2026.07.27
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アメリカ・モンテッソーリの1歳から2歳児クラスで考える「大人はどこまでかかわるのか」

アメリカ・モンタナ州ボーズマンで、モンテッソーリ保育士として日々の教室に立ちながら、地元の州立大学院で学びを続けています。
今回は、7月から見始めた1歳から2歳児クラスについて綴ります。

ボーズマン・モンテッソーリ保育士 城所 麻紀子

アメリカの3歳から6歳児クラスで感じたこと

この一年間、3歳から6歳児クラスで過ごす中で、大人がどれだけ余裕を持てるかが教室全体の空気を左右することを実感してきました。

環境を整え、子どもが自分で教材を選び、集中する時間を見守る。大人は一歩引いて、教室全体を静かに支えている存在というのが理想です。

7月からの立ち位置の変化とモンテッソーリの三角形

7月からは、3歳から6歳児クラスに加えて、1歳から2歳児クラスにも入るようになりました。

モンテッソーリ教育では、「子ども」「大人」「環境」を三角形で表します。

3歳から6歳児クラスではそのバランスが少し分かってきた一方で、1歳から2歳児クラスに入ると、その三角形がまた違う形で見えてくるようになりました。

1歳から2歳児クラスの話が出てきた

人事と副ディレクターとの面接のとき、このクラスの主任の先生がライセンス取得のために他州へ行くこと、アシスタントの先生も夏に孫の世話で1カ月ほど不在になると聞きました。

そこで、「実は、1歳から2歳児のクラスにも前から興味があって」と口にすると、翌日から朝の少しの時間、1〜2歳児クラスにも入ることになり、午前は1〜2歳児、午後は3〜6歳児クラスという一日の流れが始まりました。

スクールアシスタントとしての役割

そして、夏セッションの始まった7月6日からは、スクールアシスタントとして、1〜2歳児クラスのアシスタントと保育園全体のケアも担うことになりました。

教室の中だけでなく、自分の大人としての役割も、少しずつ動いているような感覚があります。

1歳半から2歳半という、一年の幅

1歳から2歳児クラスに入り始めて、最初に驚いたのは、1歳半から2歳半という短い期間の中にある発達の幅の大きさでした。

1歳児の中には、「歩けるだけでもすごい」という段階の子もいます。まだほとんど話さず、表情や泣き声、身体の向きで世界とやりとりしている子どもたちです。

一方で、2歳半になると、「これがしたい」「これはいや」と、言葉と行動で自分の意志をはっきりと示す子もいます。

同じ1歳から2歳児クラスという枠の中にいても、子どもたちが立っている足場はまるで違います。

大人はどこまで直接かかわるのか

3歳から6歳児のクラスでは、環境を整えたあと、基本的には子どもたちを見守る時間が多くなります。

けれど、1歳から2歳児クラスでは、トイレの習慣づけや着替え、食事後の介助など、大人が子どもに直接関わる場面が一気に増えました。

「どこまで直接関わるべきか」を、その都度見極める必要があります。

しかも、今このクラスには主任の先生がいません。5月にアシスタントとして加わった先生と私の二人だけで、毎日の判断をしています。

砂場での沈黙と二つのクラス

先日、関わり方の違いがはっきり見えた経験がありました。

二人の子どもが砂場で遊んでいて、そのうちの一人が突然泣き出しました。両方とも2歳児で、このクラスの中では言葉も達者だししっかりしていることもあり、私はそこまで注意して観察はしていませんでした。

「大丈夫? 痛いところある?」と聞いても返事はなく、身体を見ても、どこかを押さえている様子も汚れや傷も見当たりません。

「どうしたの?」「何が起こったの?」と二人に聞いても、やはり何も返ってきません。

3〜6歳のクラスでは、こういうとき、当人か周りの子どもが「今こうなった」「あの子がこうした」と状況を説明してくれます。

でも、2歳児の2人には、言葉で伝えるということがまだできないのです。

援助の判断を分けるところ

わたしとしては、「子どもが自分のペースで落ち着くのを待とう」と様子を見ていたときに、アシスタントの先生がこの子を抱き上げてあやしはじめました。

どちらが正解、どちらが不正解ということではないでしょう。

モンテッソーリの三角でいえば、本来は「子ども」と「環境」が出会うところに重心を置きたい。

でも、1歳から2歳児クラスでは、ときどき「大人」の頂点が前に出ざるを得ない瞬間もあるということを実感しました。

二つのクラスを行き来して見えてきたこと

3歳から6歳児のクラスを知っていると、この子たちが数か月前にはこの姿だったのかと思い、人間の成長の速さに改めて驚かされます。

同時に、靴下や靴を自分で履くこと、教材の扱い方など、上のクラスで必要になる姿を知っていることが、今どこまで援助し、どこは待つのかを考えるときの助けになっていると感じます。

おわりに 揺れながら立つ大人

全部を見えたら最高だけれど、実際には見えない部分もたくさんあります。

その中で、目を凝らす自分と、子どもの力を信じて待つ自分の間を揺れながら、今日もまた、教室のドアを開けています。

城所 麻紀子(きどころ まきこ)

ボーズマン・モンテッソーリ保育士、元サンディエゴ日本人向け補習校講師、モンタナ州立大学院家族消費者科学科 修士課程


2020年からアメリカのモンタナ州の人口5万人の町で、モンテッソーリ保育園の保育士をしています。
アメリカといっても、白人約90%、アジア人約2%(最近増えました!)という環境です。
あまり日本人の方に知られていない、アメリカの田舎での教育や生活の様子などを共有できたらいいなあと思っています。

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