外国語活動における授業づくり
新年度になり1ヶ月が経ちました。
「小学校5,6年生の外国語科は専科教員がしてくれているけど、中学年の外国語活動は担任がしないといけない…。どうしよう」という声も聞かれます。今回は、そんな声を受けて、中学年の外国語活動の指導についてまとめました。
※過去にも外国語活動や外国語科の授業づくりに関する記事を書いております。
指導者の悩み
外国語活動における指導者の悩みは大きく4つあると考えています。
・担任が指導するけど、大丈夫かな?
・そもそも何をしようかな?
・45分の授業、他の教科と比べて長いな~
・「楽しい!」だけでいいの?
同じような不安を感じている方の参考になればと思います。
小技①メインディッシュは欲張らない

授業構成
45分の授業を構成する時に、中心となるメインの活動をどうしようか悩まれる方は多いと思います。
帯活動を15分と長めにとっても、メインの活動は残り30分です。
30分の活動を設定してしまうと、どうしても間延びをして、内容は薄くなりがちです。
そこで、図のような授業構成をしてみるのはいかがでしょうか。
メインの活動を2つに分け、メインAの活動で子どもたちに気づかせたい部分やもう少し練習をさせたい表現を扱い、メインBの活動ではよりコミュニケーションの質を上げることを目指します。
また全体としても活動を小さく区切って、話したり聞いたりする活動を細切れで入れることで、導入期の3年生も集中力を保ちながら学習に取り組むことが期待されます。
※ユニット型の授業デザインについては、常名先生が執筆されています。
荒れた学級でもできる!専科の小学校英語授業
小技②「味見」をする
メインの活動中、指導者の多くは子どもたちの学習の様子を観察していると思います。
その中で気になることは子どもたちの学習成果を「味見」しているかどうかです。
外国語活動の評価方法は、「指導に生かすための評価」である行動観察が中心となります。
「味見」をすることで子どもたちの学習の質がぐんと上がります。
「活動をさせっぱなし」にならないように注意する必要があります。
「味見」のコツ
○いったん止める
よい例を指導者が紹介したり助言したりする。
学級全体で共有することで後半の活動や次時への学習改善に生かすようにする。
※十分ではない状況が見られた場合には、練習的な活動を組み込んだり、助言や指導を行い、学習改善につなげることが大切です。
指導者としての根っこの部分
次は指導者として大切にしてほしい「根っこ」の部分について紹介します。この記事を読んで、自分の指導観を少しアップデートし、授業(づくり)の中で意識していただければこんなにうれしいことはありません。
大切にしてほしい「根っこ」はこのように考えています。
・「教えたら使えるようになる」からの脱却
例えば、自己紹介の活動では…
×「1回した(教えた)からできるだろう」
○「方法を変えて、続けて取り組むことで力をつける」
同じ活動を続けることにも意味があります。(アルファベットの学習、特定の言語材料を扱った歌、好きなものを尋ねる活動、自己紹介など…)
やはり、使いこなせるようになるには時間がかかります。週1回しかないからこそ、同じ活動に磨きをかけながら取り組みます。どんな力をつけたいか具体的な姿をイメージして、45分を構成していきましょう。
直山(2020)は、言語活動を「漆塗り」と表現しています。
はじめはできなくて当たり前。長いスパンをかけて、繰り返し取り組めるような指導の工夫が必要です。そして、指導者自身も長い目で見て、繰り返し指導と評価をしなければなりません。
すぐできると言っても…
タイトルは「すぐできる!?」と書きました。
指導方法はこの世にたくさんあります。明日から使える指導法も書籍やWebだけでなく、SNSなどにもあふれています。
大人が「すぐ指導できる」ことはあるものの、指導したからといって子どもたちはすぐにできるようにはなりません。
さらに外国語活動は週1回という限られた時間です。
「教えたら使える」という考えから脱却しなくてはなりません。
指導と評価についてまとめた 『小学校外国語教育 学習評価ハンドブック』にも掲載しています。

羽渕 弘毅(はぶち こうき)
西宮市立総合教育センター 指導主事
専門は英語教育学、学習評価、ICT活用。高等学校や小学校での勤務経験を経て、現職。これまで文部科学省指定の英語教育強化地域拠点事業での公開授業や全国での実践・研究発表を行っている。働きながらの大学院生活(関西大学大学院外国語教育学研究科博士課程前期)を終え、「これからの教育の在り方」を探求中。自称、教育界きってのオリックスファン。
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