2021.11.13
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社会とのつながりを(2)

前回のレポートで、現在担当する3年生の社会科で地域の農家の方をゲストティーチャーとして招き、野菜作りの仕事について学ぶ授業を計画したことを報告しました。
ゲストに招くのは、さいたま市の見沼田んぼで「こばと農園」を経営する田島有里子さんです。

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当 菊池 健一

地域の農家の方に関心を持つ

児童に話をする「こばと農園」の田島さん

田島さんは3年前から農園を始め、今では地域の直売所やスーパーなどに野菜を出荷しています。数年後には農園の法人化を目指し、夢をもって仕事に取り組んでいます。同じ農業仲間と、芋ほりや野菜のマルシェなどを企画し、地域の方が野菜に親しむ機会も作っています。さいたま市の農業雑誌や新聞などにもよく紹介されています。
昨年度は5年生の社会科学習で「地産地消」をテーマとしてお話をしていただきました。今回は3年生の社会科学習のため「農家の仕事について」、そして「野菜作りの工夫について」というテーマでお話をしていただきました。
これまで、学年掲示板にこばと農園の情報を貼ったり、田島さんが作った野菜を展示したりして、子どもたちの意欲を高めてきました。子どもたちは早く田島さんのお話をお聞きしたいと心待ちにしていました。授業でも、

「田島さんはどんな野菜を作っているのか」
「田島さんはどうして農業を始めたのかな」
「田島さんはどのように出荷先を決めているのかな」
「一番力を入れている野菜は何だろう」
「田島さんは、1日どのように仕事をしているのかな」

等、社会科で学習した内容と関連付けて、聞きたいことなどを考えることができました。
そして、ゲストティーチャー、田島さんの授業を心待ちにしていました。子どもたちには田島さんの話から、野菜作りの工夫について知るだけでなく、働く人の一途な姿を見て、仕事をすることの素晴らしさを感じてほしいと思いました。

農家の方の授業

今年はコロナで何度か延期になりましたが、予定通りこばと農園を経営する田島さんに学校に来ていただくことができました。これまで田島さんのことを取り上げた新聞記事や情報誌を児童と読んだり、田島さんの作っている野菜を紹介したりしてきたので、児童はお話を聞くのを楽しみにしていました。
授業の当日、田島さんからは、児童がもった疑問に関することを中心に話をしていただきました。お話の内容は以下のものです。

  • 農業を始めたきっかけは、子どものころから植物を育てるのが好きだったから。自分の作った野菜をたくさんの人に食べてほしいと思っていた。
  • 作っている野菜は30種類ぐらい。季節に合わせて、おいしい野菜を育てている。
  • ビニルハウスを使って苗を育てている。寒い時でも暖かい環境で苗を育てることができる。
  • 一番作るのが大変なのは、育てる期間が長いネギ。
  • 種まきや土の耕作に機械を使っている。一人でも作業ができる。
  • イベントでマルシェを行い、野菜を販売している。
  • 野菜が取れるまでには、早いもので数週間、長いもので数か月かかる。毎日、畑で野菜を大切に育てている。
  • 地産地消をさらに進められるようにししたいと思っている。買ってくれる人と作っている人がお互いに顔を知っている関係になると安心して野菜を食べることができる。
  • 地域の野菜をたくさん作ることで、取り立ての新鮮な野菜を届けることができる。

この他にも子どもたちからのたくさんの質問に答えていただきました。子どもたちは、田島さんが大好きな野菜作りに一生懸命に取り組んでいることを知り、さらに野菜作りに興味をもったようでした。そして、地域の皆さんに良い野菜を届けようとしている田島さんの姿に大変感動していました。

これからも地域の野菜に関心をもってほしい

今回、農家の方のお話を聞いて、児童は野菜作りの工夫だけでなく、その楽しさも知ることができました。今回の話をきっかけにして、児童には野菜作りについて、そして仕事を行うことの素晴らしさについて知ってほしいと思います。
これまでも、給食を題材にした産地調べや、野菜の栄養調べなどを行ってきました。今回の田島さんの話から、さらに地域の農産物についての関心が高まってきています。その関心の高さをいかして、さらに学習を詳しくしていきたいと考えています。
児童からは、

「これからもいろんな野菜について調べていきたい」
「地域の野菜のことをもっと知りたい」
「地域の野菜をたくさん食べてみたい」
「自分も野菜作りの体験をしてみたい」

という感想が聞かれました。今回の学習では社会科の学習はもとより、地域の農園を経営する方の思いについてとてもよく理解できました。これからも、継続して学習を続けていきたいと思っています。

これからも、こばと農園の野菜を取り上げながら社会科の授業を進めていきたいと思います。そして、子どもたちとともに農業について学んでいきたいです。また、今回ご指導いただいたこばと農園の田島さんにはこれからも授業づくりに協力をいただき、生きた社会科授業づくりをさらに行っていきます。今から次の実践を計画するのが楽しみになってきています。

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菊池 健一(きくち けんいち)

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。

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