春の運動会に向けて~表現学習ってホントに表現!?~(前編)
今回も、前回同様「運動会」をテーマに記していきたいと思います。私自身が以前に行っていた表現学習とは少し違う学習プロセスを構成してみました。きっと、表現学習について疑問や違和感をおもちの先生は少なくないはずです。次の表現学習の一助となれば幸いです。
今回はうまく記述がまとまらずだらだらと書いてしまいました。そのため2回に分けての話題提供とさせていただきます。
明石市立鳥羽小学校 教諭 友弘 敬之
学校の校庭に立てられた熱中症対策のテントが、日差しの強さを物語っています。先生方の学校におかれましても、暑さ対策が始まったころではないでしょうか?
さて、今回も前回に引き続き「運動会」をテーマに記していきたいと思います。今回の話題はズバリ「表現学習」です。皆さんにとって「表現学習」とはどのような学習でしょうか?
表現学習って何!?
「表現学習」について、文部科学省の学習指導要領 体育編においては以下のように記述されています。
「自己の心身を解き放して,イメージやリズムの世界に没入してなりきって踊ることが楽しい運動であり,互いのよさを生かし合って仲間と交流して踊る楽しさや喜びを 味わうことのできる運動である。」
また、
「身近な生活などから題材を選んで表したいイメージや思いを表現するのが楽しい運動であり~学習の進め方としては,,学習の進め方としては,いずれも自由に動きを工夫して楽しむ創造的な学習で進められるところに共通の特徴がある(一部抜粋)」(参考資料1)
私はこの内容を知った時に、自分の表現学習の認識とのズレを感じました。
「僕が作った振付を、子どもに教えてきた学習は間違っていたのかな?」
「何度もまっすぐに並びなおしたり、横の列を一生懸命にそろえたりしてきたけど、それは何の表現だったのだろう?」
「題材を選んで、動きを工夫して楽しめる創造的な学習は、どの場面だったのかな?」
そういったズレを認識したからこそ、今までとは違った表現学習に取り組んでみたいと思いました。そこで今回は、令和5年度に4年生の子どもたちとともに創ってきた表現学習を少しだけ紹介できればと思います。
学びのプロセスをともに創る
令和5年度の4月に学年打ち合わせをしていました。その中の話題の一つが「運動会での表現学習」でした。
「何を表現しようかな?」「どのような表現にしようかな?」と、対話が始まりました。
その中で「そもそも表現って何だろう?」と、表現そのものについて考えてみたのです。そのときに参考にしたのが、上記の学習指導要領です。
「自己の心身を解き放っているかな?」「創造的な学習になっているかな?」と、対話を深めていく中で「子どもと一緒に対話する中で表現を創っていく学習過程はどうだろう!」と、いつもとは一味違った表現学習の学習過程案が生まれたのでした。
教師の出番
しかし、子どもと対話しながら表現を創っていくといっても、ただやみくもに「はい。創ってごらん」といっても、もちろん創れるわけがありません。むしろ、いつも以上に綿密な計画が必要だと考えました。
また、学習を体育科だけにとどまらせるのではなく、本気で自分の考えや思いを語り合うからこそ、「話すこと聞くこと」の力にも焦点を当てて学習を行っていこうと決めました。
そこで、子どもたちが自分たちで表現を創っていくために必要な学習環境をデザインすることが、教師にとっての大切な出番となったわけです。以前でしたら、「曲を決めて振付や隊形を決めて、子どもに伝えること」が、大切な出番でした。その立ち位置を少しだけ子どもに寄せたといえるでしょう。
カリキュラムをデザインする
体育科だけではなく国語科としても表現を創っていくためには、カリキュラムを組み合わせていく必要がありました。
そこで、体育科での指導内容は「表現学習」に絞りつつ、国語科の指導内容を「話すこと聞くことのウ(話の中心や話す場面を意識して、言葉の抑揚や強弱、間の取り方などを工夫すること)」に決めました。
それは、自分たちで考えた表現を相手に伝えるためには、何を伝えたいのかを明確にし、相手の様子に応じてその内容や伝え方を検討していく必要が生まれると考えたからです。
以前はそのほとんどを表現の振り付け指導に充てていた運動会の学習過程でしたが、今回は国語科での対話の時間や表現創りの時間も組み合わせた学習過程を形成していきました(図1)。
指導の実際
では、どのような導入を行い、どのように対話を行っていったのかをできるだけ簡潔に記述していきたいと思います。
と思ったのですが、長くなっていますので指導の実際については次回に送りたいと思います。
だらだらと記してしまい申し訳ございません。次回に具体的な学習の様子を説明していきます。
友弘 敬之(ともひろ たかゆき)
明石市立鳥羽小学校 教諭
「単元学習」をテーマに学び続けてきました。その中で、「学習デザイン」「実の場」「問い」と、興味を広げてきました。今は「そもそも学びってなんだろう?」という問いと向き合っています。それは、子どもの学びだけではなく、教師としての、また大人としての学びも含みます。この学びの場を通して、私の問いを解決していきたいです。
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