どの子も手を挙げることができるようになるワザ!〜さらに3つのワザ〜(④)
「私のクラス、子供達が発表のときに全然手を挙げてくれないんです」と言う悩みを最近よく聞きます。すぐに取り組めるワザです
京都教育大学付属桃山小学校 樋口 万太郎
前回の続きです。今回は、
⑥「答えあわせをする時に、基本的にはいいです・違いますをやめた」
⑦「ペア活動の取り入れ方」
⑧「座席配置」
を紹介します。
⑥「答えあわせをする時に、基本的にはいいです・違いますをやめた」
宿題で算数プリントを授業中に答えあわせするときに、「①は○○です。いいですか?」「いいでーす」または「違いまーす」という一連の流れ。
または、考え方を発表した後に「私は○○と考えました。いいですか?」「いいでーす」という一連の流れ。
を私のクラスでは行いません。答えあわせをしているときに、みんなの前で答えを間違えたときに、みんなから「違いまーす」と言われた時の「悲しさ」。
そのように言われた子たちは、もう2度発表をしたくなくなるかもしれません。「いいでーす」と言っている子の中には、実は答えが間違えているにも関わらず「いいでーす」と言っている子もいることでしょう。
考え方を発表するときには、その考え方をよく理解できていなくても、わかっていなくても「いいでーす」と言っておけば、わかっているフリができます。周りの子から「あの子、わからないんだ……」と思われなくてすみます。
算数ではよく「答えを出すことも大切だけれども、考え方はそれ以上に大切」ということをよく言われます。しかし、子どもたちにとっては答えの○×かはとても大切なことです。こういったところからも挙手が苦手になっていくものです。
答えあわせをするときには解答を配布し、自分たちで答えあわせをします。そして間違えたところをしっかり直しをさせるのです。
⑦「ペア活動の取り入れ方」
自力解決の後に、「ペア活動」を必ず取り入れるというのでは、ペア活動の良さを十分に発揮できたとはいえません。
グループ活動でも同様のことがいえます。ペア活動で1番取り入れたらダメなタイミングがあります。それは、「教師自身が授業展開などに困ったとき」です。
そのような場面でペア活動を取り入れても、子どもたちも困ってしまうだけです。教師が困るようなときは、子供も困るようなときです。この論理にあてはめると、
教師、大人がペアで話したいときが、子供にとっても話をしたいときということです。そこで、私は次の4つの場面のときに取り入れるようにしています。
- 既習の知識をもとに考え悩んでいる場面
- 子供の表情から話し合いたいと感じた場面
- 多様な考えが出てきた場面
- 課題を達成するために協働的に学んだ方が良いという場面
授業前にここでペア活動を取り入れようと計画していても、子供達の反応を見て、取り入れないときもあります。
⑧「机配置」
ここ数年、テストを行うとき以外は対面式の机配置を行なっていません。
今は、「より話し合いや教え合うことを活発に行うために」というねらいのもと、3人組もしくは4人組の机配置です。
その机配置ですが、「席替えのたびに話し合わせ、どのような配置がいいのかを子供たちに決めさせています。
机配置について学級会で子供たちに話し合いをさせます。話し合いをさせることで、自分たちで学習するための環境をデザインすることになります。
自分たちでデザインすることで自分たちごとの話にさせたいのです。その取り組みについての責任感を子供たち一人ひとりに持たせたいのです。
教師からの一方的な提案よりも、自分たちで考えた方がより主体的にねらいを達成しようと頑張ることでしょう。そこで、樋口学級では、次のような進め方で学級会の話し合いを行なっています。例えば、3人組の机の配置だったとします。
- 「3人班を次の席替えでどうするのか」という議題を先生の方から提出
- 班ごとにふりかえり
- 班ごとのふりかえりをホワイトボードに書き、黒板に貼る
- 全体で共有
- 次回の方針を決定
- 席替えをする
司会は子供にさせます。
子供たちの意見を聞いていると、思わず口を挟みたくなることもあります。そこはグッと我慢して、意見を挟まないようにします。そして、子供たちが決定したことは、必ず実行します。
ここで、「そうは決まったけど、やっぱり3人組でしましょう」と先生が意見を覆すのは、アウトです。そこで子供との信頼関係は一気に崩れます。自分で信頼関係を崩すことやめましょう。
あるとき、私は3人組で次もいきたいと考えていましたが、「4人班の方がもっと話し合うことができそう」「ペアでの活動もすぐにできる」などの理由から4人組の机配置が良いという結論に至りました。
でも、私は4人組にする不安がありました。それを正直に、子供たちに伝えました。すると、子供たちにも「おしゃべりをしたらどうしよう」など子供たちの中に4人組にする不安もありました。その不安を解消するために「班リーダー」を設けようという提案もあったときもあります。
このときはこの後もずっと4人組のままでした。おしゃべりをしてしまうこともありました。大切なことは、次の席替えで話し合いをさせるときには、必ずふりかえりを行うことです。
そうすると、子供たちはその反省を次の席替えで活かそうとなります。
話が逸れているように思うかもしれませんが、手をあげることも「自分事」でないといけないのです。
樋口 万太郎(ひぐち まんたろう)
京都教育大学附属桃山小学校
みんなが「わかる」「できる」、そして「楽しい」授業を目指し、目の前にいる子に応じた指導を行っています。キーワード「学級経営」「算数」「タブレット端末」。
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