2026.08.04
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「福山市のいいところは?」次男の答えはイエナプランスクール

オランダで幼少期を過ごした次男。6年ぶりにオランダを訪れ、帰国して数カ月後、総合的な学習の時間で「福山市のいいところ」をテーマに、「イエナプランスクール」について調べ始めました。
11歳になった次男に、オランダのイエナプランスクールはどのように映ったのでしょうか?
次男の言葉とともに紹介します。

合同会社Toyful Works 代表社員・元公立小学校教員 川崎 知子

オランダのプレスクールで育った次男

  

プレスクールのテント 

3歳から5歳までをオランダで過ごした次男。
オランダでは、2歳から4歳までの子どもたちが「プレスクール」に通います。週に2回、午前8時半から11時ごろまでの約2時間半。親から離れて過ごすことや、集団生活を経験することが目的です。

持ち物は、おむつをしている子なら、おむつ2枚と水筒だけ。日本のように毎日たくさんの持ち物を準備する必要はありません。
オランダ語ができない子どもは週4回通うことができ、次男もその制度を利用しました。通っていたプレスクールには、2歳から4歳までの子どもたちが15人弱いるクラスが2クラスあり、自然な異年齢集団になっていました。

担任の先生がミニスカート姿で、コーヒーカップを片手に保育室にいるのは、ごく当たり前の風景でした。もちろん、コーヒーは子どもの手が届かない高い棚の上に置いてあります。
先生は子どもたちと一緒に遊ぶというより、子ども同士の遊びを見守り、必要なときにそっと支援する存在でした。

次男は初日、新しい場所やおもちゃが新鮮だったようで、すぐに遊び始めました。ところが数日後になると、今度は私と離れるのを嫌がるようになりました。
そんなとき、担任の先生が「一緒におもちゃで少し遊んであげて。あまり長くならないうちに帰ってね」と声をかけてくれました。

また、「研究で必要だから、このアンケートに答えてくれる?」とプリントを渡されたこともあります。詳しい内容は覚えていませんが、プレスクールで子どもたちと関わりながら研究も続けている先生の姿に、とても感心したことを覚えています。

さらに、日本では「コーナー保育」と呼ばれていますが、いつでもお店屋さんごっこができるコーナーや、季節に合わせた遊びのコーナーが用意されていました。夏には本物のテントまで設置されていて、思わず写真を撮らせてもらったほどです。

以前の連載でも書きましたが、長男はオランダ語が分からず、学校で毎日のように泣いていました。一方、次男は半年間、このプレスクールに楽しく通い続けました。
そして4歳から5歳半まで、兄と一緒にオランダ語ができない子どもたちのための特別支援学級で、みんなにかわいがってもらいました。

6年ぶりに訪れたオランダで見たイエナプランスクール

昨年、小学5年生になった次男と一緒に、6年ぶりにオランダを訪れました。
住んでいた家や通っていた学校も、なんとなく覚えていたようです。
ちなみに、長男が最初に通っていたイエナプランスクールは、影も形もなくなっていました。その変化の速さにも、「オランダらしいな」と感じました。

私はイエナプラン研修のコーディネーターとして、3日間、イエナプランスクールを視察しました。そのうち最終日だけ、次男も一緒に見学させてもらいました。
訪れた学校は、4・5歳クラスが5クラス、6・7・8歳クラスが5クラス、9・10・11歳クラスが5クラスある、オランダでも比較的大規模なイエナプランスクールでした。

次男は自由に校内を見学し、6・7・8歳クラスでは子どもたちと一緒にボードゲームを楽しんだようです。
9・10・11歳クラスでは、担任の先生が次男に「自由に翻訳していいわよ」と言って、教室にあるタブレットを貸してくれました。
外部から来た子どもに、当たり前のように学校のタブレットを貸してくれたことに、私は密かに感動していました。

「まずは信頼する」

そんなオランダらしさを感じた瞬間でもありました。
一方で、2019年頃には、日本よりも早く一人一台のタブレットが導入されていたオランダですが、昨年視察した3校では、国語や算数の教材が紙のドリルに戻っていたことも印象的でした。
確か2019年に、あるイエナプランスクールの校長先生は次のように話していました。

「デジタル機器は道具に過ぎません。使い方を子どもたちと一緒に考え続けなければならないのです」

ICTを取り入れることが目的ではなく、子どもたちにとって何が最適なのかを考え続ける姿勢は、日本でも大切にしたい視点だと感じています。

福山市のいいところを考える総合学習

オランダから帰国して数カ月後、私は次男から思いがけない一言をかけられました。

「総合で、イエナプランのことを調べてるから、インタビューさせて」

総合的な学習の時間のテーマは、「福山市のいいところ」。
次男の考えたテーマは、なんと「イエナプラン」でした。

日本イエナプラン教育協会のホームページを見たり、私に質問したりしながら、一生懸命に内容をまとめていました。次男がまとめた文章の一部を紹介します。

次男がまとめたイエナプラン

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イエナプランはヨーロッパなどで主に行われている学校の勉強方針で、日本にはあまりないことをたくさんしている。
授業が終わると椅子を円の形に並べ、生徒が正直にこれができた、できなかったなどのことを言い合い、授業の振り返りをする。
中には蜂を飼育し、その蜂の蜜をイベントで家族に販売する学校もある。
これで売れたお金は、クラスごとに置いてある目安箱に貯金する。
たくさん集まるとクラスで話し合い教材を買うなどの使い道を決める。この目安箱自体はどの学校にも置いてある。
教室の中には、休憩時間や遊びの時間にするボードゲームが置いてあり、息抜きに遊ぶことができる。
どの学校も教室は大体1階で、校舎内に大広間があり、学年差があっても仲良くなりやすい仕掛けがある。

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次男が「福山市のいいところ」としてイエナプランスクールを選んだことは、私にとって何よりうれしい出来事でした。

次男は、イエナプランがもっと多くの学校に広がってほしいと願っているようです。
その願いが少しでも実現するように、私も一歩ずつ歩みを進めていきたいと思います。

川崎 知子(かわさき ともこ)

合同会社Toyful Works 代表社員・元公立小学校教員


元公立小学校教員。東京・広島の小学校で約20年勤務。
2017年からは家族とともにオランダに渡り、イエナプラン教育を学ぶ。日蘭イエナプラン専門教員資格を取得し、現地のイエナプランスクールでアシスタントとして2年間勤務。20校以上の小中学校を視察した。
帰国後は、広島県福山市立のイエナプランスクール開校に携わり、現在は日本イエナプラン教育協会理事。
不登校支援や特別支援教育、保護者との関係づくり、対話・探究・遊びを通して、子どもも大人も、安心できる学びの場づくりに取り組んでいる。

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