2023.06.02
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未来の学校

教員不足や教師のプラック化など、これからの教育を考えると心配事が絶えない。どれだけGIGAスクール構想が進もうとも、教師という仕事がなくなることはないと思う。そこでこれからの教育を担う大学生に未来の学校像を考えさせてみた。現在ある枠組みにとらわれず、自由な発想でいいからということで考えさせた。そこには、未来の学校の在り方を考えるヒントも含まれている。2025年には大阪で万国博覧会が開催される予定である。教育関係のパビリオンは開かれないものだろうか。

大阪大谷大学 教育学部 教授 今宮 信吾

私立中等教育学校を創る

思い切った方針が打ち出せるようにと、「私立の中等教育学校を構想してみよう」という課題を学生たちに出した。中等教育学校にしたのは、探究学習が取り入れられないだろうかという思いからである。
少人数の授業であったため、二つのグループに分かれておこなった。予算的な措置は度外視して、とにかく理想の学校を創って、そこに多くの人が集まるようなプレゼンテーションを考えてほしいということで話し合わせた。イメージマップを使って、三つぐらいの提案ができるようにという方針で考えさせた。

不登校専門の学校

不登校専門の学校(ワークシート)

「授業開始時間をフレキシブルにする」「イベントを自分たちで自由に決める」「机と椅子がない」「服装・頭髪は自由」「校内のカフェテリアを学生が運営する」「様々な活動がポイント制でそのポイントを校内で使える。」など、今の学校にもできそうなことを考えていた。
不登校が増えているので、私学としてそう言う学校を創ることは必要であるという考えのもとに構想していた。

最先端技術の学校

最先端を利用する(ワークシート)

「最先端の機器が使われる」「服装を選ぶことができる」「好きな分野を探究することができる」「校舎が綺麗」「昼寝が1時間ある」など、やはり楽しさや自由さを求めた学校を構想していた。
そこで私から「GIGAスクール構想が進み、技術的にはより素晴らしい機器が導入されるだろうが、逆にレトロ感を売りにすることはどうかな。そういう施設も世間ではできているし、昭和ブームだし」と言うと、「最先端の中に一部だけ昔の不便な生活が体験できる場所があってもいいな。比較できるので」ということに落ち着いた。これから教師をめざす学生たちに夢のある学校とやりがいのある仕事を考える場は必要ではないだろうか。

大阪万博で教育館を

2025年を目処にして万国博覧会が計画されている。不況や建設費の高騰、国際情勢など様々な要因で参加団体を集めるのに苦労していると聞く。今こそ、教科書会社や教材会社がタッグを組んで万博で「未来の学校、未来の教育」を示し、語れる場を提供すべきではないだろうか。教員不足や少子化など明るくない未来が予想されている。教師の働きがいは、夢を語れることだと思う。世の中がどれだけ暗い情勢になろうとも、教師だけは前を向いて、「君たちには明るい未来が待っている」と伝えることが必要ではないだろうか。企業やその他の団体の皆様本気で「未来教育館」を創りませんか。

今宮 信吾(いまみや しんご)

大阪大谷大学 教育学部 教授


国公私立の小学校で教員を経験し、現在未来の教師を育てるために教員養成に携わっています。国語教育を核として、学級づくり、道徳教育など校内研究にも携わらせていただいております。ことば学びのできる教師と学校づくりを目指しております。

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