2023.03.21
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保護者から見た学校 ―通知表に思うこと―(8)

我が家には中学生の子どもがいます。数年前から「これ今の保護者の立場としてどう思いますか?」と行事の計画や配布プリントについて,職場で意見を求められることが増えました。私の考えていることが保護者にとっても学校にとっても,役に立つことがあるのかもと思うようになりました。保護者から見た学校について,また一教員として前向きにあくまで前向きに!考えてみたいと思います。 この連載は私の個人的な意見であることと合わせて,今までの勤務校や教職員の方たちへの批判,我が子の通う学校や担任への苦情では決してないことをご理解いただけると幸いです。

愛知県公立中学校勤務 都築 準子

通知表を見たときの親の第一声は?

子どもたちは、学期末に学校から通知表をもらってきます。私の住む地域は3学期制なので、長い休み前の最後の日に年3回もらってくるわけです。

親が通知表を開くときにまず思うことはおそらく「どうやって褒めようか」です。どんな悪い数字やマークが並んでいようとも、我が子が一生懸命登校して学習した結果ですから、なんとしても褒めて次へ繋げたいと思うわけです。
ですので、一旦、高得点を期待している(いや、あんまりしていない。むしろ無関心)自分を捨てて、冷静に褒めポイントを探します。子どもに向かってかける最初の一言…これが迷うんですよ。

まずは「がんばったね」でいいとは思うのですが、それだけでは何をがんばったのが分かったのか分からない…子どもがめちゃくちゃ努力して上げようとしていた教科があったとか劇的に前回よりも評価が上がっている確信があればそこを誉めればいいのでしょうが、何せ自分もそんなに数字には興味がないので、前回なんて覚えていない。

そして結局「まあいいんじゃない。うん、いいと思う。がんばったじゃん」と自分で自分を納得させているみたいな言い方になってしまう。実際我が家は子どももそんなにこだわってはいないので、親がどんなことを言ったかなんて気にしていない。

しかし、学校でクラスの子どもたちと話をしていると、小学校だと「〇が何個増えたから焼肉に連れて行ってもらった」とか「前回よりも何個これが増えたねって言ってもらった」とか、中学校だと「落ちたからスマホを没収される!」とか「変わってねえ!また言われる」とか保護者も通知表については結構気にして口出ししている様子です。(当たり前か?!)

みなさんのところはどうでしょうか。

気になる所見欄

通知表には行動の所見の欄があります。我が子は大抵書かれることが決まっています。上の子は「係の仕事を責任をもって取り組むこと」と図工や音楽での発想力・算数のスピードです。下の子は「たくさんのみんなと笑顔で過ごしたこと」と算数です。低学年のころからだいたいずっと一緒です。

親としても「そうでしょうね」という感じなのでいいのですが、時々「えっ!こんなことある?」ということが書いてあるときがあります。家では見られない素敵な一面だったらいいのですが、どこをどう見ても我が子がこんなことするわけないよなあと思うことだと逆に不信感をもちます…。

もう1年間の最後なので、いちいち言いませんがね…
通知表に書くことは無難なことで結構です。先生方の負担も大きいですしね。とはいっても自分が担任として書くときは張り切ります。書くことは嫌いじゃないので、できるだけ具体的にその子の素敵な行動を書くようにしています。150字程度と言われるとがっかりするタイプです。そんなの全然書けないじゃん…

個人的には保護者に「そうでしょうね」と思われるちょっと上を行きたいなと思っています。「この人子どものことめっちゃ見てるな」とか「都築先生でよかったな」って思ってもらえるような。飾る必要なないんですけどね。

通知表が変わったとき

数年前、通知表が教員の負担軽減措置で行動の所見欄が1年に1回になりますという通知が学校から出されました。教員をしている自分からは「まあそうでしょうね。大変だもんね」という気持ちだったのですが、周りのママ友たちやPTAの反応が怖かったのを覚えています。

「あれがなかったら通知表じゃない」「たった数行のことやってくれてもいい」「子どもの頃の通知表は宝物。私もずっと取ってあるんだから」等々、時代の流れを無視した考え方…いや、教育界の時代の流れなんて外にいたらわからないかもしれません。中には理解を示していた方もいらっしゃいましたが、声が大きい人たちが騒いでいたので、なかなか大変だったと思います。

保護者からしたら、いきなりなんの断りもなしに、という感覚だったのかなと思いました。もう少し段階を踏んでいくとか周知にも時間をかけるとかしたらよかったのに、学校のやり方もまずいなと思いました。勉強になりました。いや、子どもたちはどう思っていたのかしら。我が子は特に何も言っていなかったな。もともとあまりこだわりないからなあ…参考にならず。でもいろいろな人がいて、いろいろな考え方があるので、通知表も多方向の意見(全部聞いていたらきりがないのですが…)をもとに改善し、先生たちにも保護者にもより良いものになっていくといいと思います。もちろん子どもにとっても。

都築 準子(つづき じゅんこ)

愛知県公立中学校勤務


仲間とかかわり合いながら主体的・協同的に学ぶ児童の育成を研究・実践しています。18年にわたる小学校勤務において,協同学習を取り入れた,全員が参加する授業作りを行ってきました。まずは,読んでくださる方に寄り添い,思いを共有していただけるよう心がけます。

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