21st Century Skills for Educators: 教師の備えるべき21世紀型スキルとは?
人は誰でも違った能力を持って生まれてきます。未来を担う現代の子どもたちはその能力を自ら発見し、磨くことができているでしょうか? 人は世界中の他者や社会に貢献することによって、喜びと糧を得ていくことができるであろうと私は信じています。米国の学校では、私たち教師は21世紀型の教師として備えるべきスキルを求められています。 今日はその教師の備えるべき21世紀型スキルを簡単に以下に記します。
在沖米軍基地内 公立アメリカンスクール 日本語日本文化教師 下條 綾乃
21世紀型スキル
21世紀型スキルとは、これからの時代に適応するために必要なスキルの総称です。
21世紀型スキルは国際団体ATC21s(Assessment and Teaching of 21st Century Skills)によって提唱されました。
21世紀型スキルは、情報想像力や批判的思考力、問題解決力、コミュニケーション力、プロジェクト力、ICT活用力などで構成され、変化の激しい時代に必要なスキルが網羅されています。
21世紀型スキルの4つのC
21世紀型教師が備えるべきスキルとは?まず21世紀型スキルの4つのCを紹介します。
Critical Thinking:クリティカルシンキング(批判的思考)は、教育分野において最も重要な資質であると考えます。批判的思考を育む実践を多くファシリテートすることによって生徒の問題解決能力と分析能力を伸ばすことができます。生徒は自主的な思考と意思決定を促すことができます。
Creativity:教師の創造性は生徒の革新的な思考と適応力を促すことができます。そして生徒の様々な学習方法と表現方法を支援することができます。既成概念にとらわれない思考、芸術性、好奇心、想像力、革新性などを育むことが重要です。
Collaboration:教師が他教師とのチームワークや生徒間とのやりとりで協調的な場面、対人スキルを生徒に見せるということは重要です。それは他者との協働、生徒の学習、管理可能な変化への期待、協力的な環境作りにより、アイデアのギブ・アンド・テイクが可能になります。
Communication:他者と話すということは、教師が身につけるべき中核的なスキルです。口頭や書面でのコミュニケーション、人前でのスピーチやプレゼンテーション、リスニングなどが含まれます。
21世紀型スキルを身につけるための教授法とは?
21世紀型スキルを身につけるための教授法とは?
こちらの学校では以下のような指導法があります。
Project-Based Learning(プロジェクトベース型学習):実社会のプロジェクトを通じて、問題解決、協力、批判的思考を促します。
Inquiry-Based Learning(探究型学習):好奇心と探究心を促進し、創造性と自主的思考を育みます。
Collaborative Learning(共同学習):グループワークを活用し、チームワークとコミュニケーション能力を高めます。
Flipped Classroom(反転授業):生徒が自分のペースで内容に取り組み、授業中に知識を応用する機会を提供します。
Technology Integration(テクノロジーの統合):デジタルツールを取り入れ、インタラクティブで個別化された学習体験をサポートします。
Interdisciplinary Lessons(学際的な授業):教科と教科をつなげて理解を広げ、革新的な思考を促します。STEAM学習などもこの教授法に含まれます。
Problem-Based Learning(問題解決型学習):実社会の問題を解決することに焦点を当て、分析力や意思決定力を高めます。
STEAMとは?
Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Arts(芸術)、Mathematics(数学)の頭文字をとったものでSTEAMは次のことを重視しています。STEMにアートを取り入れることで、学習体験が豊かになり、豊かで適応力のある思考者が育つと言われています。STEAMにより汎用性の高いスキルを育成することで、生徒の将来のキャリアに備えることができます。
こちらの学校で以前実践した面白い授業の一つに、ギフテット、アートのクラスで学校のプレイグラウンド(遊具場)を設計するといったプロジェクトがありました。子どもたちが大人のエンジニアプロジェクトチームと連携して運動場を設計し、図面を起こし、遊具を投票で選び、予算案を作成し、構築するという作業を一から行いました。自分たちで創った運動場が完成し竣工式を経てお披露目の式典を迎えた時の子どもたちの達成感はものすごいものがありました。
21世紀の教師とは、適応力のある労働者であり革新的思考の持ち主であり、インフルエンサーであると言われています。生徒一人一人をユニークな存在として捉え、そのニーズに最適で創造的な学習戦略を立てることができる教師。学級経営に関しても、私たちは問題に対処するために既成概念にとらわれない解決策が必要になるかもしれません。そして私たち自身が生涯学習者になり毎日新しい挑戦を経験すること。次世代がますますグローバル化する社会を平和に乗り切ることは、簡単なことではありませんが、挑戦には終わりがありません。私たち教師が常に変化し続ける環境に適応し、進化し続けることが大切だと考えます。
下條 綾乃(しもじょう あやの)
在沖米軍基地内 公立アメリカンスクール 日本語日本文化教師
日本語学校や領事館等で日本語を教えた後、米軍基地内の公立アメリカンスクールで日本語日本文化を教えて20年ほどになります。何年経っても毎日驚きと気づきがあり、それらの一部を皆さんと少しでも多くシェアできたら嬉しいです。外国の子供達に自分の話す言葉や習慣、文化を教えることの楽しさ、難しさ、面白さを呟いていきます。
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