鉄板ネタ!4月の体育授業開き(後編)
「教材と語りはセット」です。
フープを使った多様な遊び方(回し40種、転がし、鬼ごっこ、送り、キック)を紹介します。
どこで,どのように褒めるか?
発達段階に応じた目標設定と評価方法も解説します。
目黒区立不動小学校 主幹教諭 小清水 孝
体ほぐしの運動,教材,語り
前回の記事では,【A 集合ゲーム】【B バナナ鬼】を通して,次の三つのことを書きました。
- 小学校体育の「体ほぐしの運動(遊び)」は4月に行う。その後の体育学習や学級経営に良い影響を与える。
- 優れた授業は,「魅力的な教材」と「力強い語り」が一体となって展開される。
- 教材だけを真似ても,期待する効果は得られない。指導者の思いや願いが伝われば,子どもたちの心に響く。
フープで45分間遊べますか?
【C フープ遊び】
読者の皆さんは,フープで5つ以上の遊びが思いつくでしょうか。
(1)フープ回し
- 腕,指,腰,片足,首の5か所でそれぞれ回します。(×5)
- 利き手(足)と逆で回します。(×2)
- 回す向きを変えます。(×2)
- さらに,ペアで手をつないだりシンクロしたりします。(×2)
- すると,回し方は5×2×2×2=40パターンあります。
(2)フープ転がし
- 体育館の四方に,カラーコーンやリバーシ等を置きます。
- 体育館の床にある線を利用して,そこから転がします。
- ①の物にフープが通れば,得点になります。コーンは1点,リバーシは2点です。
- 得点は自分で数えておきます。最多得点者が優勝です。
(3)フープ鬼
- 学級の児童数の4分の1程度のフープを,体育館の床にランダムに置きます。(例:30人学級なら7~8本)
- 学級の児童数の4分の1程度が鬼役です。ゼッケンを着ます。
- フープは安全地帯です。しかし,後からフープに入ってきた人は,先に入っていた人を追い出すことができます。
- 鬼にタッチされたら鬼役を交代します。
- 3分程度で行います。
(4)フープ送り
- 5~6人でグループを作り,手をつないで内側を向きます。
- 手を離さずに,フープを次の人に送ります。
- 速く3周できたチームが優勝です。
(5)フープキック
- 5~6人でグループを作ります。
- A地点,B地点にそれぞれ2~3人ずつに分かれます。
- A地点からB地点に向けてフープを蹴ります。
- B地点の人は,飛んできたフープの中にジャンプして入ることができれば成功です。
- 次はB地点からA地点に向けてフープを蹴ります。この繰り返しです。
読者の方は,(1)~(5)のどこで,どのように褒めるでしょうか?
繰り返しお伝えしますが,優れた授業は,「魅力的な教材」と「力強い語り」が一体となって展開されます。ぜひ,子どもたちをたくさん褒めてあげてください。
フェーススケールで評価
私は,単元の目標を次のように設定しています。
【低学年】運動を通して,体の変化を見つけよう。
【中学年】運動を通して,体と心の変化を見つけよう。
【高学年】運動を通して,体と心の関係を理解しよう。
低学年の児童は,「汗が出た」「体が熱くなった」「息がハアハアした」「心臓がドキドキした」と言うでしょう。体の変化を見つけたことを褒めましょう。
中学年の児童には,運動の前と後にフェーススケールで心の状態を把握させましょう。ホワイトボードに書かれた4段階の表情の近くに,ネームプレートやマグネット等を貼ってもらいます。運動を通して心の変化に気付きます。自分で気づかなくとも,学級全体のデータを見れば,運動を通して心が軽くなることに気付くでしょう。
高学年の児童には,心と体の関係に気づかせたいものです。中学年の学習経験から,「運動する→心が軽くなる」を理解しています。高学年では,その反対の矢印を理解させましょう。つまり,「心を軽くしたい→運動する」です。体ほぐしの運動(遊び)を通して,ストレスを軽減する術を子どもたちに身に付けてほしいと願っています。
文字数の関係で,予定していた【D 風船チャレンジ】【E ジャイアントウォール】が紹介できませんでした。今後の配信で完結したいと思います。

小清水 孝(こしみず たかし)
目黒区立不動小学校 主幹教諭
フープ1本でできる運動を3つ以上言えますか?
現場で使える技術、できる実践、リアルな指導法を日々追究しています。
現場の先生方、共に考え、指導法の選択肢を増やしていきましょう!
NPO教育サークル「GROW5th」代表。
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