2026.07.22
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第5学年算数科「合同な図形」における数学的な見方、考え方~かけない理由を考え、敷き詰めから図形の性質を見いだす~(3)

5年生の「合同な図形」において、数学的な見方・考え方が働いている児童の具体的な姿を考察します。
今回は「合同な三角形がかけない場合」と「合同な三角形の敷き詰めから分かること」について授業実践を紹介します。

東京都品川区立学校 平野 正隆

合同な三角形がかけない場合

前回の授業で確認した、合同な三角形をかくための三つの条件は、次の通りです。

① 3つの辺の長さがそれぞれ等しいとき
② 2つの辺の長さとその間の角がそれぞれ等しいとき
③ 1つの辺とその両はしの角がそれぞれ等しいとき

その際、「2つの辺とその間ではない角が等しいときでも、かけるのではないか」という意見が出ました。そこで、この条件でも合同な三角形がかけるのかを検証しました。

めあて:「2つの辺とその間ではない角が等しいとき」でも、かけるのか考えよう。

  

板書「合同な三角形のかき方を考えよう」

児童が各自で作図すると、かけるように見える三角形ができました。

児童:あれ?かけるよ。
児童:じゃあなんで、前回の授業では紹介されなかったんだろう。

班で話し合う中、ある班から次のような意見が出ました。

児童:このかき方だと、いつでも同じ図形になるわけではないから、かけない。

【考え方】条件を整理し、一般化する

そこで、めあてを変更しました。

めあて:このかき方では、かけない理由を考えよう。

最初に気付いた班は、かけない理由をノートにまとめ始めました。しかし、他の班はなかなか思考が進みません。そこで私は、3つの手立てを講じました。

手立て① ほかの班の考えを見られるようにする。

最初に気付いた班の様子を見に行ってもよいことを伝えました。

手立て② 児童同士でヒントを伝えられるようにする

その班がノートにまとめ終わった頃を見計らい、困っている班にヒントを伝えてもよいことを告げました。
それでも、かたくなに自分たちだけで解決しようと励む班がありました。

手立て③ 作図に残った弧に着目させる

ノートに作図した際に残った弧に着目するように声をかけました。
すると、次々に気付く子が現れました。

児童:あれ?よく見たら、弧と辺の交点が2つできるよ。

【見方】対応する部分や位置関係に着目する

児童:たしかに、弧を伸ばすとそうなる
児童:このかき方では、2つの三角形ができるからかけないや。

【考え方】成り立たない場合を根拠をもって説明する(反証的・論理的思考)

児童:1つの三角形に定まらないよ。

【考え方】条件を整理し、一般化する

   

合同な三角形がかけない理由を考えよう 

最初に気付いたAさんに、かけない理由を説明してもらいました。

Aさん:「合同な三角形がかける」とは、いつでも、どんなときでもかけないと「かける」とは言えません。点Cから5.3cmで弧をかくと、2つの点で交わってしまいます。三角形が2つできてしまい、1つの三角形に定まりません。このかき方では「合同な三角形がかける」とは言えません。

【考え方】成り立たない場合を根拠をもって説明する(反証的・論理的思考)

Aさんの説明を聞き、ほかの児童も納得しました。

「合同な三角形の敷き詰めからわかること」

  

合同な三角形を敷き詰めた図 

次に、合同な三角形を敷き詰めた図を提示し、気付いたことを尋ねました。
児童からは、全ての三角形が合同であるという意見が出ました。

児童:隣の三角形は回転移動で重なるし、斜めに上下左右にある三角形は平行移動で重なるよ。

【見方】同じ形であるかどうかを捉えようとする

そこで、合同な三角形の対応する角に着目して考えることにしました。

めあて:合同な三角形の対応する角に着目して考えてみよう。

児童は、対応する辺や角に記号を付けながら、図形同士の関係を調べました。

児童:記号をつければわかりやすい。

【見方】対応する部分(辺や角)の関係に着目する

調べていく中で、横に並ぶ複数の直線が平行であることにも気付きました。

【見方】図形の性質や関係に着目する

そこで、図の中から平行四辺形と台形を見つけ、それぞれがその形であることを説明する活動に進みました。
各班で学び合いながら考えをノートにまとめた後、発表しました。

児童:私は、この平行四辺形に着目しました。さっき、横の線が平行と分かっていたので、斜めの線も平行か調べたら平行でした。だから、2組の平行な直線に囲まれたこの図形は平行四辺形と言えます。

【考え方】合同な図形や図形の性質を根拠に筋道立てて判断する

別の児童は、対角線で四角形を二つの三角形に分けて考えました。

児童:この四角形は、対角線で分けて見ると、合同な2つの三角形でできているので、平行四辺形と言えます。

【考え方】図形を分解して性質を明らかにする(分析的思考)

この説明に対して、別の児童から疑問が出ました。

児童:そう言い切れるのかな。

発表した児童は、向かい合う辺の長さに着目するよう促しました。

児童:向かい合う辺の長さを、合同な三角形の辺と見て考えてみてください。

【考え方】既習を基に新しい問題を解決する(演繹的思考)

児童:確かに、向かい合う辺の長さが同じだ。
児童:だから平行四辺形です。

【考え方】合同な図形や図形の性質を根拠に、筋道立てて判断する

さらに、角度に着目する児童もいました。

児童:先ほどつけた記号を見ると、向かい合う角の大きさはどうなっていますか。

【見方】対応する部分(辺や角)の関係に着目する

児童:等しい。
児童:だから平行四辺形です。

【考え方】合同な図形や図形の性質を根拠に、筋道立てて判断する

このように、児童は辺の平行関係や長さ、角の大きさなど、さまざまな見方から平行四辺形であることを説明しました。
続いて、台形についても考えました。

児童:僕はこの台形に着目しました。さっきの話にもあったように、横の2本の直線は平行です。しかし、縦の2本は平行ではないので、これは台形です。

【考え方】合同な図形や図形の性質を根拠に、筋道立てて判断する

次回は、まとめです。

平野 正隆(ひらの まさたか)

東京都品川区立学校


研究会での実践報告や校内での若手教員育成などの経験を通して、自分の経験や実践が広く皆様のお役に立てるのではないかと考えております。大人・子どもに関わらず、「明日から頑張れそうです」「明日が来るのが楽しみです」と言ってもらえるのが私の喜びです。

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