2024.02.15
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わくわく!AI時代の授業づくり!〜情報活用能力の育成に向けて〜

今後、生成AIが子どもたちの学びに寄り添っていくことは間違いありません。この先の未来を生きていく子どもたちにとって「今」必要な学びとは、一体何でしょうか。

今回は、生成AIを授業に取り入れる際の「はじめの一歩」として、大切になる視点についてお話ししたいと思います。また、ガイドラインを踏まえて行った実践についてもご紹介します。

北海道旭川市立末広北小学校 教諭 長田 夢

授業での活用の前に

生成AIを活用するにあたり『初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン』においては、「適切でないと考えられる例」と「活用が考えられる例」が示されています。ガイドラインを確認すると、生成AIの活用の適否は「生成AIの特性を理解して活用しているかどうか」がキーとなることが分かります。

では、生成AIの特性を理解した活用とは何でしょうか。それは「情報活用能力の育成」のために生成AIを子どもたちの学びに生かすことであると私は考えます。「生成AI」という言葉だけが一人歩きするのではなく、資質・能力の育成に関わって、情報活用能力と生成AIとは密接な関わりがあるという点は、必ずおさえておきたいポイントです。

生成AI「はじめの一歩」

今回は、ガイドラインにおける「3.生成AIの教育利用の方向性」の「(2)生成AI活用の適否に関する暫定的な考え方」における「活用が考えられる例」の「③グループの考えをまとめたり、アイデアを出す活動の途中段階で足りない視点を見つけ議論を深める」に基づいた実践例を紹介します。
低学年で取り組んだものであるため、「生成AIを取り入れた授業をしてみよう!」という先生にとっては取り組みやすい例だと思います。
ChatGPTを活用して行った実践をご紹介いたします。

ChatGPTと一緒に考える〜生成AIとの出会いと理解〜

生成AIを学級に取り入れるための、初めの一歩。それは、生成AIと遊ぶことです。もちろん教師も一緒に楽しみますよ!
遊ぶことにより、教師も子どもたちにとっても、生成AIについての理解が深まります。

まずは、子どもたちが「生成AIとは何か」「何ができるものなのか」「何が苦手なのか」について理解できるように、ChatGPTを使って、とことん一緒に遊ぶのです。

例えば
・ChatGPTと一緒にしりとり
・ChatGPTに「好きな〇〇」を聞いてみる
・ChatGPTに質問タイム
など、まるで新しい転校生が来たかのように、一緒に仲よくなる時間を作ります。

すると子どもたちは、生成AIの存在について理解し、自分たちと一緒に勉強する仲間のように親しみをもつ機会になります。その経験の積み重ねが「生成AIの特性の理解」に繋がり、さらには「情報活用能力」へと段階的な育成に結びつくのです。

行事のテーマをChatGPTと作る〜多様な意見・情報の収集〜

運動会や学習発表会など、学級で何かひとつのテーマ・スローガンを考えなくてはならない場面でも、ChatGPTは大活躍です。日常的にChatGPTを活用する場面が増えると、低学年であっても、生成AIと一緒に合意形成を図り、立派なテーマを作り上げることが可能になるのです。

協働学習の活動をいれながらChatGPTを活用して学習発表会のスローガンを作った実践例を紹介します。

①協働学習支援ツール(今回はJamboard)を使い、グループごとにテーマに盛り込みたいキーワードを考えます。
例:1班「未来」2班「あついステージ」3班「燃える!」4班「学び」など

②各グループのキーワードをもとに、ChatGPTにプロンプトを入力してスローガンを作ります。
以下、例です
・みんなで協力して、学習発表会のスローガンを考えます(まずは、状況を説明)。
・未来、あついステージ、燃える、学び、のキーワードをいかした素敵なスローガンのアイディアを教えてください。

生成AIから出してほしい案が提案されるよう、プロンプトへの指示も子どもたちと一緒に考えています。「〜して」「〜考えて」のような命令口調で教師が一方的に生成AIを使うのではなく、子どもたちも「問い」の仕方を考えることができるようなプロセスを重視します。プロンプトを考える際も丁寧に子どもたちと一緒に考えます。

③子どもたちと教師が対話をしながら「もっとかっこいい感じにしてください」「みんなが感動したりわくわくしたりするような気持ちになれるように工夫をしてください」など、プロンプトに盛り込みたいことを考えます。

④ChatGPTが考えたスローガンの候補から、子どもたちと対話をしながら、自分たちの思いがより反映されているスローガンを作り上げます。あくまでChatGPTが考えたスローガンは案ですので、最終的な仕上げは学級みんなで考えて、オリジナルのスローガンを作ります。

以上のステップにより、低学年でも大人顔負けのスローガンを完成することができました。

「未来の扉を開くステージ!一歩踏み出し、感動の世界が、いま始まる!」
低学年でもかっこいいスローガンが完成〜!

授業での日常的な活用の前に

今回は、授業での日常的な活用に向けて、「まずは生成AIと仲よくなろう!」という、生成AIと子どもたちとの距離が近くなるための活用方法をお伝えしました。決して、ただ遊んでいる訳ではありません!!
情報活用能力の育成という大きな目標に向けて、生成AIを効果的に活用していくためには大切なステップであると私は考えております。

次回は、いよいよ授業での活用方法です。
生成AIを活用し、子どもたちがワクワクする授業づくりをしてみませんか?
すぐできるマル秘テクニックから、授業案作成のプロセスまでをご紹介いたします。お楽しみにしていてくださいね!

長田 夢(ながた ゆめ)

北海道旭川市立末広北小学校 教諭
北海道上川教育研修センター http://kami-cen.hs.plala.or.jp/
ICT実技研修講座講師(上川教育マイコン研究会)


ICTを活用した授業を,毎日楽しく行っています。AIを取り入れ,「多様性」が当たり前の授業もしています。常にプログラミング的思考を働かせて,子どもたちが主体的に学ぶことのできる学習環境を整えています。パラダイムシフト,完了しています!こちらでは,明日の授業が楽しくなるような,わくわくする話題をシェアしたいと思います! #ICT  #AI  #ChtaGPTを活用した授業 #協働的な学び

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