保護者から見た学校 ―懇談会に思うこと―(7)
我が家には中学生の子どもがいます。数年前から「これ今の保護者の立場としてどう思いますか?」と行事の計画や配布プリントについて,職場で意見を求められることが増えました。私の考えていることが保護者にとっても学校にとっても,役に立つことがあるのかもと思うようになりました。保護者から見た学校について,また一教員として前向きにあくまで前向きに!考えてみたいと思います。 この連載は私の個人的な意見であることと合わせて,今までの勤務校や教職員の方たちへの批判,我が子の通う学校や担任への苦情では決してないことをご理解いただけると幸いです。
愛知県公立中学校勤務 都築 準子
懇談会で生まれる確執 ヤダヤダ
懇談会は1学期の後半と2学期の後半にあります。大抵、勤務校と我が子の学校の日にちがかぶります。私は自分のクラスの懇談会の時間をなんとかやりくりして、我が子の懇談会にはほぼ自分が出席してきました。できるだけ低姿勢で臨みますが、モヤっとすることも多少ありました。自分もさせているかもしれないので、大きなことは言えませんが…
ママ友(ママさん教員のこともある)と懇談会について話すことがあります。大体は憤慨した話です笑。私が気になった話はいくつかありますが特に「呼び捨て」事件です。詳しく言うと懇談会中に先生が我が子を呼び捨てしたという事件です。あ、言わなくてもわかりますか。
「〇〇(子どもの名前もちろん呼び捨て)ってぇ~そういうところありますよねえ!」って言われて思わず閉口しちゃった話とか。
「〇〇は不器用なところあるから△△の学習大丈夫ですかねえ」って笑いながら言われて「私は不器用だとか思ったことありません」って言い返しちゃった話とか。
先生は親しみを込めて話したのでは?と思ったりもしますが、懇談会での呼び捨てはやはり我が子がぞんざいに扱われているような気がします。私は担任としては普段からできるだけ「さん」付けで過ごしています。保護者が見ているから「さん」付けっていうのも変な感じですしね。ただし、私も「さん」付けで上品な言葉を使っているようにみせているが、口はよくない…自覚あり。気を付けたいところです。
保護者に伝える良いところ・悪いところ
担任をしていると懇談会は保護者と話せる良い機会だと思って、もちろん良いところや頑張っているところを伝えるわけですが、「もっとみてほしい」「家でも声かけてほしい」「手をかけてほしい」という思いから、悪いところ・できていないところを伝えがちです。
私も若い時はやっていました。「いいところ8割・悪いところ2割で言うといいよ」など根拠のないことを学年主任に言われたりして、言ってやらなきゃと思ってしまう。しかも善意で。
しかし、我が子の悪いところを言われて「そうですよね」と本当に心から頷いてくださる保護者はどれくらいいるのだろう。中には「先生、もっと本を読ませますね!」と嬉々として帰って行かれる素敵な保護者もいらっしゃいます。いや、私が言うことに困って「読書とかしたらどうでしょう」などと言ったがために。すみません!
数か月しか関わっていない他人の嫌な言葉を、素直に受け入れることはなかなかできることではありません。生まれてから今までずっとそばにいて育ててきたのは、誰でもない保護者本人だからです。子どもの悪いところなんて嫌というほどわかっています。
悪いところはあとでいい
そこで私は悪いことは言わない作戦で懇談会を乗り切ることにしています。良いところ10・悪いところ0です。「〇〇さんはこんなこともこんなこともできます!」「みんなに優しいとか明るいとか素直とか行動力があるとかいいところがいっぱいです!本当に素敵なお子さんです」(わざとらしくならないように注意)と伝えます。特に1学期の懇談会は日が浅いのでまずは信頼してもらうことから始めたいものです。
この人は我が子のことを好意的に見てくれていると思えば、自然と親近感がわいて、なんだか距離が近くなり、気になっていることも相談できる、というわけです。
もちろん重大な心配事や今後の対応など言わなければいけないこともありますから、そこはやってもらって。自分が学年主任となってからは、若い先生たちにも「保護者は我が子について先生と楽しくお話ししたいと思ってきているので、初めにこんないいところに私は気づいてますよって言ってあげてね」と言っています。よほど重大なことでなければ、気になることはあとでもいいのです。
いきなりの「どうですか」攻撃
保護者側から言うと、席に座った瞬間「どうですか」攻撃も面喰います。よほど話すことを考えてきていないと、急に「どうですか」と言われましてもさっと話し出すことはできません。そういう先生結構います。
家庭での様子とか保護者からみた子どものこととか聞きたいのかなあと思いを馳せますが、何が聞きたいのかよくわからないのでこちらは困ってしまいます。何しろ、こちらはまず子どもの学校での様子を聞きに来ているので、「しっかり話を聞いています」とか「休み時間は外で元気に遊んでいます」とか「誰誰さんとよくいます」だけでも最初に聞いて安心したいものです。
懇談会は担任としても忙しい中、準備をして保護者と話をしなきゃいけない憂鬱なイベントかもしれませんが、お互いが前向きになれる有意義な時間にしたいですよね。私は結構嫌いじゃないんですよねえ、担任としての懇談会。お子さんの学校では見られない生態とかご家庭の力関係とかが垣間見られて面白いです。前向きに楽しんじゃいましょう。
あ、でも失敗もいろいろありますよ。順番間違えたりとか、子どもの名前間違えたりとか。いや、呼び捨てよりひどい…
都築 準子(つづき じゅんこ)
愛知県公立中学校勤務
仲間とかかわり合いながら主体的・協同的に学ぶ児童の育成を研究・実践しています。18年にわたる小学校勤務において,協同学習を取り入れた,全員が参加する授業作りを行ってきました。まずは,読んでくださる方に寄り添い,思いを共有していただけるよう心がけます。
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