4年生と取り組む福祉学習~ビジョンの形成と単元構想~(1)
今回は、昨年度(令和7年度)に受け持った4年生の子どもたちとともに取り組んだ「福祉学習」について記していきたいと思います。
私自身は、「○○学習」と題してテーマ学習を行うことがあまり多くありません。
それは、テーマありきの学習になってしまうと感じているからです。
しかし、本単元はテーマを通して子どもたちの学びの深まりが実感できた単元でした。
明石市立鳥羽小学校 教諭 友弘 敬之
子どもの思いを大切にしたい、テーマありきではない学びへ
みなさんの学校では学年ごとに決められた学習のテーマはありますか?
例えば、「3年生は環境学習、4年生は福祉学習、5年生は自然学習、6年生は平和学習」などのようにです。
これらは、学年が上がるごとに教師にとっても子どもにとっても学びの見通しがもて、大変有効に働くこともあるでしょう。一方で、テーマが決められていることで、子どもの思いや願いがないがしろにされてしまう可能性も秘めていると感じています。
そこで、今の私は「テーマ学習」に対する考えを以下のように持っています。
もし、総合的な学習の時間としてテーマを考えるのであれば、子どもの実態や思いを受けた単元をデザインしたい。なぜなら、探究には学び手の興味関心や、思いや願いが不可欠であるからです。
一方で、もし教科の一単元としてテーマを考えるのであれば、ある程度大人の都合を基にした単元をデザインする。つまり、「国語科の内容と社会科、道徳を組み合わせて福祉学習をする」といった単元を提示するわけです。
もちろん、それであっても子どもたちの「したい!」「楽しそう!」という思いを最大限に引き出せる工夫は行います。本単元内にもそのための手立てはいくつも用意しました。
私は、教科の学びは実の場が大切ではあるけれど、ある程度の虚構の世界も許されると考えています。つまり、「ごんに手紙を書こう」や「模擬裁判をしよう」などは、まさに虚構の世界を共有する中で、学びを楽しむ工夫の一つであると考えます。
だからこそ、ある程度の学習環境デザインの決定権は教師にあると考えているというわけです。
若手教諭とともに国語科を軸にデザインする福祉学習の目標
さて、いよいよ本テーマ「福祉単元」の学習デザインについてです。
実は、本テーマは学年当初、総合的な学習の時間のテーマとして設定するというアイデアが検討されていました。しかし、それは実施しませんでした。
なぜなら、総合的な学習の時間のカリキュラムをゼロからデザインする経験を、同じ学年となった若手の先生にも経験してほしかったからです。テーマが決まっていることで、学習デザインの話題が方法にばかり寄ってしまい、目指す子どもの姿や期待したい子どもの学びを基にした学習デザインができにくくなると感じたからです。
そこで、本単元は国語科を軸として教科を総合してデザインすることとしました。
学習デザインの第1歩は目標の形成です。「何のために福祉学習を行うのか?」について、学年でアイデアを出し合いました。その結果、以下のようなことを目標を決めました。
「福祉をテーマに学習に取り組む中で、社会には自分とは違う立場や環境で生活している人がいるということに気づく。そして、自分も含めた誰もが自分らしく生活していける社会の在り方に着目して考えを形成し、よりよい社会へしていこうという思いを醸成してしく」
特に、さまざまな環境で生活される人がいることに気づくだけではなく、自身の考えや思いを発信していく中で、社会は変革していけるんだという市民性を育むことを目標の一部として掲げました。そのためにも、ただ調べて終わるのではなく、地域の方や周りの方へと発信したり対話したりする場のデザインを行っていきたいと考えました。
知る・体験・考える・交流の4フェーズで進める具体的な活動
目指す子どもの姿が定まってからは、それに向けた学習のプロセスを検討していきました。その中で、学習を大きく4つのフェーズに分けてデザインすることとしました(図1)。
1つ目は、「知る」活動です。「子どもたちはどうするともっと知りたいと考えるか?」。そんな問いを基に「知る」活動をデザインしていきました。
2つ目は「体験する」活動です。本校の過去の実践で社会福祉協議会の方とコラボしたことがありました。その際のノウハウを生かしてさまざまなことを体験できる活動をデザインしました。
3つ目は「考える」活動です。知ったり体験したりしたことを総合し、自分たちの地域をよりよくするために何ができるのかについて考える学習をデザインしました。
4つ目は「交流する」活動です。知って分かったことをまとめるだけではなく、最後に大人と語り合う場面を設定しました。学んだことを自分の言葉で言語化し、表現していけると考えたからです。
次回へ向けた学習計画
以上に大まかな学習の流れを紹介しました。
次回は、それぞれの活動についてもう少し詳しく説明をしていきたいと思います。そのうえで、実際の子どもたちの学びの様子を紹介できればと考えています。

友弘 敬之(ともひろ たかゆき)
明石市立鳥羽小学校 教諭
「単元学習」をテーマに学び続けてきました。その中で、「学習デザイン」「実の場」「問い」と、興味を広げてきました。今は「そもそも学びってなんだろう?」という問いと向き合っています。それは、子どもの学びだけではなく、教師としての、また大人としての学びも含みます。この学びの場を通して、私の問いを解決していきたいです。
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