どの子も手を挙げることができるようになるワザ!〜自信度挙手〜(②)
「私のクラス、子供達が発表のときに全然手を挙げてくれないんです」と言う悩みを最近よく聞きます。
京都教育大学付属桃山小学校 樋口 万太郎
前回の続きです。
7月上旬に行われた参観授業では、常に「手が挙がっている」状態でした。4月に行われた参観授業との変化にお家の方も驚かれたのではないでしょうか。というのも、4月の参観授業では手を挙げる子が限られており、手を挙げる回数もとても少なかったのです。様々な事情がそれぞれの子達にあったのです。
「1学期を振り返って」というテーマで振り返りを書かせたとき、「挙手」について書いている子が多くいました。
- 1日88回も挙手することができた喜び
- 挙手することでどの学習にも進んで取り組めるようになったこと
- 以前は「挙手」することが重要だと思っていなかった
- 挙手によって、周りの人がどのような立場になっているかがわかること
などが書かれていました。4月当初の子供達の様子をみていると、このような姿になるとは思っておらず、子供達が本当に頑張ったのだと感動しています。
ある子が、「先生のおかげで~」と書いている子がいました。しかし、私は頑張った子供達が素晴らしいと思っています。「環境」は整えたかもしれませんが、その中で頑張ったのは子供達ですから。
では、どうしてここまで変わったのでしょうか。子供達の様子を振り返ってみると、
- 「自信度挙手」
- 「挙手を付箋により可視化」
- 「相互指名を多く取り入れる」
- 「『発表しよう』ではなく『お話しよう』と言う」
- 「子供の考えを否定しない」
- 「答えあわせをする時に、基本的にはいいです・違いますをやめた」
- 「ペア活動の取り入れ方」
- 「座席配置」
などが挙げられるでしょうか。
これからの連載では、これらのことについて書いていこうと思います。書いている途中で思い出したら、さらに追加していこうと思います。
さて、今回は「自信度挙手」についてです。
「自信度挙手」とは、自分の考えの自信度を指の本数で表しながら、手を挙げるというものです。通常の挙手は、パーで挙げますが、指の本数で上げるのです。
0本(グーの状態)・・・自信が全くない
1本・・・ほぼ自信なし
2本(チョキの状態)・・・あまり自信なし
3本・・・普通
4本・・・まぁまぁ自信がある
5本(パーの状態)・・・絶対的な自信がある
ここで大切なのが、指の本数が3本以下の子供達は“基本的に”指名されないというルールです。そうすることで、どの子も挙手することができるようになります。
“基本的に“としているのは、「0でも指名される」場合があるということです。指名される場合は、机間巡視をしているときに「しっかりと考えることができている」ことを発見したときです。ただ、最初の頃は指名したとしても、「挑戦してみない?」と聞いたりもします。
自信度の低い子を指名するときは、そのくらい慎重に取り組んでいます。
グーをあげるということは、「考え方に自信がない」「挙手するはずかしさ」という要因が考えられます。そういった要因を揉みほぐしていく必要があります。
(次回へ続く)
樋口 万太郎(ひぐち まんたろう)
京都教育大学附属桃山小学校
みんなが「わかる」「できる」、そして「楽しい」授業を目指し、目の前にいる子に応じた指導を行っています。キーワード「学級経営」「算数」「タブレット端末」。
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