚しながら記述を進めている点は評価できます。また、文末表現においても、「~でしょうか」「いきましょう」と、読み手を意識して記述している様子も伝わってきます。

この児童の作文は、本人の了承をとって学年全体に示しました。
「○○さん、大人みたいな文章を書いていてすごい!」と、多くの友達が称賛するとともに、「こうやって書いたらいいんか」と、よいところを真似しようとする素直な姿も見られました。

地域や保護者と同じ目線で向き合う対話するフェーズ

大人と子どもが対話する様子

対話するフェーズでは、社会福祉協議会やゲストティーチャー、保護者、地域の方々が参加しました。この単元のゴールを「発表会」としなかったのは、伝えて終わりではなく、単元終了時から本格的な町への参画が始まることを期待したからです。地域の人や保護者と実際に対話し、大人も子どもも同じ目線で、暮らす町のことについて対話することにこそ価値を感じていました。

写真のように、ツール(えんたくん)を囲んでのびのび交流している様子がうかがえます。
過去の経験として、こういった大人と子どもが同席する場では、教師がある程度かしこまった態度を求めてしまうことがありました。しかし、そういった指示をすることが本質を損なう危険性も検討する必要があるでしょう。以前、テレビ番組でこのようなシーンがありました。

ある学校行事のサプライズゲストとして登場するお笑い芸人。本物のお笑いを中学生に体験させてあげようという教師の愛情が感じられました。
本番直前。少しくつろいだ表情の生徒たちを前に担当の先生が口を開きます。
「なんだこの態度は。いつまでざわざわしているんだ。せっかく芸人さんが来てくれているのに、これではいつまでたってもお招きできないだろ」と。
これを裏で聞いていた芸人さんは、「これではやりにくいな」などと、こぼしていました。

上記のようなシーンは目に浮かぶのではないでしょうか。

そこで、対話のフェーズでは、できる限りのびのびとした雰囲気を共有できるように心がけました。なぜなら、地域の大人との距離を縮めることも意図していたからです。
このようにして、一連の「福祉学習」は終わりを迎えることとなりました。

黒板の写真から振り返る子どもたちの学びの創造

 

学びを共有した黒板

こちらの写真は、単元終了時に教室で学んだことを共有した後の黒板の様子です。福祉についての認識が最初は遠いものであったが、単元を通して身近に感じられるようになった様子がうかがえます。また、車いすを押したり、白杖の方のサポートをしたりする側にとっても大変なことがたくさんあるということが話題に上りました。

単元を通して、子どもたちから以下のような声が上がりました。

「鳥羽の町の一員として誰もが暮らしやすい鳥羽の町にしていきたい」
「この鳥羽の町をもっと良い街にするためには、自分で考えて、相手のために行動するということが大切だと思いました。自分からできることが増えると、もっと優しくて楽しい鳥羽の町になると思いました」
「バリアをなくすために、いろいろな人のことを一回考えてみることが大切だと考えました」

学んだことをもとに一人一人が言語化している様子が見られました。

単元を終えた子どもたちの一言と教師のやりがい

このようにして、令和7年度の最後の大きな単元「福祉単元」が終わりました。
単元の最後に、ある児童が「もう今年の単元終わりなん?来年はどんな単元か今から楽しみやわ!」と、うれしそうに語ってくれました。こうした一言にこそ、教師という仕事のやりがいが一番表れるなと感じ、心の中で大きな声で「ありがとう」を伝えました。

友弘 敬之(ともひろ たかゆき)

明石市立鳥羽小学校 教諭


「単元学習」をテーマに学び続けてきました。その中で、「学習デザイン」「実の場」「問い」と、興味を広げてきました。今は「そもそも学びってなんだろう?」という問いと向き合っています。それは、子どもの学びだけではなく、教師としての、また大人としての学びも含みます。この学びの場を通して、私の問いを解決していきたいです。

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