2018.11.12
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学校における働き方改革と部活動(3)

旭川市立大学短期大学部 准教授 赤堀 達也

今回も、第1回・第2回に引き続き、部活動について述べていきます。今回はスポーツ庁が求めている新しい部活動の姿について、詳しくみていきたいと思います。

スポーツ庁により、平成30年3月に「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」が制定されました。これにより、部活動はこれまで多くの人達が行ってきたものと変わることになります。大きなポイントをあげてみます。

①休養日は週2日(平日で1日・土日で1日)とする
②練習時間は平日2時間、土日3時間までとする。
③オフシーズンを設ける
④活動計画等をホームページにアップしてチェックする。
⑤部活動指導員(外部コーチ)を積極的に配置する
⑥地域のスポーツ団体と協働・融合した形で連携して活動する
⑦公式戦に複数校合同チームやクラブチームの参加を認めていく

何年か前に同じように部活動改革の流れがあり、それは上手く行かず、になあなあになってしまいましたが、④の項目があるところを見ると、「今度こそは!」という思いを感じます。

②の練習時間について、スポーツ庁が平成29年5月に出した「運動部活動の現状について」に記載されている事項を表にしてみました。

平日の練習時間については、現在ある日没にあわせて設定されている完全下校時刻があるため、練習時間を伸ばしようがありません。この②がどういう意味なのかによって大きく変わるように思います。
強化している私学や、完全下校時刻を決めている市町村に向けての「長く活動しすぎるな」との単なる警告だけでしょうか?それとも「やる時はやる、休む時は休む」という意味で完全下校時刻を見直すということでしょうか?もし後者の意味の一文だとしたら、冬場15分だけといった意味があるのかわからない活動時間や、早い時間だと来ることができない外部コーチに合わせた活動時間(途中から指導)が改善できることになり、外部コーチを積極的採用する効果が上がるとともに、①と合わせて「やる時はやる、休む時は休む」のメリハリのある活動につながるように思います。

⑥はとてもいいアイデアだと思います。特に「協働・融合」の言葉は大切な言葉であるともに革新的であると思います。このような改革を進め、スポーツクラブ等と部活動を融合させることで、技術力や競技レベルを上げていきたい気持ちが込められています。やりたい子はたくさんできる、そこまででない子は他の可能性を探ることもできるといった多様性あるものになっていると思います。「スポーツクラブのコーチ=外部コーチ」ならこの上なくいいと思います。

⑦についても、人数が少なくてチームを組めないところもあります。今後、多様性が進むにつれ、所属人数はたくさんいて練習の人数は困らないものの、メイン活動は別になり、土日はそちらの大会で来られない選手が多数いるといったようなケースも増えてくると予想されます。このようなこともとても大切なことでとても配慮が行き届いていると思います。ただ、これを逆手に取るケースが考えられるので注意が必要です。

まとめると「週5日は部活動として行い、週2日は休養日として社会での自由な活動とする。その中で部活動を行いたい人については、学校ではなくスポーツクラブで行う」ことが今後の新しい部活動の姿となるということです。


ただ、避けては通れない問題がいくつかあります。
・顧問も指導ができ、外部コーチ・スポーツクラブのコーチもいる場合
・強化している私学
・これまでトップレベルで指導を行ってきた教員のいるチーム
・部活動指導を行いたい教員
・とにかく勝ちたいチームが出てきた場合(複数校)
前回の部活動改革の流れでも、ここについては同じように問題になっていたはずです。
次回はこれらについて述べていきます。

赤堀 達也(あかほり たつや)

旭川市立大学短期大学部 准教授・北海道教育大学旭川校女子バスケットボールヘッドコーチ
これまで幼児・小学生・中学生・高校生・大学生と全年代の体育・スポーツ・部活動指導してきた経験から、子どもの神経に着目したスポーツパフォーマンス向上を図る研究を行う。

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