2025.06.23
  • x
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

総合的な学習の時間の実践~令和6年度・地域とつながる探究学習「鳥羽観光プロジェクト」最終章(4)

前回に引き続き令和6年度に実施した総合的な学習の時間の実践をお伝えします。
今回は最終章として、プロジェクトの結末を紹介させていただければと考えております。

明石市立鳥羽小学校 教諭 友弘 敬之

鳥羽観光プロジェクトの始動

2学期の半ばごろから、明石市鳥羽の町をよりよくすることを目的としたプロジェクトが本格的に動き始めました。
子どもたちが考えた「鳥羽助け合いプロジェクト」「環境改善プロジェクト」「鳥羽観光プロジェクト」の中で、私が担当した「鳥羽観光プロジェクト」では、4つのチームに分かれて活動しました。それぞれのチームの活動概要を紹介いたします。

①ホテルレストランとのコラボ:給食の人気メニューをアレンジ

コラボ相手の一つは、近隣のホテルのレストランでした。
このレストランでの新商品開発に携わらせていただきました。
レストランの方々と初めて打ち合わせをした際には、立派な会議室へと通され、緊張した面持ちで対話がスタートしました。
その中で「学校の給食で人気のきな粉パンをアレンジして提供したい!」という、子どもたちの思いにレストランの方々も深く共感し、アイデアを具体的に形にしていくこととなりました。

②焼肉屋さんとのコラボ:「子ども未来チケット」をかたちに

焼肉屋さんでは、近々「子ども未来チケット」という、子ども食堂の一環としての店舗経営を企画しているところでした。
たまたまそのタイミングでコラボが実現し、鳥羽小学校の6年生と一緒に「子ども未来チケット」の開発に取り掛かりました。
子どもたちが提案したキャラクターやチケットのデザインをうまく活用いただいて、少しずつ形が出来上がっていきました。

③おせんべい屋さんとのコラボ:新商品開発を

兵庫県内や明石市内でもよく売られているおせんべい屋さんとコラボした子どもたちは、新しい商品開発に取り組みました。
子どもならではの発想を、店舗のオーナーさんへと提案し、いただいたレビューをもとに候補を絞っていきました。
いくつかに絞られた後、プロジェクトのメンバーを対象に試食会を実施しました。
試食のコメントをもとに再度検討を重ねて、完成を目指しました。

④明石焼き屋さんとのコラボ:学年全体の試食会を実施

小学校の近くにある明石焼き屋さんでは、他の地域に明石焼きを広めようと活動している方々がいました。
子どもたちはその方たちに作り方のコツや分量、新しい商品開発の視点を教わりしました。
その中で、学年全体で「明石焼きの試食会」も実施しました。
試食したのはマシュマロ味と、かにかまシーチキン味の2種類です。
どちらも賛否がありましたが、店長さんから「子どもならではの発想はとても大切だから、そういう考えを大切にしてほしい!」と、前向きな言葉をいただきました。

プロジェクトの成果

これまで取り組んできたプロジェクトも終わりを迎えました。
最終的に、それぞれの活動がどのような形で締めくくられたのかを紹介します。

①ホテルレストランとのコラボ:きな粉パンがピザに変身

ホテルのレストランとコラボした子どもたちは、対話を重ねる中で「鳥羽ピーザ」という、小学校で人気の「きな粉パン」を模したピザを開発しました。
中身にはあんこが入っているものと、バナナが入っているものとの2種類があり、レストランのディナーでデザートとして提供されることになりました。

②焼肉屋さんとのコラボ:「子ども未来チケット」が誕生

焼肉屋さんとは、子どもたちとともに「子ども未来チケット」の開発を進め、令和7年度より実施するに至りました。
子どもたちが考えたキャラクターも使われ、子どもたちが食事を食べられる「子ども未来チケット」が現在も提供されています。

③おせんべい屋さんとのコラボ:開発した商品が卒業記念に

おせんべい屋さんとは、新商品を開発し店舗に並べてもらいました。
また、その商品を自分たちの卒業式の記念の品として購入し、一人に一つずつ配布しました。
自分たちで作った商品が手渡された子どもたちは、とても幸せそうでした。

④明石焼き屋さんとのコラボ:レポートで学びを深める

明石焼き屋さんとコラボした子どもたちは、学年全体で実施した明石焼き試食会のレビューをもとに、新商品の良さと課題点をレポートにまとめて提出しました。
初めて書くレポートに戸惑いながらも、伝えたい思いを言葉にする様子が見られました。

おわりに

このように、それぞれのチームがコラボ先と様々な形で関りながら学習の幕が閉じました。
さて、これらの活動を通して子どもたちはいったい何を学び取ったのでしょうか?
この回で最後とは言いながらも、やはり外側の活動だけを伝えて終わりというのはよろしくありません。
というわけで、次回をもって最後とし、この総合的な学習の時間を通して子どもたちが何を学び取ったのかを記述させていただきます。

友弘 敬之(ともひろ たかゆき)

明石市立鳥羽小学校 教諭


「単元学習」をテーマに学び続けてきました。その中で、「学習デザイン」「実の場」「問い」と、興味を広げてきました。今は「そもそも学びってなんだろう?」という問いと向き合っています。それは、子どもの学びだけではなく、教師としての、また大人としての学びも含みます。この学びの場を通して、私の問いを解決していきたいです。

同じテーマの執筆者
  • 関田 聖和

    兵庫県神戸市立桜の宮小学校 特別支援教育士スーパーバイザー(S.E.N.S-SV)

  • 若松 俊介

    京都教育大学附属桃山小学校 教諭

  • 菊池 健一

    さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当

  • 川村幸久

    大阪市立堀江小学校 主幹教諭
    (大阪教育大学大学院 教育学研究科 保健体育 修士課程 2年)

  • 杉尾 誠

    大阪府公立小学校 主幹教諭・大阪府小学校国語科教育研究会 研究部長

  • 笠原 三義

    戸田市立戸田第二小学校 教諭・日本授業UD学会埼玉支部代表

  • 赤堀 達也

    旭川市立大学短期大学部 准教授

  • 熊井 直子

    小平市立小平第五中学校 主幹教諭

  • 羽渕 弘毅

    西宮市立総合教育センター 指導主事

  • 川上 健治

    明石市立高丘西小学校 教諭

  • 山本 裕貴

    木更津市立鎌足小学校

  • 川島 隆

    浜松学院大学地域共創学部地域子ども教育学科 教授

  • 今村 行

    東京学芸大学附属大泉小学校 教諭

  • 都築 準子

    愛知県公立中学校勤務

  • 今宮 信吾

    大阪大谷大学 教育学部 教授

  • 安井 望

    神奈川県公立小学校勤務

  • 山本 優佳里

    寝屋川市立小学校

  • 山口 小百合

    鹿児島市立小山田小学校 教頭

  • 大村 高弘

    静岡大学大学院教育学研究科特任教授

  • 小清水 孝

    目黒区立不動小学校 主幹教諭

  • 廣瀨 紘太郎

    千代田区立九段中等教育学校

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop