2021.08.16
  • twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

対話ってどのようにすればいいの?(7回)

2020年度から実施された学習指導要領では「対話的な学び」が1つのキーワードとなっています。 対話とはなんでしょうか。国語ではどのように対話すれば良いのでしょうか。今回は対話についてお話しします。

市原市立八幡小学校教諭 木更津技法研所属 山本 裕貴

【対話的な学び】

学習指導要領が改訂され、小学校は昨年度から実施となりました。その中で大きなキーワードとなっているのが「主体的・対話的で深い学び」です。その中から今回は「対話的な学び」に焦点を当てて考えてみたいと思います。
対話的な学びとは、どのような学びのことを指すのでしょうか。文部科学省の「主体的・対話的で深い学びの実現」の資料には次のように定義が記載されています。

「子供同士の協働、教職員や地域の人との対話、先哲の考え方を手掛かりに考えること等を通じ、自己の考えを深める」

なるほど。つまり対話的な学びとは、子供同士で協力したり、大人と話し合ったり、本を読んだりして考えることと言えそうですね。

【対話とは何ぞや】

では、そもそも対話とは何でしょうか。似たような言葉に会話がありますが、どのような違いがあるのでしょうか。広辞苑には次のように書かれています。
-----------------------------------------
対話→向かい合って話すこと。相対して話すこと。二人が言葉を交わすこと。会話。対談。

会話→二人あるいは小人数で、向かい合って話すこと。また、その話。
-----------------------------------------

日本語では、殆ど同じような意味として捉えられています。しかし、私たちは日常生活で対話と会話を同じ場面で使っているでしょうか。そんなことはないと思います。
例えば、道端で出会った友人と話すとき「対話した」と言うでしょうか。「会話した」が適切な表現です。やはり対話と会話には違いがあるはずです。では、日本語以外の言語ではどうでしょうか。

【dialogue】

英語では、対話は「dialogue」、会話は「conversation」です。conversationは日常におけるコミュニケーションとして行う言語活動としての意味合いが強く、そこに明確な目的がなくとも成立します。
dialogueの語源は「dia」と「logos」です。diaは、「人と交わす、横切る、通して」などの意味を持ち、logosは「話、言葉」などの意味を持ちます。dialogueは目的を持った言語活動や相互理解などのニュアンスがあります。
これらのことから「対話とは会話の一領域であり、目的を持った言語活動」だと私は考えます。ですから、教育活動として行うのは会話でなく、対話なのです。

【三種類の対話を使い分ける】

以前、対話には2つの段階があると書かせて頂きました。1段階目が「意欲向上」2段階目が「知の集合」です。詳細は「学級がうまくいっている先生は何をしているのか?(No.3)」に書いてありますので、良かったらご覧ください。
さて、学力形成として望ましい対話は知の集合ですが、意欲を向上させるための対話も授業では肝要です。私は対話を次の三種類に分けて、用途に応じて使い分けています。

1  関係形成的対話
2  自己表現的対話
3  協働的対話

具体的な事例を交えて、それぞれ説明していきます。


【関係形成的対話】

これは、児童の学習意欲を向上させたり、児童同士の人間関係を構築したりすることを目的とする対話です。授業の導入部分や作業をするときなどに使います。

◯音読する前に対話させる

教師「音読する場所を、隣の友達と確認しましょう」児童A「音読する場所は、ここだよね?」
児童B「そうだよ。はっきり、ゆっくり読めるようにしようね」

関係形成的対話は時間がかからないので、授業の中で何度も行うことができます。対話を重ねることで、相手を理解し、児童同士の関係が良好になっていきます。

【自己表現的対話】

これは、自分の考えを相手に伝えることを目的とする対話です。自分の意見に対する根拠を述べさせるときなどに使います。

某は案山子にて候雀殿  夏目漱石

◯発問をした後に対話させる

教師「雀は1羽ですか、それとも2羽以上ですか。考えと根拠を書きましょう」
児童A「1羽です。なぜなら雀は~」
児童B「2羽以上です。なぜならこの場面は~」

相手に伝えることで、自分の思考を整理することができます。ちなみに答えは1羽です。なぜなら「殿」という敬称は単数に対して付けるものだからです。もし複数ならば「雀方」となるはずです。

【協働的対話】

これは、自分一人では考えつかないことを、対話によって生み出すことを目的とします。答えが複数になるものなど多様性が求められる場面で使います。
5年生の国語の教科書に「見立てる」という説明文があります。そこで、あやとりの同じ形でも、地方によってイメージするものが違うという学習内容があります。

◯指示を出した後に対話させる

教師「この形は、何をイメージしますか。ノートに書きましょう」
児童A「私は橋に見えるよ」
児童B「僕には山の風景に見える」

自分とは異なる考え、意見があり、それを知ることが対話をする意味です。そこに児童に気付かせ、対話する良さを実感させることが大切です。

というわけで今回は「対話」についてお話ししました。次回は「学習用語」についてお話しします。ここまでお読みいただきありがとうございました

山本 裕貴(やまもと ゆうき)

市原市立八幡小学校教諭 木更津技法研所属

高校、特別支援学校、小学校算数専科を経て、現在小学校の学級担任をしています。
人を幸せにするには、どうすれば良いのか。たどり着いた答えが小学校の先生でした。
教育の根本・本質・原点を問い続けていきます。

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop