小学校音楽・日本の歌~『虫のこえ』『おぼろ月夜』を活用した歌詞の理解とICTの工夫
6月に入り、新緑が美しい季節になりました。
梅雨のため、晴れの日は少なくなりますが、この時期に見られる新緑は圧倒されるものがあります。
尼崎市立小園小学校 教諭 中村 隆文
ただ聴いて、歌わせるだけではもったいない!
日本の歌は季節の歌として、昔から親しまれている曲がたくさんあります。
学習指導要領(音楽科)にも共通教材として、何曲も取り上げられています。
またその中には音数律(七五調など)を含むものが多く、子どもたちにも親しみやすいものになっています。
私自身、日本の歌の歌唱指導を通して、子どもたちに「考えるきっかけ」を与えることができればと思います。
2年生の『虫のこえ』は色々な虫の声が擬音語で表現されている歌です。
歌わせる前に、ICTを活用して虫の声を使った導入をしてみてはいかがでしょうか。
最近は気軽に簡単に動画や音声が手に入ります。
そこで、先生方のタブレットに、携帯用スピーカー(できれば小さいサイズ)を接続して、そのスピーカーを教室のどこかに隠します。
そして、松虫やクツワムシなど実際の虫の声が入った動画サイトなどから音声を流します。
教室から本来聴こえてくるはずのない虫の鳴き声が聴こえ、子どもたちはどのような反応をするでしょうか。
宝探しのように、虫かご(スピーカー)を探し始めます。
『虫のこえ』にはどんな虫が出てきて、どのような順番で出てきたのかと発問をすると、子どもたちは考えます。
聴くことを通して、考えるきっかけを与えます。
そうすると自然に歌詞も耳に入り、歌うことができるようになってきます。
この歌詞はなんて読むの?
6年生で学習する『おぼろ月夜』の二番には、次のような歌詞があります。
読み仮名をつけると、何と読むでしょうか。
「かわずの鳴く音も かねの音も」
「音」という漢字は音読みで「ね」、訓読みで「おと」と読む場合があります。
子どもたちには、どちらかが「ね」、どちらかが「おと」と読むことだけを話しておいて、まずは考えさせます。
その後、「どうしてそう読むの?」とたずねてみます。
大人でも言葉で上手く説明できませんが、ペアトークなどで話し合うことで、考えて話すというきっかけになります。
ちなみにAIの力に頼ってしまいましたが、「おと」は物理的で客観的な音全般を指すのに対し、「ね」は情緒的で、人の心に訴えかけるような美しい響きや鳴き声を指すそうです。
最後には、先生のほうから説明をしてあげてもいいかもしれませんね。

中村 隆文(なかむら たかふみ)
尼崎市立小園小学校 教諭
教員として走り続けている一教員です。
失速しないよう、適度に調整しながらがんばっています。
数年前までは学級担任をしてきましたが、現在は音楽専科をしつつ、ICT推進主任をしています。
「最小限の労力で、最大限の効果を」をモットーに仕事に励んでいます。
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