2026.07.11
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つい、整えたくなる授業づくり

授業づくりをしていると、子どもたちが活動しやすいように、つい整えたくなります。
分かりやすく説明したい。迷わないようにしたい。安心して取り組めるようにしたい。
それは、子どもたちのことを思えばこその自然な気持ちなのだと思います。
一方で最近は、整えることと同じくらい、残しておくことについても考えるようになりました。
最近出会った授業や、幼稚園で見た子どもたちの姿から考えたことを書いてみたいと思います。

兵庫県西宮市立総合教育センター 指導主事 羽渕 弘毅

丁寧な準備の中で考えたこと

授業を見ていると、先生方の準備に驚かされることがあります。先日見た授業もそうでした。
タブレットが効果的に活用され、活動の流れも分かりやすく整理されていました。子どもたちが迷わないように、手順も丁寧に示されています。
教材も工夫され、子どもたちが安心して活動できるように準備されていました。

子どもたちは説明を聞きながらタブレットを操作し、活動に取り組んでいきます。次に何をすればよいかも分かっています。困って立ち止まる子もほとんどいません。
学校訪問をしていると、こうした先生方の丁寧な準備に触れる機会がたくさんあります。子どもたちのことを考え、少しでも分かりやすく、活動しやすくしようという思いが伝わってきます。
だからこそ、その授業を見ながら、別のことも考えていました。

子どもたちは、どこで考えるのだろう。どこで試すのだろう。どこでチャレンジするのだろう。

もちろん、子どもを放っておけばよいという話ではありません。
子どもが安心して学べるように準備をすることは、とても大切です。特に授業では、ねらいに向かって学びを支えるための準備が欠かせません。
ただ、その丁寧さの中に、子どもたちが考えたり、試したりする時間をどのように残していくのか。そんなことを考えていました。

整えること、残しておくこと

私を含めて、先生たちはつい整えたくなります。

子どもたちが迷わないようにしたい。分かりやすくしたい。安心して活動できるようにしたい。

教材を準備し、活動の流れを考え、必要な支援を用意する。それは、子どもたちへの願いがあるからこそです。

私自身も担任をしていた頃は、どうすれば分かりやすくなるだろう、どうすれば活動しやすくなるだろうと考えながら授業づくりをしていました。
子どもたちのためを思えば思うほど、準備は増えていきます。

活動しやすいように教材を工夫する。
迷わないように手順を示す。
困らないように支援を用意する。

そうした準備は、どれも大切なことです。
一方で、最近の私は、何を準備するかと同じくらい、何を残しておくかについても考えるようになりました。

どこまで説明するのか。どこで待つのか。どこを任せるのか。

子どもたちが考えたり、試したり、チャレンジしたりするために、あえて残しておく時間や場面です。
もちろん、準備を減らせばよいという話ではありません。子どもたちが安心して学ぶためには、教師の準備や支援が欠かせません。
だからこそ考えたいのです。

子どもたちが自分で考える場面はあるだろうか。
試してみる場面はあるだろうか。
チャレンジする時間は十分に保障されているだろうか。

すべてを説明した方が早い場面もあります。教師が答えを示した方が確実な場面もあります。その方が授業は予定どおり進むかもしれません。
けれども、少し立ち止まる時間の中で生まれる学びもあります。

少し迷う。友達に聞く。一緒に考える。試してみる。

そうした経験の中で、子どもたちは学び方そのものを学んでいるようにも思います。
子どもたちが活動することは大切です。ただ、単に動いているだけでは十分ではないのだと思います。

考えながら動くこと。試しながら動くこと。そして、自分なりの方法を見つけながら動くこと。

そこに学びの面白さがあるように感じます。
だからこそ最近は、失敗する時間よりも、チャレンジする時間を保障することの方が大切なのではないかと思うようになりました。

うまくいくかどうか分からない。でもやってみる。

そんな機会を授業の中にどれだけ残せるのか。
それもまた、授業づくりの一つなのかもしれません。

木の根元で見つけたもの

以前、幼稚園を訪問したときのことです。
園庭では、子供たちが竹馬に挑戦していました。先生方は、竹馬に乗りやすいように台を準備していました。
子どもたちは最初、その台を使って練習していました。

けれども、しばらく見ていると面白いことに気付きました。一人の子が、木の根元の少し傾斜した場所で竹馬に乗ろうとしていたのです。
どうやら、その方が乗りやすいことに気付いたようでした。

最初は一人でした。けれども、その姿を見た周りの子どもたちが少しずつ集まってきます。

誰かが試す。誰かが見る。誰かが真似をする。そして、また別の子が挑戦する。

気が付けば、木の根元にも子どもたちの輪ができていました。
先生方が準備した台が必要なかったわけではありません。その台があったからこそ、子どもたちは安心して竹馬に挑戦できたのだと思います。

ただ、その中で子どもたちは、自分たちなりにもっとやりやすい方法を見つけていました。

整えることの、その先へ

私たちは、子どもたちのためを思って準備をします。

少しでも分かりやすく。少しでも活動しやすく。少しでも安心して学べるように。

それは、とても大切なことです。
だからこそ最近は、その先のことも考えるようになりました。

子どもたちが、自分で考えること。
試してみること。
チャレンジしてみること。
そして、ときには友達と一緒に方法を見つけていくこと。

そうした時間を、授業の中にどれだけ残せているだろうか、と。

どこまで準備するのか。どこから任せるのか。どこまで支えるのか。そして、どこで待つのか。

その答えは一つではありません。
だからこそ、これからも悩み続けるのだと思います。

つい整えたくなる。

そんな自分がいるからこそ、何を整え、何を子どもたちに委ねるのかを考え続けたいと思っています。

羽渕 弘毅(はぶち こうき)

兵庫県西宮市立総合教育センター 指導主事
専門は英語教育学、学習評価、ICT活用。高等学校や小学校での勤務経験を経て、現職。これまで文部科学省指定の英語教育強化地域拠点事業での公開授業や全国での実践・研究発表を行っている。働きながらの大学院生活(関西大学大学院外国語教育学研究科博士課程前期)を終え、「これからの教育の在り方」を探求中。自称、教育界きってのオリックスファン。

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