2021.04.07
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算数科 つまずきを乗り越える授業づくり〜抽象から具体へ〜(4)

前回の記事では、授業におけるまとめの活動は、抽象化という思考によって行われることであり、まとめることで「一を聞いて十を知る」学びとなると書きました。そして、5年「速さ」の学習で、いわゆる出会い算と追いつき算を同時に提示し、共通点に着目させることで、まとめの視点が明確になることをお伝えしました。今回は、まとめの活動の具体的な方法についてお伝えしていきます。

名古屋市立御器所小学校 教諭 松田 翔伍

1 個人でまとめる

抽象化でつまずく子どもの多くは、まとめで何をすれば良いのか分からないでいます。そして、抽象化が得意な級友の発言をノートに写すだけになっている可能性があります。そこで、まずは「個人でまとめる」活動を確保します。「学習したことで、大切なことは何ですか?」「解決方法を比べて共通点はありますか?」と発問することで、「複数のものをまとめて、一つのものとして扱う」思考を促します。

出会い算と追いつき算の学習では、次のような記述が見られました。

・どちらも二人の距離が縮まると解ける。
・1分間に縮まる距離を求めることが大切。
・表を使って解く。
・表をかいて、きまりを見つける。
・何分に出て何分に出会うかを求める。
・どちらも割り算を使って解く。
・2人の間がだんだん短くなっていくのが共通点。しかし、出会い算の方は時間と縮む距離が比例しているが、追いつき算は比例していない。

2 個人でまとめた言葉を、全体の場で抽象(目的)と具体(手段)に分類する

具体・抽象ピラミッド

上で出た言葉を短冊に書いていきます。そして、具体・抽象ピラミッドに位置付けていきます。図のように「表を使う」「割り算を使う」は他の文章題でも使っているし具体的すぎるため、ピラミッドの下の方になります。「1分間に縮まる距離に着目する」「きまりを見つける」という言葉が目的にあたるためピラミッドの上の方になります。子どもたちには、「目的+手段」をセットに書けると、他の問題でも使える知識になると伝えます。全体で話し合いながら作った具体・抽象ピラミッドを見ながら再び個人でまとめます。「2人の距離がどれだけ縮まるか調べるために、表にまとめてきまりを見つける」などと書ける子どもが増えます。

しかし、具体と抽象という言葉自体、抽象的ですね。今回の記事では、高学年の活動を想定しています。また、具体と抽象という言葉は、目的と手段に置き換えても良いですし、国語科や社会科などでも明示的に指導することで、子どもたちでも意識して使うことができるようになると考えています。

3 抽象から具体へ 問題づくり

まとめたら、多くの場合適用問題を解かせます。その前に次のように一言付け加えると良いと思います。「今日の学習で使った見方・考え方は他の場面でも使えますか?」、また「今日の見方・考え方を使うような問題をつくりましょう」と投げ掛ければ、理解度が分かります。言葉でまとめた抽象から、改めて具体へ戻すのです。この具体と抽象の間を行ったり来たりすることを授業者が意識しておくことが重要です。

1人1台タブレット端末を用いれば

ここまでお読みくださり、ありがとうございます。そんなにまとめの時間を確保できないという声が聞こえてきそうです。しかし、1人1台タブレット端末が行き渡り、仲間と意見交流が容易にできるようになれば時間短縮できそうです。つくった問題を仲間と共有し、解き合うことで、楽しく活動することもできそうです。

松田 翔伍(まつだ しょうご)

名古屋市立御器所小学校 教諭
すべての子が考える楽しさを味わえる算数学習を目指し、面白い問題の開発や指導法、子どもとの関わり方について毎日考えています。「できる」「分かる」だけではない、「楽しい」算数授業について私と一緒に考えてみませんか?未来を生きる子どもたちの笑顔のために。

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