2021.09.03
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学習用語ってなに?(8回)

国語の授業をする中で、学習用語を使うことが大切です。 学習用語を使うと、教科で学ぶべき内容が明瞭となります。 今回は国語における学習用語に焦点をあててお話しします。

市原市立八幡小学校教諭 木更津技法研所属 山本 裕貴

【学習用語とは】

学習用語という言葉をご存じですか。「学習の用語」ですから、多くの先生方は耳にしたことがあると思います。しかし、学習用語とはどんなものですかと聞かれたとき、的確に答えることができるでしょうか。

学習用語とは「教科内容を示す重要な言葉」です。教科内容については、以前書いておりますので、よかったらそちらをご覧ください。さて、これだけでは曖昧模糊として分かりづらいと思いますので、教科書を開いてみましょう。光村図書の国語教科書の巻末には「学習に用いる言葉」というものが記載されています。5年生の教科書には「心情」「人物像」「主張」「根拠」などの言葉と、言葉の意味が記述されています。これが国語の学習用語です。

これを算数で考えてみましょう。「足し算」「引き算」「整数」「分数」などが算数の学習用語になります。算数の学習用語は、授業で教えない先生はいないと思います。ですが、国語の学習用語はどうでしょうか。国語の学習用語を「授業で教えない先生はいない」でしょうか。
恥ずかしながら告白しますが、私は初任者とのとき国語の学習用語をあまり教えていませんでした。というより、どんな言葉を教えればよいか分かっていませんでした。本当に勉強不足だったなと反省しています。これを読んで、学習用語について一人でも多くの先生方に知っていただければ嬉しいです。

【理解状況調査】

国語の学習用語は、子どもたちにどの程度定着しているのでしょうか。2013年に学習用語の理解状況を調査した研究があります。これは公立小学校の約300人の児童を対象とした調査です。学年によって調査方法が異なりますが、中学年以降は学習用語を提示し、意味の分かる言葉には〇、分からない言葉には×と回答する方法で行いました。結果は以下の通りです。

◆学年別平均理解度

1年 80%
2年 80%
3年 89%
4年 87%
5年 86%
6年 89%

概ね理解していますが、算数の学習用語はより高い結果が推測されます。国語の学習用語も、教師が意識して教えることで、より子どもに定着させていくべきです。

【学習用語の必要性】

私の師である植草学園大学名誉教授の野口芳宏先生は学習用語の必要性を提唱しています。なぜ、学習用語は必要なのでしょうか。具体例を通して解説します。

子どもが家に帰って、学校で勉強したことをお母さんに伝える場面を想像してください。お母さんに「今日はどんなことを勉強したの」と聞かれて、子どもは学習した内容を思い出します。

◆算数で学習した内容

 Aさんは、みかんを3つ買いました。
 Bさんは、みかんを4つ買いました。
 合わせて、みかんは何個ですか。
 3+4=7 答え7個

これを伝えるときに「今日の勉強は、AさんとBさんがみかんを買ったということを習ったよ」というのは適切でしょうか。これでは不適切です。なぜなら子どもは教材内容を伝えているからです。これでは算数で何を学んだのかが分かりません。

「今日の勉強は、3と4を足すと7になる足し算について習ったよ」というのが適切です。これが教科内容です。どのような教材を用いても、必ず教えなければならないものが、教科内容ということです。

算数は教科内容、つまり習ったことを適切に答えることができます。しかし、国語ではどうでしょうか。『大造じいさんとガン』の学習を伝えるときに、教材の内容は答えられると思いますが、教科として何を学んだか適切に答えられるでしょうか。恐らく、ほとんどの子どもは難しいと思います。ですから、学習用語を使うことが必要なのです。

ちなみに光村図書の『大造じいさんとガン』では、学習用語として「山場」を扱っています。これを授業の中で教えることで、習ったことが明確になります。
「今日の勉強は、物語の中で中心人物の考え方が大きく変わる山場について習ったよ」と伝えることができるようになります

【学習用語で国語学力を身に付ける】

以上のように、国語は教材内容に偏った指導であることが多いです。算数と異なり、どんな学力が身についたか、見えにくいです。ですから、学習用語を使って見えやすい学力にする必要があります。
では、実際の授業ではどのように学習用語を指導すればよいのでしょうか。5年生の説明文「言葉の意味が分かること」を例に解説します。

◆授業の流れ

・説明文の構成を確認します。
教師「説明文は序論・本論・結論という構成になっています」

・序論を読みます。
教師「序論の役割を確認しましょう。どのような事が書いてありますか」
児童「今から話す内容の説明が、書いてあります」
教師「そのようなことを、話題提示と言います」
児童「筆者が考えていることも書いてあります」
教師「筆者の考えを、主張と言います」

・学んだことを学習用語を使ってまとめます。
教師「序論の役割はなんでしょうか」
児童「話題提示や主張をすることです」

このように学習用語を使うことで、教材を通して学習したことが明瞭になります。また、学習用語は教科書にも記載されていますが、あまりそれにこだわらず早い段階から教えたほうが良いです。早くから、何度も出合わせることが国語学力の形成に繋がります。

というわけで、今回は「学習用語」についてお話ししました。時の流れは早いものですね。次回が最終回になります。次回は国語学力の総決算である「作文力」についてお話しします。ここまでお読みいただきありがとうございました。

山本 裕貴(やまもと ゆうき)

市原市立八幡小学校教諭 木更津技法研所属

高校、特別支援学校、小学校算数専科を経て、現在小学校の学級担任をしています。
人を幸せにするには、どうすれば良いのか。たどり着いた答えが小学校の先生でした。
教育の根本・本質・原点を問い続けていきます。

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