2005.10.11
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面積の求め方(第4回) ~ロープでつながれた動物が動くことができる範囲の面積

今回はロープでつながれた犬や牛などの動物が動ける範囲の面積を求めます。結局はおうぎ形の面積の組み合わせです。必ず自分で図を書き,小数点を含む計算を行うことが必要で,知識よりもむしろ正確さと根気強さが大切です。

今回はまずは,おうぎ形の面積の復習から行います。

準備体操

次の(1)~(4)のそれぞれのおうぎ形の面積は半径10cmの円の面積の何分のいくつになりますか。また面積は何cm²になりますか。円周率は3.14とします。

(1)中心角が90°のおうぎ形

(2)中心角が180°のおうぎ形

(3)中心角が270°のおうぎ形

(4)中心角が120°のおうぎ形

解説

おうぎ形の面積が円の面積に対してどれくらいの面積になるかは,図形をみれば直観的にすぐにわかるのものもありますが,基本的にはおうぎ形の中心角で計算します。

ここで,円の面積は(半径)×(半径)×3.14=10×10×3.14=314cm² です。

(1)中心角が90°のおうぎ形

図を見れば,計算しなくても円の面積の4分の1に相当していることがわかると思います。計算では次のようになります。

360°90° 41

このおうぎ形の面積は

(円の面積)
314cm2
× 41 = 314 × 41

= 314 ÷ 4

= 78.5cm2

(2)中心角が180°のおうぎ形

図を見れば,計算しなくても円の面積の2の1に相当していることがわかると思います。計算では次のようになります。

360°180° 21

このおうぎ形の面積は

(円の面積)
314cm2
× 21 = 314 × 21

= 314 ÷ 2

= 157cm2

(3)中心角が270°のおうぎ形

図を見れば,計算しなくても円の面積の4分の3に相当していることがわかると思います。計算では次のようになります。

360°90° 43

このおうぎ形の面積は

(円の面積)
314cm2
× 43 = 314 × 43

= 314×3 ÷ 4

= 235.5cm2

(4)中心角が120°のおうぎ形

中心角が120°なので,次のように計算します。

360°120° 31

このおうぎ形の面積は

(円の面積)
314cm2
× 31 = 314 × 31

= 314÷ 3

≒ 104.7cm2

答え:(1)78.5cm² (2)157cm² (3)235.5cm² (4)104.7cm²

 

問題1

次の図のように,たて1m,横3mの長方形の小屋があります。小屋のすみに2mのロープで犬がつながれています。小屋の外で犬が動ける範囲の面積を求めなさい。

解説

動物(犬)が動くことができる範囲はロープが最大限に伸びているときの状況で考えます。小屋やさく,へいなどの影響で,場所により大小さまざまなおうぎ形ができます。

ロープがつながっている場所(点)や小屋やさく,へいなどの角(すみ)がおうぎ形の中心になります。ロープの長さも考えて中心となる点をみつけます。
この問題で,おうぎ形の中心になるのは,2箇所( )です。
ロープの長さは,2mなので,図の左側の2つの角は中心にはなりえません。

この問題では,2つの中心があり,2つのおうぎ形ができます。それぞれ分けて面積を計算して, 最後に足し算します。 まずは,水色のA点 から考えてみます。
ロープを最大限に伸ばした状況で考えます。

小屋のすみのロープでつながれている点を中心として,半径2m,中心角270°のおうぎ形 (水色)ができます。このおうぎ形の面積は半径2mの円の面積の4分の3に相当するから,

(円の面積)
2×2×3.14
× 43 = 2×2×3.14 × 43

= 9.42m2

さらに,B点を中心としたおうぎ形は,半径1m,中心角90°のおうぎ形(オレンジ色)です。このおうぎ形の面積はは半径1mの円の面積の4分の1に相当するから,

(円の面積)
1×1×3.14
× 41 = 1×1×3.14 × 41

=3.14÷4

=0.785m2

小屋の外で犬が動ける範囲の面積は,
9.42m²+0.785m²=10.205m²

答え:10.205m²

 

問題2

1辺が9mの正三角形のさくABCがあり,Aから3m離れたDに長さ12m のロープで牛がつながれています。この牛はさくの外側だけ動きまわることができます。牛が動くことのできる範囲は何m²ですか?

解説

この問題でおうぎ形の中心となりうる点は,D()とA()とB()です。ロープの長さが12mであることを考えると,C点を中心としたおうぎ形はできません(どんなにがんばってもC点までしか行けません)。

それぞれの中心に対して,牛の動くことができる範囲(おうぎ形)を書いてみます。
次の図のように3つのおうぎ形で表すことができます。

次にそれぞれのおうぎ形の面積を求めます。

D点を中心としたおうぎ形は半径12m,中心角180°なので,面積は

(円の面積)
12×12×3.14
× 21 = 12×12×3.14 × 21

=226.08m2

A点を中心としたおうぎ形は

(円の面積)
9×9×3.14
× 31 = 9×9×3.14 × 31

= 84.78m2

B点を中心としたおうぎ形は

(円の面積)
6×6×3.14
× 31 = 6×6×3.14 × 31

= 37.68m2

これらを足すと
226.08m²84.78m²37.68m²348.54m²

答え:348.54m²

 
教え上手 きんたろう先生

教え上手 きんたろう先生

「算数の教え上手」担当のきんたろうです。よろしくお願いいたします。
私が塾・予備校で教壇に立つようになってから、10年近くになりました。どちらかというと、勉強があまり好きでない生徒を教えてきました。そんな生徒の中にも、きっかけを作ってあげると夢中になって勉強する子がいます。
そんなとき「いい仕事をした」と思います。
教え上手とは,もちろん科目を教えることが上手であることと思いますが、併せて子どもに学ぶ意欲を起こさせることだと思います。
この「教え上手」では、その両面について、私の経験を活かして述べさせていただく予定です。ご参考にしてください。

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