2023.12.29
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初任者必見!算数の問題解決学習を成功に導く3つのキーワード

毎時間、子どもは算数の新しい問題と出会います。新しい問題を考えるとき、既習事項と結びつけようとすると、解決の糸口が見えてきます。今回紹介するのは、算数の問題解決を成功に導く3つのキーワードです。「にている」「きまり」「もどる」の3つのキーワードを扱っていくと、子どもは問題解決の思考が身につくようになってきます。

東京学芸大学附属大泉小学校 教諭 神保 勇児

キーワードその1:「にている」

まず、「にている」についてです。4年「小数」の問題です。次の問題を見てみましょう。

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<問題>
お父さんのリュックサックの重さは9.87kgです。
さとるさんのは7.56kgです。
重さの違いは何kgですか。
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ここでは、0.01がいくつかを考えたり、位ごとに分けて考えたりする方法で解決します。この方法は、小数のたし算を問題解決した時に使いました。この問題では、小数のひき算は小数のたし算のときと同じように解決ができないかどうか考えるのです。このような学習をすることによって、問題解決の思考が身につくようになってきます。

<0.01がいくつかを考える方法>

  • 9.87→0.01が987こ
  • 7.56→0.01が756こ
  • 987と756の差を出す。

<位ごとに分けて考える方法>

  • 位ごとに分ける。
  • 9−7、0.8−0.5、0.07−0.06をして、差を出す。

キーワードその2:「きまり」

4年「変わり方」を例に考えてみましょう。

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<問題>
1辺が1cmの正方形を並べて、次のような階だんの形をつくります。
だんの数を1だん、2だん、3だん・・・とふやしていくと、まわりの長さはどのように変わりますか。
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このような問題の場合、まず表にかいて調べてみましょう。

かいた表を横に見ていくと、変わり方がわかります。そうです。段の数を1段、2段、3段、・・・と増やしていくと、周りの数が4cm、8cm、12cm、・・・と4cmずつ増えています。

このように、一方が増えて、他方も増えるなどの学習は、5、6年の比例につながる大切な学習です。また、きまりを見つけていく学習は、子どもにとっても大変興味関心のある学習でもあります。

キーワードその3:「もどる」

4年生「1けたでわるわり算の筆算」を考える場面をもとに考えてみましょう。

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<問題>
60÷3、120÷3の計算のしかたを考えましょう。
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最初に60÷3について考えてみましょう。教科書では、10円玉をもとに考えています。こんな感じです。なぜ、このような考え方をするのでしょう。

それは、60÷3、120÷3を既習事項と関連付けて解決ができるようにするためです。今まで学習したことを使って、問題を解決することは算数の学習でとても大切にしています。話を戻しますが、60÷3を10円玉をもとに考えてみましょう。

60・・・・・・10が6こ
60÷3   ・・・・10が(6÷3)こ
60÷3=20

10円玉をもとにして考えると、10円玉6枚を3つに分けるわけですから、10円玉は2枚、つまり20円となります。このように、6÷3や12÷3を学習したことに「もどる」ことは問題を解決する上で非常に有効な方法の一つとなります。
次に120÷3についてです。60÷3と同じように考えます。ここでは、10のいくつ分という意味に戻って考えるとよいです。

120・・・・・・10が12こ
120÷3   ・・・・10が(12÷3)こ
120÷3=40
120円の場合も10のいくつ分という意味に戻って考えることで問題をよりよく解決することができます。


今回のお話はいかがでしたか? 
この内容は、授業スキルアップ研究会 でも扱っています。また、授業に関する内容は、
『子供がなぜか話したくなる 算数ファシリテーション入門』 (東洋館出版社)や
『学び合いコーディネートスキル60』 (明治図書)もぜひ参考にしてみてください。

神保 勇児(じんぼ ゆうじ)

東京学芸大学附属大泉小学校 教諭


2020年度はコロナウィルスでの休校期間でオンライン授業を多く行うことがありました。その時に得た、オンラインでも使える問題の見つけ方、子供の自力解決の見取り方、つぶやきの拾い方、発表検討のさせ方など紹介していきます。
「jimbochanのブログ」https://jimbochan.hatenablog.com/

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