辞書引き学習のスタート
今年度はまた3学年を担当することになりました。3学年の担当をすると、一番力を入れて行うのが「辞書引き学習」です。「辞書引き学習」は中部大学教授である、深谷圭助先生が提唱する学習法で、辞書から知っている言葉を見つけて、そこに付箋を貼っていく学習法です。この学習を行うことによって、子どもたちが進んで辞書を活用するようになり、語彙力を高められるだけではなく、自ら学習する姿勢も身に付けられます。今年度も、児童と辞書を活用した学習をスタートさせました。
スタートして数週間が経ちました。これまでの経験では、児童が付箋を貼る面白さや、付箋の数が増えていく喜びから、教師が何も言わなくてもどんどん辞書引きに取り組む児童が多かったのですが、今回担当する児童はすぐにやめてしまいます。これまでは、時間があると「先生、辞書をやっていいですか?」と言ってきていたのですが、そういう児童は数名になりました。今年度は、辞書や付箋の魅力以上に、教師の辞書に興味をもたせるための仕掛けが必要になると考えました。
児童の課題に合わせて教師からきっかけを作る
児童が辞書を引くきっかけを作るために、まずは毎日行う漢字学習を活用することにしました。新出漢字を学習したら、その漢字をすぐに調べるように声かけをしました。児童は隣の友達同士で競争をしながら漢字を辞書から見つけています。そして、見つけた漢字の近くにある言葉についても興味をもって調べています。また、例えば「『早い』と『速い』はどう違うのかな?」と児童が知りたいと思うような投げかけをすることで、進んで辞書を引くようになりました。
また、国語だけでなくいろんな教科等で辞書を活用することにしました。社会科で地図記号を学習する際には、辞書から地図記号を見つける活動を行いました。児童が使っている辞書には、地図記号の例がたくさん載っていて、児童が大変喜んでいました。また、算数で「わり算」などの意味を調べたり、理科で「昆虫」を調べたりと、百科事典のような活用の仕方もしています。今年度の実践では、付箋はそんなに増えないかもしれませんが地道に活動を続けていきたいと思います。3学期には、算数の「重さ」の学習で児童が貼っている付せん全部の重さを測る活動をしようと考えています。現在の付箋が貼られた児童の辞書と、何も貼っていない最初の辞書の重さを比べることで付箋の重さが求められます。その授業をするときの児童の喜ぶ顔が目に浮かびます。
これからも積極的に様々な教科等で辞書を活用していきたいと考えています。
菊池 健一(きくち けんいち)
さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。
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