2025.12.23
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教師はいつ学びを自覚するのか――対話が生む教師の成長

今回は、実践の紹介を少し休憩してコラムを記述したいと思います。
「教師の学び」という内容です。
教師って、もっと言うと、大人って「いつ」「どんなときに」学びを自覚するのでしょうか。

明石市立鳥羽小学校 教諭 友弘 敬之

教師の学びって?

皆さんは、教師の「資質・能力」を聞かれたら、何と答えますか。例えば、「黒板に意見や考えを整理して構造的に記述すること」や「子どもの深い学びを促す学習をデザインすること」など、さまざまな答えがあるのではないでしょうか。
では、「一年目と比べて、どの資質・能力がどれくらい成長しましたか?」と問われると、どのように答えますか。

私は、少し頭を悩ませてしまうかもしれません。それは、「そんなこと自分で言うのもなあ…」という、照れくささかもしれませんし、実際に思い浮かばないということかもしれません。でも、5年、10年と同じ仕事をしているわけですから、何らかの資質・能力が伸長していて当然とも言えます。でも、どうやって自覚したらいいのでしょうか。

子どもが学びを自覚する時

以前、前任校に来られた講師の方がこのようなことを話していました。
「先生の主観は客観だよ」と。
それはどういうことか。例えば、病院の医師が患者の容体を見て「これは○○だ」と下す判断は、一見、主観的にしているようで、実は膨大な知識や過去の経験から照らして判断された、客観的な判断です。もちろん、精密検査でより精度の高い結果が出ることはあるでしょうが、それと同等の価値が医師の判断にはあります。

これは、学校の先生も同じです。「できている」「成長したな!」という判断は、その子との関わりや教師の経験を裏打ちとして下される、客観的な評価です。

子どもたちは、そういった一言一言に励まされ、ときに立ち止まりながら、少しずつ成長を実感していくことでしょう。つまり、定期的にフィードバックをくれる存在が、子どもの学びの自覚を促しているのです。

同僚との話

では、教師自身はどのように自覚するのでしょう…?

以前、同僚とこのような話をしたことがあります。

「私は、教科書をなぞって国語を教えることも大切だと思います。でも、単元として自分でつくることのほうが大変だけど、ずっと楽しいし、単元を通して子ども同士が仲良くなっていく気がしてうれしいです」

この言葉には、教師としての大きな成長が表れていると感じました。

まず、「単元」という言葉を当たり前のように使っている点です。中央教育審議会の論点整理などでも「単元」という言葉は頻出しますが、現場で「単元」を軸に学習を語り合う機会は多くありません。なぜなら、「単元は教科書の中にあるもの」という教育観が、どこか根付いていることが原因であると感じています。
それは、決して間違いではありません。しかし、「教科書の外にも単元はある」と知っておくことも、一方では大切であると考えています。先の同僚の言葉にある通り、「単元」を自分で「つくる」ことは、教師としての創造性が発揮されている姿だと言えます。そういったことを言語化できる同僚に成長を感じました。

また、「子ども同士が仲良くなっていく」という言葉にも、子どもへの関わり方の真摯な様子が表れています。「うちのクラスは子どもがけんかばっかりで…」と、表面化した現象だけを取り上げて、どこか他人事のように語る声を聞くこともあります。その気持ちはよくわかります。私もつい、口にしてしまっていることもあるでしょう。しかし、この同僚の言葉には、日々の子どもとの真摯な関わりからこそ見える、子どもの成長が表れているように感じました。こういった話は、いくらでも耳にしたいものです。

学びにとって大切なこと

上の「子どもの学び」と「同僚との話」から、何が言えるのか。それは、学びの自覚には「対話」が必要であるということです。子どもの場合も、しっかりと教師の見取りをフィードバックして初めて、学びが自覚されます。また、大人であっても、対話の中で気づいた同僚の「成長」をしっかりとフィードバックして初めて、自覚されるのでしょう。
そのためにも、教師間でお互いの成長をフィードバックし合える時間や空間が必要ではないでしょうか。本校では、月に1度の対話の時間「ラボ」を実施して、ざっくばらんに互いの実践を交流したり、評価し合ったりする時間を設けています。そういった緩やかな対話の中で、成長を実感し合える学校システムが、今後より必要になってくるように感じています。ぜひ、皆さんの学校でも、教師自身が「学び」を自覚できるシステムをデザインしてみてください。それが教職員集団全体の成長や、心理的安全性の構築につながっていくはずです。

終わりに

次回は今年度実施している第4学年の子どもたちとの「総合的な学習の時間 2学期編」を記述していければと考えています。

友弘 敬之(ともひろ たかゆき)

明石市立鳥羽小学校 教諭


「単元学習」をテーマに学び続けてきました。その中で、「学習デザイン」「実の場」「問い」と、興味を広げてきました。今は「そもそも学びってなんだろう?」という問いと向き合っています。それは、子どもの学びだけではなく、教師としての、また大人としての学びも含みます。この学びの場を通して、私の問いを解決していきたいです。

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