教育界を持続可能にする新しい研修スタイルの提案
これまで、教員研修や働き方改革を中心に、本校での実践をお伝えしてきました。
本校の課題である若手教員の育成や業務の効率化は、どの学校でも共通する問題であるように思います。
今回は、「1on1ミーティング」の成果と課題、そして今後の教育界を盛り上げる新しい研修スタイルを提案します。
岡山県和気町立佐伯小学校 教諭 角田 直也
1on1ミーティングの実施方法と内容

1on1ミーティングの様子
中堅教諭である私が、2学期から20代の教員6名に対して、それぞれ月1回、15分程度のミーティングを行いました。基本的に放課後の教室で実施しました。主なミーティングの内容は「今はどんな仕事に注力しているか」「どんなことに困っているか」をベースに、プライベートも含めた雑談も行いました。本題を用意したりメモに残したりすることなく、ラフな話し合いになるように意識しました。
ミーティングを通して、若手教員の主な悩みごとは、分掌業務に関わることが大部分を占めていました。小規模校である本校の特徴ではありますが、1人当たりの分掌数が多く行政への提出文書や会議資料に負担を感じているようでした。また、分掌業務の平均化を望む声も多い一方で、教科指導や生徒指導、保護者対応で悩んでいる教員は少ないことが現状でした。
1on1ミーティングで見えた成果
ミーティングを通して、若手教員へのフォローの視点が明確になりました。仕事量や優先順位に悩む教員もいれば、仕事を割り振ることに後ろめたく思っている教員もいました。そこで、中堅教諭である私が、ベテラン教諭とのパイプ役になることで、若手教諭の良き伴走者となり業務の効率化につなげることができました。
若手教員にとっては、忙しそうにしている先輩教員に話しかけることをためらうようで、聞きにくいこともあったようです。特別に時間を設定することで話しやすくなるようでした。
1on1ミーティングで見えた課題
ミーティングを設定する時間は主に放課後でした。しかし、児童が下校してから定時退庁時刻まで1時間程度であるため、明日の準備や会議、研修がある中で、このミーティングの時間を確保することに苦労しました。
雑談力やファシリテート力の向上も必要です。情報を聞き出したり話をまとめたりしようとすると、若手教員も意識してしまい本音を話すことができません。ミーティングを行う教員のスキルも必要になります。
若手教員の不安や不満は、ベテラン教員の業務内容や仕事に対する向き合い方についてもありました。もちろん中堅教員として、管理職に報告したり直接ベテラン教員に話したりすることもありました。結果的にベテラン教員の業務に対する向き合い方は変わりませんでした。ベテラン教員と若手教員の関係についてもフォローが必要です。
新しい研修スタイルの概要とねらい

新研修スタイルの概要(筆者作成)
今後も若手教員の増加が見込まれる教育の世界で、このような効果的なミーティングを実施していくことは必要であると感じました。一方で、中堅教員の負担が増したり、ミーティングの時間設定に無理が生じたりすることが目に見えています。若手教員の離職を防ぎ、職場でスキル向上を目指していくためには、従来のOJTから少し変化が必要に思います。
そこで、若手教員と中堅・ベテラン教員がバディを組んで業務に当たることを提案します。単なるチーム担任制ではなく、若手教員の資質向上を目標にした伴走者を設定します。1on1ミーティングだけでなく、提出物の確認や、分掌業務の相談などをバディの教員と共に行います。
そして、このシステムの肝となる部分は、若手教員が自身に伴走してもらう中堅・ベテラン教員を指名することにあります。若手教員が「この人から学びたい」「こんな教員になりたい」と思いをもってバディを組むことが、教員の主体的な学びにつながります。
指名された教員にとっても、自身の教育の肯定につながり、より研鑽を積んでいく意欲にもつながります。定期的に、バディを継続したり変更したりすることで、チーム学校として教員の資質向上と業務の効率化を図ることも良いでしょう。
教員不足が嘆かれている現在です。そのような中で教員になることを志した若者が、教育界に魅力をもち、満足感をもって仕事ができるように、組織の力を高めていく必要があります。スーパー教員と言われるがんばりやさんの教員が一人で改革を起こすのではなく、チーム学校で学校の力を底上げしていきましょう。

角田 直也(かくだ なおや)
岡山県和気町立佐伯小学校 教諭
特別(聴覚)支援学校、青年海外協力隊(マラウイ)、公立小学校に勤務。
近年は、総合的な学習の時間に行う地域をフィールドにした活動を軸として、教科横断的なカリキュラム編成を実践・検証し、地域学習と教科学習の双方の深化について研究しています。
また、先輩教員のノウハウと新しい"観"の教育を融合しつつ、若手教員と共に学ぶ新しい研修方法を実践しています。
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