2024.07.10
  • twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

国際理解教育〜海外との言語文化交流〜(2)

こんにちは。
今回は、海外の人々との交流を通じて英語を使い学ぶ、二つの教育活動の実践をお伝えします。

札幌市立高等学校 教諭 齋藤 菜奈子

アメリカの高校生とオンラインで交流

生徒が活きた英語で交流し、異なる文化への関心を広げ、相手の文化に対する理解を深める活動の一つとして、海外の同年代の若者と交流する機会がないかと考えていました。相手に伝えることや相手を理解することに全力で取り組み、プロアクティブに交流する姿勢を育みたいと思っていたからです。また、同世代の若者と、興味関心のあるトピックについて交流することで、内容を重視した言語の習得を目指したいと考えていました。

そのような中、アメリカのNPOであるKizuna Across Cultures (KAC)が主催するGlobal Classmatesというプログラムを知り、前任校と現在の勤務校で二度参加させていただきました。Global Classmatesは、日米の高校生を対象とした、オンラインの文化・言語交流プログラムです。活きた外国語を使用してコミュニケーションの楽しさを経験すること、そして相互の文化理解を深めることを主な目的としています。KACが管理するプラットフォームで約半年間、日本の高校生は英語を、アメリカの高校生は日本語を用いてバイリンガルで交流します。アメリカの参加生徒は、日本語の授業を履修している高校生です。最初に参加した際は、ネブラスカ州の高校と、自分の勤務校で「異文化理解」または「英語探究」の授業を選択・履修している2〜3学年の生徒を対象に実施しました。二度目は、オレゴン州の国際バカロレア認定中等教育学校と、2学年の「コミュニケーション英語II」の時間で活動を実施しました。

KACのスタッフさん、相手方の高校の先生、そして自分との三者で定期的に打ち合わせをし、隔週でオンライン掲示板に投稿するトピックのアイディアを出し、進捗状況や改善点を話し合いました。オンライン掲示板を使用した生徒の意見交換に加え、手紙とプレゼントの交換(Omiyage Exchange)、ビデオ会議における交流を実施しました。

プログラム参加を生徒に伝えたときは、面白そうという反応と同時に、自分の英語が伝わるか不安に感じているという声も聞こえてきました。しかし、掲示板を通じたディスカッションを開始してみると、アメリカの生徒たちが一生懸命に日本語で伝えようとする様子が伝わり、積極的に交流すること、そして交流を楽しむことも大切だと感じているようでした。手紙とプレゼント交換では、日本では当たり前でも、海外では珍しい物に対する反応が興味深かったようです。例えば、本物そっくりのおすしが作れるお菓子を贈った生徒に対して、受け取ったアメリカの生徒が実際にできあがったお菓子の「おすし」を写真で送ってくれました。

交流の中で学ぶ英語

このような交流の中では、正確さよりも、英語を使う頻度や積極性に重点を置きましたが、以下の点は心がけました。

①生徒の気づきを尊重する

映画やインターネットから学んだと思われる、使うのを控えた方が良いような英語の表現については、アメリカの生徒に「そういう言葉は、使ってはいけない」と諭されている場面がありました。どうしてダメなのか質問してきたため、受け止めて、どうしたらいいのか考える場面を設けました。場面に応じて、適切な表現の使い分けが必要だと、経験から学んだ機会になりました。

②日本語と英語の特色について理解する

英語には日本語のように丁寧な表現はない、もしくはあまり使わなくても良いと考えている生徒が多いと気づいたことから、語用論と、英語での依頼の表現のバリエーションについて説明した後、実際に掲示板でアメリカ人の生徒に何かを依頼する文を書く練習をしました。

ビデオ会議では、全員が交流する場面と、グループごと(例えば、アメリカの生徒一名に対し本校生徒二名と)が意見交換する場面の両方を用意しました。全員が話さなくてはいけない状況に身を置いて、相手に伝えたい単語や表現が出てこないときは、日本人の生徒同士で助け合い、ジェスチャーを使うなど工夫していました。

ビデオ会議で使用した機材(Wi-Fiルーター5台およびタブレットのSurface20台)は、メンバーとして登録していたマイクロソフト認定教育イノベーター(MIEE)向けの授業・研修用貸与プログラムを利用し、日本マイクロソフト株式会社より2週間無料でお借りすることができました。

普段の授業の中でも、海外の方と交流する場を

このようなプログラムに参加するには、ハードルが高いと考える先生もいるかもしれないです。そのような場合は、身近にいる海外の方に協力を仰いで、交流の場面を作る方法もあるでしょう。例えば、前任校では、オーストラリア人のALTに協力してもらい、ALTのお母様とビデオ会議で交流の場面を設けました。オーストラリアからの特別ゲストということで、英語で生徒全員が順番に質問ややりとりをしました。ALTのお母様は、生徒の発言を何度か聞き返す場面がありました。発音のみならず、はっきり話す事、伝えるのが難しければジェスチャーを使うことなど、工夫して伝えることの大切さを実感したようです。

インターネットを使用することで、個人でも海外の方と交流すること、英語を使うことは年々身近になってきてはいます。一方、学校という場で活動することにより、教員が言語面や内容面でのサポートができること、またクラスの仲間と協働して成長できるというメリットは大きいと感じます。

齋藤 菜奈子(さいとう ななこ)

札幌市立高等学校 教諭


アフリカやアジアで、教育担当官として児童や教員の支援に携わった後、十数年前に公立高校の英語教諭に転職。勤務校では、海外の高校との交流、フェアトレードやSDGsをはじめとする実践を通じ、英語を使いながら学び、多様な文化への興味関心を高め、地域社会や海外に貢献する教育活動を取り入れている。
社会活動では、米日カウンシル が主催するTOMODACHIイニシアチブで、大学生のメンターとして四年間活動し、女性・若者のリーダーシップ能力育成に努めてきた。

同じテーマの執筆者

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop