2022.07.16
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学びの場.comが道を拓く

2010年の今頃の季節だったかもしれません。何か新しいことを始めたい、できれば物書きをしてみたいという長年の思いが引き寄せたのか、学びの場.comの教育つれづれ日誌の執筆者募集に応募することにしました。

特定非営利活動法人TISEC 理事 荒畑 美貴子

教育つれづれ日誌との出会い

その後、偶然に見つけた応募先のことも、そもそも応募したことさえ忘れてしまっていたのですが、秋に入ったころ連絡が入り、月に2回執筆させていただくことになりました。

そしてそれがきっかけとなり、間もなく、当時の編集長から授業を取材させてほしいという連絡も入りました。嬉しいやら驚くやらという気持ちでドキドキしたものの、早速お引き受けすることにしました。ただ困ったのは、どんな授業をお見せするかということです。

私は小学校の教員免許はありましたが、これといって専門の教科を持ち合わせていなかったのです。ですから、国語とか算数の授業を取材していただいたところで、お役に立てるような授業ができないことを、自分自身が最もよく知っていました。

ソーシャルスキルトレーニングの授業実践リポート

そこで、八王子市の教員の研究会に所属していた際に、東京学芸大学の小林正幸先生に教えていただいた、ソーシャルスキルトレーニングを元にした授業を行うことにしました。それならば、一度授業を見せてもらっているのでイメージはありますし、取り組んでいる先生たちも少なかったので、意味のある授業になると考えました。そして、その授業実践リポートが、その後に続くご縁のきっかけとなっていったのです。

まず、光村図書出版からオファーがあり、当時はまだ教科となっていなかった道徳科の副読本の編集に携わることになりました。依頼内容は、ソーシャルスキルに関するものでした。それから、明治図書出版の道徳や学活、学級経営に関する教育誌の執筆をさせていただくことになりました。そして、今日に至るまで、小学館や音楽の友社でも、ソーシャルスキルに関連した内容の原稿を書かせていただく機会を得ました。

『あそびを通して身につく!小学校 ソーシャルスキルミニアクティビティ』

話は逸れますが、私はスティーブ・ジョブズのスタンフォード大学でのスピーチを忘れたことはありません。人生の中で経験する点と点はいずれ線となり、面となっていくという話です。若いころに、なぜこんなことをやっているのだろうと思ったこと、年を経て経験したことなどは、本人の血となり肉となって、いつかは繋がり合い意味のあるものになるのだろうと思います。

私は本当に幸せなことに、今回それを、身をもって経験することとなりました。ソーシャルスキルについて書かせていただき、研究を続けた結果が一冊の本になったのです。『あそびを通して身につく!小学校 ソーシャルスキルミニアクティビティ』です。

ソーシャルスキルアクティビティは、トレーニングとは異なり遊び重視の視点からスキルアップを図っていこうとする意図で命名しました。遊びこそがスキルを磨く原点だと考えているからです。

また、前述したように、専門とする教科をもっていなかったとはいえ、私は学生時代からシュタイナー教育の研究を続けていましたし、卒論を指導してくださった先生からはコダーイシステムについて厳しい指導を受けてきました。加えて発達障害の子どもたちにかかわってきた豊富な経験もあります。
それらの学びを全て投入する形で考えた、70のアクティビティをご紹介しています。ぜひ、手に取っていただき、普段の学校生活の中で行っていっていただければと思います。よろしくお願いします。

最後に、これまでかかわってくださった関係者の皆様に、この場をお借りして感謝の気持ちを伝えたいと思います。誠にありがとうございました。私はこれからも、若い先生たちのため、子どもたちのために、頑張っていこうと思います。

荒畑 美貴子(あらはた みきこ)

特定非営利活動法人TISEC 理事
NPO法人を立ち上げ、若手教師の育成と、発達障害などを抱えている子どもたちの支援を行っています。http://www.tisec-yunagi.com

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