2026.04.09
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先生と子どもの相互作用が教室の空気をつくる

今回のキーワードは「相互作用」です。
先生になると、意外とこの「相互作用」ということを忘れて、日々の生活を送ってしまいがちではないでしょうか。

明石市立鳥羽小学校 教諭 友弘 敬之

相互作用とは何か?身近な例でわかりやすく解説

相互作用という言葉を検索すると多くは以下のように出てくるでしょう。

「相互作用とは、二つ以上のものが互いに影響を及ぼしあうこと」

例えば、作用・反作用として学習した物理的な力も相互作用です。自分が壁を押すと、同じ強さで壁が押し返してくる関係のことです。
また、気温が上がれば水が蒸発し、水蒸気が増えて雲ができる、というのも自然界で生じている相互作用です。
実は、生活する中でこうした相互に作用しあう関係は数えきれないくらいあるものです。

朝の食卓で起きる親と子の相互作用の連鎖

少し家庭生活へと目を向けてみましょう。
小さな子どもさんがいる家庭であれば、日々いろいろなことが相互に作用しあっていることでしょう。

起床から学校へ行くまでの時間。

親)納豆でご飯食べるかい!?
子)今日はパンが食べたい…

親)もうご飯よそってるから食べてよ!
子)だって昨日の夜からパンって言ってたやん…

親)残っていた1枚はお姉ちゃんが食べたからなくなったんだよ。
子)じゃあ今日はもうご飯いらない。

親)そんなこと言ってないで早く食べないと間に合わないよ。

さて、このような日常の中にもさまざまに作用しあって巻き起こっていることがありますね。例えば、姉がパンを食べたことによって、弟がパンを食べることができなくなる。すると、弟は「ご飯食べない」といい、親の表情が変わる。
少しずつイライラがたまっていく中で、出発の時間が迫り、口調が荒くなっていく。すると最後には子が泣きじゃくって学校に遅れてしまう。

ありえそうな光景ですね。結果からみると、子が一人泣くことになり、「朝から泣かないで」とさらに親から追撃を食らう。しかし、その中身を見てみると実は前日からパンを希望していたり、姉が残っていたパンを食べてしまっていたりと、泣くに至るまでにいろいろなことが影響しあっていることがわかります。こういったことは、何も家庭だけのことではありません。

学校で毎日起きている先生と子どもの相互作用

では、視点を学校へとむけてみましょう。「先生」と「子ども」が相互に作用しあっている場面、特に「先生」の影響によって「子ども」に作用している場面を取り上げてみたいと思います。

①宿題トラブルの原因は教師の指示だった

ある日の朝、宿題係のAさんが友達のBさんと言い合いをしています。

A「こんなんじゃあかんよ。出しなおして」
B「ええやんけめんどくさい。なんで出しなおさなあかんねん」

AさんはBさんが出した宿題のノートが裏返っていることについて「出しなおして」と強い口調で発言しています。それを聞いたBさんは同じくらいの口調で言い返しています。そこに先生が駆けつけて。「あなたたち、朝からどうしてけんかしているのですか?いい加減にしなさい」と目を吊り上げています。

実は、年度当初に担任の先生からこのような話がされていました。

「皆さんいいですか?宿題というのは朝学校に登校してきたら一番に出さないといけないものです。そして、出すときはこの提出箱の中に向きをそろえて出しなさい」

この説明を聞き、先生の指示を忠実に守ろうとしたAさんが向きをそろえて出していないBさんに対して、「先生が言っていたから私が正しい」といわんばかりに強い口調で注意をして口論になっていたわけです。

駆けつけた先生は、口論をしていることの元をたどると、まさか自分の一言がきっかけとなっているだなんてつゆにも思いません。そして、怖い顔をして説教を始めるわけです。

②テスト中に顔を伏せた子どもの本当の理由

Cさんはテスト中、突然顔を伏せてしまいます。それを見た先生が「Cさんまだ終わってないでしょう。いい加減なことをせずにテストを終わらせてしまいなさい」と注意をします。この時、Cさんは鉛筆の芯がすべて折れてしまい、字を書くことができなかったのです。

実は4月当初に行った初めてのテストの際、先生からこのような説明がありました。

「テストは大切な時間です。それまでに鉛筆はすべて削り、必要なものを用意して受けます。テスト中に削ることはほかの友だちに迷惑になりますので、削ってはいけません」

この説明を律儀に守ったのがCさんです。自分の鉛筆削りもない。テスト中に周りの友だちにお願いするわけにもいかない。ましてや鉛筆を削りに行けるわけもない。先生に相談しても「どうして削ってこなかったのですか」と怒られることがわかっているから相談できない。いろいろ考えた結果「動かずに伏せる」ということを選んだわけです。

教師が振り返る習慣が居心地の良いクラスをつくる

このような場面は特別なことではないのではないでしょうか?普段の教室を思い返してみると似ているようなことが起こっているはずです。だからこそ、私たち教師はプロとして、

「この現象はなぜ起こっているのかな?」
「私の言った一言が何か影響を与えていないかな?」

と、自分の言ったことやしたこと、ふるまいを振り返る習慣が必要でしょう。そうすると意外と、「あっ、これ私のせいや…」と、自分自身が作用していたことに気が付くはずです。その習慣がきっと、先生にとっても子どもにとっても居心地の良いクラスづくりにつながるはずです。なにせ、相互に作用するわけですから。

友弘 敬之(ともひろ たかゆき)

明石市立鳥羽小学校 教諭


「単元学習」をテーマに学び続けてきました。その中で、「学習デザイン」「実の場」「問い」と、興味を広げてきました。今は「そもそも学びってなんだろう?」という問いと向き合っています。それは、子どもの学びだけではなく、教師としての、また大人としての学びも含みます。この学びの場を通して、私の問いを解決していきたいです。

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