2022.07.02
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デジタル時代も辞書引き学習

GIGAスクール構想の進展により、勤務校のあるさいたま市でも児童一人一台のタブレットパソコンを常時活用することができるようになりました。担当する3年生の子どもたちも昨年度から積極的に活用しているので、みんな上手にタブレットを使って学習できています。これから、新しい学習の形がたくさん見つかりそうで大変うれしいです。

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当 菊池 健一

タブレットに夢中

児童の活用する辞書

ただ、タブレットを操作する活動に夢中になりすぎている面もあります。授業などで作業が終わった後など、自分で選択した課題を行う時間がありますが、そこで辞書引き学習を行う子よりも、タブレットパソコンでドリル学習などを行う児童が多いです。
やはりどうしても、デジタル機器の方に子どもたちは惹かれるようです。辞書引き学習にこれまで9年間取り組んでいますが、この点が一番変わってきたところです。

しかし、紙の辞書を引くことはとても大事だと思っています。これから高校生・大学生になると電子辞書やスマホの辞書機能を使って検索することが多くなると思います。
しかし、今は紙の辞書を手で引くことで、調べた言葉の近くにあるいろんな言葉と出会うチャンスが生まれます。ページを一覧できることが紙の辞書の良いところです。この利点を生かした学習をしていきたいと考えています。

紙の辞書を使った辞書引き学習

今年も、紙の辞書を使った辞書引き学習をスタートしました。最初の授業はいつも新鮮です。
担当する3年生の児童に、

「さあ、辞書を開いて知っている言葉を見つけよう。そして見つけた言葉に付箋を貼ろう」

と投げかけると児童は夢中になって付箋をつけ始めました。毎年、実践を行っていて、児童はこのように付箋を貼って自分が見つけた言葉を記録していくのが好きなのだと感じます。今回の授業でもたくさんの付箋をはり付けていました。

以前は、そのまま辞書引きを続けていく子が多くいました。しかし、今年度は明らかに様子が違いました。子どもたちはタブレットパソコンも同時に使っています。授業の中で分からないことを調べたり、コンテンツを使って、自分の考えをタブレットで共有し合ったりもしています。児童の関心はどうしても紙の辞書よりもタブレットパソコンに向いてしまいます。そのようなこともあり、これまで通り子どもたちの関心ばかりを頼りに辞書引き学習はできないことを実感しました。

そこで、子どもたちが自由に行う辞書引き学習に加えて、全員で一斉に行う辞書引きも入れることにしました。具体的には、新出漢字の学習の際に、習った漢字を辞書で見つけるようにします。国語辞典では漢字も詳しく解説されています。特に、熟語がたくさん掲載されているので、その熟語を付箋に書いて貼ります。子どもたちは一気にたくさんの熟語を集めることができるのでうれしそうに付箋に書いて辞書に貼っています。

「先生、『せいかい』という言葉がたくさん載っているよ」
「『あつい』という言葉の種類がたくさんあったよ」

とうれしそうに辞書を見せに来てくれます。授業以外の時間でも言葉が見つかると付箋を貼っている姿を見るとうれしくなってきます。

また、国語科だけでなく各教科の授業で常に新しく出てきた言葉や子どもたちに意味を抑えさせたい言葉があるとみんなで辞書を引いて意味を確認する時間を設けました。社会科では「台地」や「低地」などの言葉が出てきた際に辞書で意味を確認しました。そのようなことを繰り返すことで、子どもたちは学習の中で進んで言葉の意味を調べようとするようになりました。

デジタルとアナログの融合を

GIGAスクール構想の進展により、デジタル機器を使った授業を行うことは必須のことです。子どもたちがデジタル機器を使って、学習内容を効果的に身に付けたり、情報活用能力を身に付けたりすることは大変重要なことです。我々教師が積極的にデジタル機器を使って指導をしていくことは今の大きな課題です。

しかし、それでもなおアナログの国語辞典も重要だと思います。国語辞典には一覧性があります。自分が見つけた言葉の近くには別のたくさんの言葉が掲載されています。そこで、新たな言葉との出会いがあります。タブレットで言葉を調べるということではなかなか新しい出会いは望めないと思います。子どもたちにはそのような出会いを大切にしてほしいです。

これから授業でタブレットパソコンも十分に活用しながらも紙の辞書もどんどん活用していきたいと思っています。そして、たくさんの言葉に出会い、語彙力を高めたり、知らないことを進んで調べたりする姿勢を身に付けていってほしいと思っています。

今年度も教育委員会からの要請で、タブレットパソコンを使った実践を進める必要があります。その実践も進めつつも、アナログの辞書も変わらずに使っていきます。そして、そのどちらも不可欠なものであることを自分なりに示していきたいと考えています。この成果をまた報告したいと思います。

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菊池 健一(きくち けんいち)

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。

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