どの子も手を挙げることができるようになるワザ!〜そもそも論〜(①)
「私のクラス、子供達が発表のときに全然手を挙げてくれないんです」
と言う悩みを最近よく聞きます。
京都教育大学付属桃山小学校 樋口 万太郎
「私のクラス、子供達が発表のときに全然手を挙げてくれないんです」
という悩みを最近よく聞きます。新しいクラスがスタートして、約3ヶ月。授業の方はいかがでしょうか。順調にいっていることもあれば、上記をはじめ、悩みも出始めてくる時期ではないでしょうか。
この「悩みが出てくる」ということは、実はいいことなんです。「悩みが出てくる」ということは、改善しようと思う意思表示、改善する余地があると考えています。
ここではっきりさせたいことがあります。厳しいことを言いますが、4月・5月であれば、前の担任の責任かもしれませんが、もう7月です。今の時期に手を挙げないのであれば、それは担任であるあなたの責任かもしれません。
今回の「私のクラス、子供達が発表のときに全然手を挙げてくれないんです」という悩み、実は子供達が手を挙げることへの拒否反応なのかもしれません。どうしても受け入れることができないのかもしれません。
「え!?拒否反応?受け入れることができない?そんなの気にする必要あるの!?」と、もし読まれていて思ったのなから、はっきり言って危険です。最近、よく言われる「思考停止」状態です。そういう思いを子供達は読み取り、拒否反応があるのかもしれません。
そもそも、どうして手を挙げて発表しないといけないのでしょうか。子どもたちが全員手を挙げられるようになることに何の意味があるのでしょうか。
「そんなのあたりまえでしょ」
と思われることが実は一番危険です。上と同じです。「思考停止」状態です。みなさんはどうして「手を挙げて発表しないといけない」と考えていますか?
矛盾する話を今からします。私は自分の考えを全体の場で手を挙げて発表することが全てではないと考えています。大人でもそうですが、全体の場で発表することが苦手な方がいます。
だからと言って、そういう人が自分の考えを表現することが苦手ということになりません。レポートなどにまとめたりと、自分の考えを表現することは他の機会にもあります。手を挙げているからといって、内容を完璧に理解しているとは限らないし、手を挙げている人が絶対的な存在でもありません。
別に手を挙げなくても、様々な方法で自分の考えを表現できるのなら、それでいいのではないかと思うこともあります。
今年度の、樋口学級をみていると4月はそのような思いでいっぱいでした。表現ができない子たちではありません。2、3人のグループだとしっかりと自分の考えを相手に伝え、考えを練り上げることができるのです。
これまでで1番そういった力がついている子たちでした。しかし、授業では手を挙げてほしい。そして、社会に出たとき、人前で話をしないといけない機会はたくさんあります。会議などで自分の考えを伝えるには手を挙げないといけません。
いくら、zoomやSkypeなどのオンラインで会議が増えてこようが、それは関係ないことではないでしょうか。今回のタイトルが「どの子も手を挙げることができるようになるワザ!」としておきながら、具体的なワザについては書いていません。
次回からは具体的なワザについて書いていきます。ただ、どの子も手を挙げることができるようになるワザは授業全体でたくさん使われているワザの一部です。
樋口 万太郎(ひぐち まんたろう)
京都教育大学附属桃山小学校
みんなが「わかる」「できる」、そして「楽しい」授業を目指し、目の前にいる子に応じた指導を行っています。キーワード「学級経営」「算数」「タブレット端末」。
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