2026.07.02
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4年生と取り組む福祉学習~体験から学びへ~(4)

前回に引き続き令和7年度に実施したテーマ学習「福祉学習」の学びの実際として、「体験するフェーズ」について記したいと思います。

明石市立鳥羽小学校 教諭 友弘 敬之

活動あって、学びあり

国語科の言語活動や総合的な学習の時間など、活動ベースの学習を展開するときに教員側が心がけておかないといけないこととして、「活動あって、学びなし」にならないことが挙げられます。
これは、戦後まもなく創設された初期社会科を批判的に見る意見として広く言われたことに発端があります。「子どもたちは、いろいろと活動はしているけれど、何を学んでいるのかさっぱりわからない」と、揶揄されたわけです。
もちろん、すべての学習がそうであったわけではありません。むしろ、活動の中での子どもの学びをみとる大人の学びが、まだまだ足りなかったと考えることもできるわけです。

しかし、教育における反省をしっかりと現代へと結びつけることは大切です。本単元においてはむしろ、「活動あって、学びあり」な単元の創造を目指しました。
具体的には、福祉学習での実際の福祉体験の場を、その後の対話の場へと向けた一人一人の情報収集の場として位置付けました。つまり、活動することを通して、福祉の視点で社会を見たり、実際に体験したり話を伺ったりすることで、実社会における困り感を自分事にすることを大切にしました。

3つの会場での 3つの学び

福祉体験当日は、社会福祉協議会の方々の協力を得て「3つの学びの場」を設定しました。
1つ目は、視覚に障害のあるAさんと対話する場です。2つ目は、車いすを日常的に利用されているBさんと対話する場です。3つ目は、車いすとアイマスク・白杖体験の場です。
これら3つの場を、3クラスでローテーションしながら学びを広げていきました。

視覚に障害のあるAさんとの対話の場

 

Aさんの話に耳を傾ける子どもたち

Aさんとの交流は音楽室で実施しました。子どもたちは、会場に入った時こそ緊張していましたが、どの子も真剣に話に耳を傾けている様子でした。
子どもたちからは、「もし、大事なものをなくしてしまったら、どうやって見つけるのですか?」「生活をしていて一番困ることは何ですか?」「手伝ってもらってありがたいことは何ですか?」と、相手の立場や生活を理解しようとする質問がたくさんされていました。

車いすを利用するBさんとの対話の場

 

Bさんとの対話で学ぶ子どもたち

Bさんとの交流は会議室で行いました。優しく子どもたちに語り掛けてくれる話し声に、どの子も真剣に耳を傾けている様子でした。
後半は「仕事に行く前に急に雨が降ってきたりしたら、どうされるのですか?」「仕事に遅れそうなときとかは、どうやって急ぐのですか?」と、社会生活とのつながりを意識して質問をする様子が多く見られました。

体育館での体験の場

 

アイマスク・白杖を体験する

体育館では、前方にアイマスク・白杖体験のブースを設置し、中央から後方にかけて車いす体験の場を設置しました。
アイマスクをつけてマットや木の台を乗り越えるコースを作ったり、コーンをよけて通るコースを作ったりしました。車いすでは、砂利道を模した場や、実際に体育館の外へ出て周りをまわってくる場、段差を乗り越える場を設定しました。
子どもたちは、「前が見えていないってこんなに怖いんだ」「車いすを押すのは思っているより力がいるなあ」「車いすに乗ってこけてしまうと、どうやって起き上がるのだろう?」と、感想を口にしながら学びを広げている様子でした。

学習後の子どもの振り返りより

 

体験後の学びを整理した板書

体験後に子どもたちに学んだことを言語化するように促しました。それらの一部を抜粋します。

「車いすを使っている方にも、白杖を使っている方にも、優しく声をかけることが大切なんだと思いました」
「車いすを砂利道の上で押したり乗ったりする体験で、砂利道の上とか段差を上がるときとかに、普段歩いているときと全然違う体力とかを使ったし、乗ったときもめっちゃ普通の地面より揺れたので、車いすの人も大変だし、押す人も大変なんだなと思いました」
「しっかりと前が見えることが普通じゃないこと、全く見えない人もいる中で、しっかり見えることの幸せさが改めて分かりました」

子どもたちの感想を読む前は、体験が自分とは関係のない世界として受け止められているかもしれないと、少し不安もありました。
しかし、どの子の振り返りからも、相手のことに思いをはせながら、自分にできることを精一杯考えていきたいという思いが読み取れ、うれしく感じました。体験活動をクラスごとに教室で整理する中で、それぞれの活動の意味がつくられていったように感じます。

社会福祉協議会と共につくる学び

今回の活動は、以前にも記述した通り、社会福祉協議会の方々と共につくってきました。単元をつくる中で、「先生方がこれだけ子どものことを考えて授業をつくっているって初めて知りました」「子どもたちがあれだけ一生懸命質問する体験活動の場は初めてでした」と、うれしい感想をたくさんいただきました。

また、最後の「交流するフェーズ」についても、「社会福祉協議会からも参加していいですか?」と声をかけてくださり、一緒に対話ができる運びとなりました。
こうして、次の「考えるフェーズ」、そして最後の「交流のフェーズ」に向けた準備が進んでいったように感じます。次は、一人一人が読み広げたり体験したりしたことを通して何を考えたのか。それらを言語化していく段階です。

友弘 敬之(ともひろ たかゆき)

明石市立鳥羽小学校 教諭


「単元学習」をテーマに学び続けてきました。その中で、「学習デザイン」「実の場」「問い」と、興味を広げてきました。今は「そもそも学びってなんだろう?」という問いと向き合っています。それは、子どもの学びだけではなく、教師としての、また大人としての学びも含みます。この学びの場を通して、私の問いを解決していきたいです。

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