2023.01.11
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保護者からみた学校 ―「先生は子どもがいないから」の裏には―(5)

我が家には中学生の子どもがいます。数年前から「これ今の保護者の立場としてどう思いますか?」と行事の計画や配布プリントについて,職場で意見を求められることが増えました。私の考えていることが保護者にとっても学校にとっても,役に立つことがあるのかもと思うようになりました。保護者から見た学校について,また一教員として前向きにあくまで前向きに!考えてみたいと思います。 この連載は私の個人的な意見であることと合わせて,今までの勤務校や教職員の方たちへの批判,我が子の通う学校や担任への苦情では決してないことをご理解いただけると幸いです。

愛知県公立中学校勤務 都築 準子

「なんであんな言い方するんだろう」

保護者として,我が子に関わる先生たちと話しているときに口調にとげを感じたり,表情の硬さを感じたりすることがあります。何か不穏なオーラだったり,無言の圧力だったり。
自宅に帰り,私が先の「なんであんな言い方…」発言をしたときに,一緒にいて一部始終を見ていた我が子が「母さんも結構煽ってたよ」と言ったのです。なるほど,原因がこちらにあることもあるようですね。その時は我が子の言葉に反省させられました。

しかし,そこに行くまでにはさらに前があって、それまでの対応のまずさ(学校が一方的にというわけではなく)とか、すれ違いとか小さなことが重なっている。保護者は日常的に学校へ連絡できない。子どもに害が及ぶのではないかとかモンスターだと言われるのではないかと恐れている。(実際はそんなことはただの杞憂。自分は担任の立場としては全く思っていないにもかかわらず…保護者の立場になると心配してしまう)
そしてその間に悶々と考えてしまい,「まずは○○すべきでしょう」とか「普通は○○するでしょう」というような思いが出てくる…。私の場合,たちが悪いのは自分の対応と比べてしまう…「私だったらこうするのに」。自分が100パーセント正しいわけではないのも頭では分かっているのだけど。

本当は思いは一緒なのに…すれ違う教員と保護者

結果,お互いなんだか打ち解けないまま,腹の探り合いみたいな時間が続き,変な空気になる。大人なので取っ組み合いのけんかにはならない(そりゃそうだ)お互い(おそらくお互い)モヤモヤしながら帰路につくというパターン。幸い?私にはママ友なるものもいないので,愚痴を言う相手がいない。デジタルタトゥーが怖いのでSNSで拡散したりする恐れもない。(学びの場はデジタルではないのか)いや、これは学校と保護者の間ではよくある1つの事例だと思いたい。(ママ友いないからよくわからない)

学校や担任の思いと保護者の思いがすれ違うことがあります。本当は子どものために最善の選択をしていきたいという思いは同じなのですが,どうしても思いが伝わらないときもあります。そういうときは,信頼関係が揺らいでいるので,やはり誠意をもって話をしたいなと思います。そして誠実な対応を心がけたいものです。担任としての話。

「子どもがいないとね」という言葉

少し前に保護者に「やっぱり保育士さんは子どもがいないとね~」と新任の保育士が言われた話がSNSで話題になっていました。その後、新聞にも記事が載ったりしてご存じの方もいるかもしれません。こういうときは「じゃあ消防士さんも自分の家が火事にならないと駄目ですかね~!」と返す、というネタなのかなんなのか。いや、ネタであってほしい。

保護者がそれを言ったときは、きっと何か学校に不信感を感じているときです。今後のことを考えたら、絶対に言い返してはいけません。恐ろしい…

私も若いときは若いというだけで頼りないと判断されたり,実際に「子どもがいないから」といわれたこともあります。そのときは子どもの有無と教員としての仕事の出来は関係ないのにと思いましたし、そんなどうしようもないことで判断されるのはショックでしたし、悲しかったです。
しかし、その言葉が出てきたということは、その保護者には何か思うところがあったのかもしれないのです。

子どもの話に限らず、自分に至らないところがあったことは真摯に受け止め,「話を聞きますので教えてください」って言えるようにしたいと思います。
ただ,それでもわだかまりが解けなかったら…他の先生やカウンセラーを紹介したり,管理職に入ってもらったりして,いろんな人を巻き込んでしまいましょう。1年のつきあいです。諦めも肝心です。子どもとも保護者とも前向きに楽しくつきあいたいものですね。

都築 準子(つづき じゅんこ)

愛知県公立中学校勤務


仲間とかかわり合いながら主体的・協同的に学ぶ児童の育成を研究・実践しています。18年にわたる小学校勤務において,協同学習を取り入れた,全員が参加する授業作りを行ってきました。まずは,読んでくださる方に寄り添い,思いを共有していただけるよう心がけます。

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