2024.05.28
  • twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

春の運動会に向けて~表現学習ってホントに表現!?~(前編)

今回も、前回同様「運動会」をテーマに記していきたいと思います。私自身が以前に行っていた表現学習とは少し違う学習プロセスを構成してみました。きっと、表現学習について疑問や違和感をおもちの先生は少なくないはずです。次の表現学習の一助となれば幸いです。
今回はうまく記述がまとまらずだらだらと書いてしまいました。そのため2回に分けての話題提供とさせていただきます。

明石市立鳥羽小学校 教諭 友弘 敬之

学校の校庭に立てられた熱中症対策のテントが、日差しの強さを物語っています。先生方の学校におかれましても、暑さ対策が始まったころではないでしょうか?
さて、今回も前回に引き続き「運動会」をテーマに記していきたいと思います。今回の話題はズバリ「表現学習」です。皆さんにとって「表現学習」とはどのような学習でしょうか?

表現学習って何!?

「表現学習」について、文部科学省の学習指導要領 体育編においては以下のように記述されています。

「自己の心身を解き放して,イメージやリズムの世界に没入してなりきって踊ることが楽しい運動であり,互いのよさを生かし合って仲間と交流して踊る楽しさや喜びを 味わうことのできる運動である。」

また、
「身近な生活などから題材を選んで表したいイメージや思いを表現するのが楽しい運動であり~学習の進め方としては,,学習の進め方としては,いずれも自由に動きを工夫して楽しむ創造的な学習で進められるところに共通の特徴がある(一部抜粋)」(参考資料1)

私はこの内容を知った時に、自分の表現学習の認識とのズレを感じました。

「僕が作った振付を、子どもに教えてきた学習は間違っていたのかな?」
「何度もまっすぐに並びなおしたり、横の列を一生懸命にそろえたりしてきたけど、それは何の表現だったのだろう?」
「題材を選んで、動きを工夫して楽しめる創造的な学習は、どの場面だったのかな?」

そういったズレを認識したからこそ、今までとは違った表現学習に取り組んでみたいと思いました。そこで今回は、令和5年度に4年生の子どもたちとともに創ってきた表現学習を少しだけ紹介できればと思います。

学びのプロセスをともに創る

令和5年度の4月に学年打ち合わせをしていました。その中の話題の一つが「運動会での表現学習」でした。
「何を表現しようかな?」「どのような表現にしようかな?」と、対話が始まりました。
その中で「そもそも表現って何だろう?」と、表現そのものについて考えてみたのです。そのときに参考にしたのが、上記の学習指導要領です。
「自己の心身を解き放っているかな?」「創造的な学習になっているかな?」と、対話を深めていく中で「子どもと一緒に対話する中で表現を創っていく学習過程はどうだろう!」と、いつもとは一味違った表現学習の学習過程案が生まれたのでした。

教師の出番

しかし、子どもと対話しながら表現を創っていくといっても、ただやみくもに「はい。創ってごらん」といっても、もちろん創れるわけがありません。むしろ、いつも以上に綿密な計画が必要だと考えました。
また、学習を体育科だけにとどまらせるのではなく、本気で自分の考えや思いを語り合うからこそ、「話すこと聞くこと」の力にも焦点を当てて学習を行っていこうと決めました。
そこで、子どもたちが自分たちで表現を創っていくために必要な学習環境をデザインすることが、教師にとっての大切な出番となったわけです。以前でしたら、「曲を決めて振付や隊形を決めて、子どもに伝えること」が、大切な出番でした。その立ち位置を少しだけ子どもに寄せたといえるでしょう。

カリキュラムをデザインする

(図1)学習過程 一部

体育科だけではなく国語科としても表現を創っていくためには、カリキュラムを組み合わせていく必要がありました。
そこで、体育科での指導内容は「表現学習」に絞りつつ、国語科の指導内容を「話すこと聞くことのウ(話の中心や話す場面を意識して、言葉の抑揚や強弱、間の取り方などを工夫すること)」に決めました。
それは、自分たちで考えた表現を相手に伝えるためには、何を伝えたいのかを明確にし、相手の様子に応じてその内容や伝え方を検討していく必要が生まれると考えたからです。
以前はそのほとんどを表現の振り付け指導に充てていた運動会の学習過程でしたが、今回は国語科での対話の時間や表現創りの時間も組み合わせた学習過程を形成していきました(図1)。

指導の実際

では、どのような導入を行い、どのように対話を行っていったのかをできるだけ簡潔に記述していきたいと思います。
と思ったのですが、長くなっていますので指導の実際については次回に送りたいと思います。

だらだらと記してしまい申し訳ございません。次回に具体的な学習の様子を説明していきます。

友弘 敬之(ともひろ たかゆき)

明石市立鳥羽小学校 教諭


「単元学習」をテーマに学び続けてきました。その中で、「学習デザイン」「実の場」「問い」と、興味を広げてきました。今は「そもそも学びってなんだろう?」という問いと向き合っています。それは、子どもの学びだけではなく、教師としての、また大人としての学びも含みます。この学びの場を通して、私の問いを解決していきたいです。

同じテーマの執筆者
  • 関田 聖和

    兵庫県神戸市立桜の宮小学校 特別支援教育士スーパーバイザー(S.E.N.S-SV)

  • 若松 俊介

    京都教育大学附属桃山小学校 教諭

  • 菊池 健一

    さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当

  • 川村幸久

    大阪市立堀江小学校 主幹教諭
    (大阪教育大学大学院 教育学研究科 保健体育 修士課程 2年)

  • 杉尾 誠

    大阪府公立小学校 主幹教諭・大阪府小学校国語科教育研究会 研究部長

  • 笠原 三義

    戸田市立戸田第二小学校 教諭・日本授業UD学会埼玉支部代表

  • 赤堀 達也

    旭川市立大学短期大学部 准教授

  • 熊井 直子

    小平市立小平第五中学校 主幹教諭

  • 羽渕 弘毅

    兵庫県西宮市立甲陽園小学校 教諭

  • 川上 健治

    明石市立錦が丘小学校 教諭

  • 山本 裕貴

    木更津市立鎌足小学校

  • 川島 隆

    浜松学院大学 現代コミュニケーション学部 子どもコミュニケーション学科 教授
    前浜松学院大学短期大部 幼児教育科 特任講師

  • 今村 行

    東京学芸大学附属大泉小学校 教諭

  • 都築 準子

    愛知県公立中学校勤務

  • 今宮 信吾

    大阪大谷大学 教育学部 教授

  • 安井 望

    神奈川県公立小学校勤務

  • 山本 優佳里

    寝屋川市立小学校

  • 山口 小百合

    鹿児島市立小山田小学校 教頭

  • 大村 高弘

    元静岡大学教育学部特任教授兼附属浜松小学校長

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop