みなさんの職場はどうですか?~教師同士の関係づくりで大切にしたい3つの視点~
前回は、うまくいかないときに見直したい5つのポイントについてお話ししました。
しかし、うまくいかないときというのは、教師自身を取り囲む職員間の関係性もよくない場合があります。
時には、自分自身を取り囲む環境を見直しても良いかもしれません。
埼玉県公立小学校 石井 雄大
私が苦労したとき
みなさんの職場はどうですか?職員間の関係性、同僚性はどうでしょうか。
私は、同僚性について考えさせられた時期がありました。ある年は、子どもたちとも信頼関係が築けませんでした「子どもたちの声を聴き、呼吸を合わせる―教師と子どもの信頼関係を築くために(1)」。
同時に私は、職員間の関係性も十分に作れていませんでした。
事情はいろいろあり、ここでは簡単に触れる程度にとどめますが、当時は、苦戦している私の思いを聞き、一緒に考え、支えてくれる存在は多くはなく、結果として十分に支え合えない状況でした。
私自身も気持ちがいっぱいで、余裕がなく、周りの人たちとうまくコミュニケーションできない時期でもありました。そうした中で、私やクラスについて、さまざまな受け止め方をされることもありました。
当時の状況を誰かの責任として語りたいわけではなく、あくまで自分の経験を振り返っているだけです。
しかし、職員間の関係性や同僚性がしっかりしていれば、思うようにいかない状況でも必ず持ちこたえることはできたはずです。非難し合うのではなく、支え合うことが大切です。お互いさまなのです。あの頃の私にも、そのような支え合える環境があれば心強かっただろうなと、今でも思います。
それからの私は、悩んでいる先生を自分なりに支えていきたいと思うようになりました。自分の仕事もあるけれど、空き時間などは「困っている人はいないかな」と実際に行動するようになりました。私が大切にしているポイントを3つお話します。
1.アドバイスよりも本人の話を聞き、行動で助ける
困っている先生を批判するのではなく、できることを手伝うとよいと思います。やり方についていろいろとアドバイスをするのではなく、その人の考えに沿って助けるのが大切です。
うまくいっていない場合、授業や学級経営の進め方に原因があることもあります。もちろん、アドバイスをすることは大切です。しかし、すでに多くの人に相談していたり、アドバイスをもらっている場合がほとんどです。教壇に立っているだけで精いっぱいな状態なので、アドバイスよりも、行動で助けましょう。
ここでやってはいけないことは、担任の先生を尊重しないことです。子どもたちの前では、その先生を最後まで尊重することが必要です。例えば、授業中に、後ろから急にアドバイスをしたり、代わりに授業をやってしまうのはもってのほかです。担任の先生を尊重しなければ、子どもたちの中にも迷いが出てしまい、学級の状態はより悪化します。
どうしても言いたいことがある場合は、子どもたちが帰った後など、時間を置いてから話すようにしましょう。
2.普段からコミュニケーションをたくさんとる
子どもたちとうまくいかないことや、授業でわからないことなど、普段から話せる相手をつくることが大切です。日頃からコミュニケーションを取っていることで、何かあった場合には、他の先生がすぐに助けてくれるようになります。
問題なのは、コミュニケーションをとらず、自分の中で完結させてしまうことです。経験年数が上がれば、周りの先生も気を遣うようになります。自分から話して、常に対話を重ねることです。
「一匹狼」で何でもうまくこなす教師より、うまくいかないこともあるけれど同僚とのコミュニケーションは取れている教師の方が、信頼されやすいと感じています。
3.普段から「みんなで支えている」という意識をもつ
自分の学級に責任を持つことはもちろんですが、よその学級、学年にも常に目を向けたいものです。時間があったら学級に入って、できそうなことを手伝ってみてください。話を聞くことも大切です。
「自分のこと」だけではなく、みんなで支えていくのが学校です。日常の小さな支え合いの積み重ねが、職員間の関係性、同僚性を作るのだと思います。

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