2021.06.30
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算数科 つまずきを乗り越える授業づくり〜一般化できる子どもを育てる〜(8)

GIGAスクール構想によって一人一台のタブレットPCの普及が進められています。

タブレットPCという便利な道具を活用することで、乗り越えられるつまずきがたくさんあるはずです。

乗り越えられるつまずきの一つとして、知識を一般化する際のつまずきがあると考えます。

名古屋市立御器所小学校 教諭 松田 翔伍

算数授業でよくあること たった一題で一般化

以前の私の算数授業の流れをまずは紹介します。教師が問題を出し、一人で考える時間をとる。その後、練り上げと呼ばれる話し合いを経てまとめをする。時間があれば練習問題に取り組ませる。解いた問題はたったの一題なんてこともよくあることでした。一題でも多様な解決方法が出てきて、その一つ一つを大切に扱うことは、ただ闇雲に練習問題に取り組ませることより価値があります。しかし、一題を解いて得られた結果から過度に一般化し、新たに学んだ知識としてまとめることについては、立ち止まって考えなければいけないと思います。

例えば、5年「小数のわり算」の学習では、「24.5mのロープを5.6mずつに切ってなわとびをつくります。何本できて、何m余りますか」(『わくわく算数5』啓林館)という問題に取り組んで、余りのある小数の割り算について学習します。
余りの小数点の位置が、わられる数のもとの小数点と同じところになることを一般化するのです。「24.5÷5.6=4あまり2.1」になるということを一題で確かめただけでは、余りの小数点の位置の決め方を一般化することはできません。もっとデータが必要です。

以前の私の授業でも、一題から言えることをまとめた上で練習問題に取り組み、やっていくうちに知識を一般化して他の問題にも適用できるようになった子どもは大勢いました。しかし、「一題解いて教師がまとめる」というスタイルを続けていると、学習の他の場面において知識を一般化しようとする態度を養うことができません。その結果、学習を通して得た知識が特殊なことなのか、一般のことなのか判断できないというつまずきが起こります。
上の例で言えば、「余りの小数点の位置が、わられる数のもとの小数点と同じところになるという意味が分からない」「だけど先生が言うのだからきっとそうなるのだろう」と言った様子が見られるようになります。

ロイロノートを使うと

ロイロノートで共有している様子

そこで上の実践をロイロノート・スクールというアプリを活用して行いました。
まず、「□Lのジュースを△Lの水筒に入れます。何本できて何L余りますか」というように数を明示せずに問題を提示します。そして、「□と△に好きな数を入れて問題を作りましょう」と投げ掛けました。その際に、ロイロノートの提出機能を使って全員の作った問題を集め、全体で共有します。そして、「どんな問題になったかな。仲間分けしてみましょう」と投げ掛けました。すると、「1本も水筒にできないものがあります」「整数÷小数になるものがあります」というように、問題の条件を分類し始めます。今回は、子どもたちの声を取り上げながら私がWチャートで分類していきました。
次に、「じゃあどの問題から取り組む?」と尋ねると、「整数÷整数」というように簡単なグループから取り組むことになりました。整数同士の余りのある割り算は既習です。余りの小数点の位置について特に考える必要はありません。
次に、整数÷小数の問題について取り組むことになりました。すると小数点の位置が課題となります。移動した小数点で考えてしまうと、確かめ算で合わないという事態になります。そのうち、わられる数のもとの小数点の位置で考えるとつじつまが合うことに子どもたちは気付きます。この後、条件ごとに分類されたたくさんの問題が出来上がっているので、「余りの小数点の位置が、わられる数のもとの小数点と同じところになる」という仮説を立て、実験してデータを集める流れとなりました。

これまでも、他の場面でも成り立つかどうか問題づくりをして確かめていく授業はされてきました。ただし、得られた仮説が成り立つ場面を類推して問題作りすることができるようにするには、問題の条件を意識して明確にしておく必要があります。
また、たくさんの問題がすでに出揃っているため、「他の場面でも成り立つのだろうか」と考えやすくなります。この思考は、たくさんの特殊な場面から一般的な性質を見出していく上で重要です。

授業で扱わない余白は、面白かったかどうかのリトマス試験紙

さらに、問題の条件を分類しておくと、授業で扱わなかったその他の「小数÷整数」「小数÷小数」などのグループを考察したくなってくるのが人の心理です。これらは全て授業で扱う必要はありません。
授業で考えていなかった余白の部分を設けることで、授業以外での学びにつなげることができます。また、その授業が面白かったかどうかのリトマス試験紙にもなるのです。

松田 翔伍(まつだ しょうご)

名古屋市立御器所小学校 教諭
すべての子が考える楽しさを味わえる算数学習を目指し、面白い問題の開発や指導法、子どもとの関わり方について毎日考えています。「できる」「分かる」だけではない、「楽しい」算数授業について私と一緒に考えてみませんか?未来を生きる子どもたちの笑顔のために。

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