面積の求め方(第4回) ~ロープでつながれた動物が動くことができる範囲の面積
今回はロープでつながれた犬や牛などの動物が動ける範囲の面積を求めます。結局はおうぎ形の面積の組み合わせです。必ず自分で図を書き,小数点を含む計算を行うことが必要で,知識よりもむしろ正確さと根気強さが大切です。
今回はまずは,おうぎ形の面積の復習から行います。
準備体操
次の(1)~(4)のそれぞれのおうぎ形の面積は半径10cmの円の面積の何分のいくつになりますか。また面積は何cm²になりますか。円周率は3.14とします。
(1)中心角が90°のおうぎ形
(2)中心角が180°のおうぎ形
(3)中心角が270°のおうぎ形
(4)中心角が120°のおうぎ形
解説
おうぎ形の面積が円の面積に対してどれくらいの面積になるかは,図形をみれば直観的にすぐにわかるのものもありますが,基本的にはおうぎ形の中心角で計算します。
ここで,円の面積は(半径)×(半径)×3.14=10×10×3.14=314cm² です。
図を見れば,計算しなくても円の面積の4分の1に相当していることがわかると思います。計算では次のようになります。
360°90° = 41
このおうぎ形の面積は
(円の面積)
314cm2 × 41 = 314 × 41
= 314 ÷ 4
= 78.5cm2
図を見れば,計算しなくても円の面積の2の1に相当していることがわかると思います。計算では次のようになります。
360°180° = 21
このおうぎ形の面積は
(円の面積)
314cm2 × 21 = 314 × 21
= 314 ÷ 2
= 157cm2
図を見れば,計算しなくても円の面積の4分の3に相当していることがわかると思います。計算では次のようになります。
360°90° = 43
このおうぎ形の面積は
(円の面積)
314cm2 × 43 = 314 × 43
= 314×3 ÷ 4
= 235.5cm2
中心角が120°なので,次のように計算します。
360°120° = 31
このおうぎ形の面積は
(円の面積)
314cm2 × 31 = 314 × 31
= 314÷ 3
≒ 104.7cm2
答え:(1)78.5cm² (2)157cm² (3)235.5cm² (4)104.7cm²
問題1
次の図のように,たて1m,横3mの長方形の小屋があります。小屋のすみに2mのロープで犬がつながれています。小屋の外で犬が動ける範囲の面積を求めなさい。
解説
動物(犬)が動くことができる範囲はロープが最大限に伸びているときの状況で考えます。小屋やさく,へいなどの影響で,場所により大小さまざまなおうぎ形ができます。
ロープがつながっている場所(点)や小屋やさく,へいなどの角(すみ)がおうぎ形の中心になります。ロープの長さも考えて中心となる点をみつけます。
この問題で,おうぎ形の中心になるのは,2箇所( と )です。
ロープの長さは,2mなので,図の左側の2つの角は中心にはなりえません。
この問題では,2つの中心があり,2つのおうぎ形ができます。それぞれ分けて面積を計算して, 最後に足し算します。 まずは,水色のA点 から考えてみます。
ロープを最大限に伸ばした状況で考えます。
小屋のすみのロープでつながれている点を中心として,半径2m,中心角270°のおうぎ形 (水色)ができます。このおうぎ形の面積は半径2mの円の面積の4分の3に相当するから,
(円の面積)
2×2×3.14 × 43 = 2×2×3.14 × 43
= 9.42m2
さらに,B点を中心としたおうぎ形は,半径1m,中心角90°のおうぎ形(オレンジ色)です。このおうぎ形の面積はは半径1mの円の面積の4分の1に相当するから,
(円の面積)
1×1×3.14 × 41 = 1×1×3.14 × 41
=3.14÷4
=0.785m2
小屋の外で犬が動ける範囲の面積は,
9.42m²+0.785m²=10.205m²
答え:10.205m²
問題2
1辺が9mの正三角形のさくABCがあり,Aから3m離れたDに長さ12m のロープで牛がつながれています。この牛はさくの外側だけ動きまわることができます。牛が動くことのできる範囲は何m²ですか?
解説
この問題でおうぎ形の中心となりうる点は,D()とA()とB()です。ロープの長さが12mであることを考えると,C点を中心としたおうぎ形はできません(どんなにがんばってもC点までしか行けません)。
それぞれの中心に対して,牛の動くことができる範囲(おうぎ形)を書いてみます。
次の図のように3つのおうぎ形で表すことができます。
次にそれぞれのおうぎ形の面積を求めます。
D点を中心としたおうぎ形は半径12m,中心角180°なので,面積は
(円の面積)
12×12×3.14 × 21 = 12×12×3.14 × 21
=226.08m2
A点を中心としたおうぎ形は
(円の面積)
9×9×3.14 × 31 = 9×9×3.14 × 31
= 84.78m2
B点を中心としたおうぎ形は
(円の面積)
6×6×3.14 × 31 = 6×6×3.14 × 31
= 37.68m2
これらを足すと
226.08m² + 84.78m² + 37.68m² = 348.54m²
答え:348.54m²
教え上手 きんたろう先生
「算数の教え上手」担当のきんたろうです。よろしくお願いいたします。
私が塾・予備校で教壇に立つようになってから、10年近くになりました。どちらかというと、勉強があまり好きでない生徒を教えてきました。そんな生徒の中にも、きっかけを作ってあげると夢中になって勉強する子がいます。
そんなとき「いい仕事をした」と思います。
教え上手とは,もちろん科目を教えることが上手であることと思いますが、併せて子どもに学ぶ意欲を起こさせることだと思います。
この「教え上手」では、その両面について、私の経験を活かして述べさせていただく予定です。ご参考にしてください。