研修での学びを言語化しよう!4Shapes・幼児期の学習・教育ファシリテーターからの学び
今回は、令和七年度に参加した夏の研修での学びを言語化し、学んだことを整理してみました。
読者の方の2学期への参考になればと思います。
明石市立鳥羽小学校 教諭 友弘 敬之
今回は、この夏休みに参加した研修での学びを少し整理したいと考えています。皆さまはどのような研修に参加されましたか?
私にとっては、研修尽くしの夏休みでした!
ある研究によると、夏に研修に参加した人は、参加してない人よりも2学期に高いパフォーマンスが発揮されるそうです。実際にデータとして提示していただいたことが、この夏の研修での一番の驚きでした。
4Shapesでの学び
皆さんは、ご自身の「特性」を客観的に測ったことはありますか?
少し前に、性格診断テストが話題になりましたが、「4shapes」はそれをより精度を高めたものといえます。研修前に10分程度のアンケートに答え、その診断をもとに自分の特性を理解していく内容でした。
なぜ、自分の「特性」をデータとして知る必要があるのか?
それは、自分の特性を知ることが、他者との違いを理解することにつながるからです。職員室でも企業のオフィスでも、仲間との関係性を構築し、組織として心理的安全性を高めていくためには、互いを理解し合うことが大切です。
そのためにも、 「私は☆の特性だから、少し~が苦手なんだ」「あの人は〇の特性が強いんだ」と、データとして客観的に理解することで、相互に補い合い、思いやり合える関係性になるというわけです。もともとは企業での研修で使われていましたが、今は少しずつ教育現場にも用いられているようです。職員室の心理的安全性をより高めていこうと考えた際には、ぜひ「4shapes」と検索してみてください!
幼児期からの学習
近隣大学での研修の一つに「幼児期からの学習」がありました。個人的にも、保育園・幼稚園での幼児期の学びの在り方に興味があり受講しました。印象的だったことを二点紹介します。
一つ目は、幼少期の親のかかわりとして「認知的再評価」の役割が重要であるということです。「認知的再評価」とは、出来事や状況に対して抱いた感情的な反応を変化させるために、その出来事を別の視点で捉えなおすことです。
たとえば、小さな子が捕まえたセミが虫かごから逃げたとします。悲しむ子どもに対して、親が「あら、家族のところに帰してあげて優しいね。家族も喜んでると思うよ!」「夢の中でありがとうって言いに来てくれるかもしれないね」と、「逃げた」という状況を別の視点から「帰った」と捉えなおすように働きかけます。そうすることで、物事を悲観的な側面だけで捉えるのではなく、前向きに捉えていこうとする姿勢が養われるという内容でした。
二つ目は、「ごっこ遊びは幼児童期の遊びの頂点」という、心理学者のヴィゴツキーの言葉です。「ごっこ遊び」は、子どもの感性や社会性を育むためにとても良いという話でした。役になりきってその人物の気持ちや立場を想像することも大切ですし、仲間とある一定のルールのもとで遊ぶことも大切です。そういったかかわりの中で規範意識が形成されていくとの話でした。
しかし、核家族が増え、外で思いっきり遊べる場も減る中で、ごっこ遊びの頻度も以前よりは減っているそうです。小学校低学年でも「なりきり遊び」を軸とした学習のデザインをしていきたいと考えました。
教育ファシリテーター
一般の研修で「教育ファシリテーター」というものがありました。これはさまざまな場で「対話」を行いながら、集まった仲間とともに「未来の教育」を創造していく研修でした。当日は30名の参加者とともに対話を重ねました。例えば、自己紹介カードを無言で読みあう「サイレントギャラリーウォーク」や、自分の人生をグラフに表して語る「ストーリーテリング」などがありました。朝初めて出会った人たちとも、昼頃には顔見知りになり、気さくに話せるようになっていました。
その中で、特に心に残ったことが二つあります。
一つ目は、「質問や感想は意図をもって作るもの」ということです。アメリカの大学に通っていた講師の先生が指摘していたのは、日本人とアメリカ人の「質問」に対する違いです。というのも、アメリカの学生は「この場で何を質問したらよいか?」と常に質問を作ろうと頭を働かせているのに対し、日本人は「心に浮かんできたことを質問しよう」と、自然発生的な質問にゆだねがちであるといわれました。これは大人も子どもも同じだと感じました。「何を質問するとこの場がより活発になるか」と考えながら、的を射た質問を投げかけられるように心がけていこうと思いました。
二つ目は、相手を承認する際には「行為承認」より「存在承認」のほうが有効であるということです。「行為承認」とは、端的にいうと「褒める」ことです。「すごい!」「最高だね!」などのYouメッセージから、「うれしい」「参考になったよ!」などのIメッセージまでが含まれます。一方で「あなたがそばにいることに気づいているよ!」といった「存在承認」のほうが、相手との信頼関係にプラスの影響が与えられるそうです。そのためには、日ごろから子ども一人ひとりの名前を呼ぶ、目を見てアイコンタクトをとる、提出物に一言コメントを添えるなど、存在を認めることが大切だそうです。
今回は、夏休みということもあり趣向を変えて記述をしてみました。
次回からは、今年度の校内研究の様子や、総合的な学習の時間を紹介できればと考えております。

友弘 敬之(ともひろ たかゆき)
明石市立鳥羽小学校 教諭
「単元学習」をテーマに学び続けてきました。その中で、「学習デザイン」「実の場」「問い」と、興味を広げてきました。今は「そもそも学びってなんだろう?」という問いと向き合っています。それは、子どもの学びだけではなく、教師としての、また大人としての学びも含みます。この学びの場を通して、私の問いを解決していきたいです。
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