2016.12.21
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教師力アップのために......(1)

いよいよ2学期がもうすぐ終わる頃でしょうか。
2学期は,どんな感想をおもちですか。
単純に,先生自身は,楽しむことができましたか。
難しいことは,おいておいて......。
楽しむことができていたら,まずは,OKなんではないでしょうか。
今回は,教師の必要な能力について考えます。
教師力アップのために......
求められている3つのことを綴ってみます。

こちらも,関連します。連載設定はできないみたいですが......
https://www.manabinoba.com/tsurezure/21312.html

兵庫県神戸市立桜の宮小学校 特別支援教育士スーパーバイザー(S.E.N.S-SV) 関田 聖和

教師として最低限の必要な能力とは……

ここ3年前ぐらいから,
私の頭の中は,ある言葉でいっぱいになってきています。
それは,

教師として最低限の必要な能力

教師に必要な能力とは,なんだろうか,ということです。

そこで,「教師」「必要な能力」のキーワードで検索を
してみると,一番目にヒットしたのは,文科省のサイトである
初等中等教育部会の配付資料

1.これからの社会と教員に求められる資質能力
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/attach/1346376.htm
でした。

平成9年の教育職員養成審議会(以下「教養審」という。)
第一次答申等では,

1.いつの時代にも求められる資質能力
2.今後特に求められる資質能力
3.得意分野を持つ個性豊かな教員

と記されています。

3.については,なんだか安心できそうな内容ですが,1.2.については……。難しいと感じる人もいるのではないでしょうか。

1.いつの時代にも求められる資質能力

文科省のサイトを見てみると,

A.教育者としての使命感

B.人間の成長・発達についての深い理解

C.幼児・児童・生徒に対する教育的愛情

D.教科等に関する専門的知識

E.広く豊かな教養

F.これらを基盤とした実践的指導力等

と書かれています。(箇条書きに加工)
 これらの資質能力については,教師の能力として,当然だ。
と言えるものばかりが並んでいます。いわゆる不易の部分でしょう。
もちろん,個人差は,抜きにして……。

「使命感」と言われると言葉が大きいなと感じてしまうかもしれませんが,大切なことですよね。

「成長・発達」については,特別支援教育が広まっていく中,
じわりじわりと浸透してきているのではないでしょうか。

「愛情」は,直接的なメッセージの場合もあるし,
間接的なメッセージもあります。
何気ない一言が,心に残ったり,ささったり……。
意図的に行いたいものです。

D,Eについては,教科書レベルの学力がないと,
教師をやってはダメだと考えています。
もしそのような教師がいたら,それは,教員免許取得へと
導いた大学側の問題なのかもしれません。

・子どもにも大人にも挨拶ができない。
・小学生が読んだり書いたりする漢字が書けない。
・辞書で調べればわかるのに,言葉の意味を間違って
 教えてしまう。
・かけ算やわり算の筆算が解けない。
・小数,分数の計算をよく間違える。
・子どもの名前と顔を3か月たっても覚えられない。
・授業に息づまると,黒板の方を向いて,黙ってしまう。
・授業を見に行くと,過激に怒る。
・無表情で子どもとかかわるので,子どもが不安になっ
 たり,おびえたりしている。

書き出すときりがないですが……。
これらの学力,つまり教科書に書いていることの知識や
コミュニケーション能力については,最低限必要なのでは
ないかと考えています。

まあ,こんな先生,いないですよね……(苦笑)

2.今後特に求められる資質能力

文科省のサイトを見てみると,

A.地球的視野に立って行動するための資質能力
(地球、国家、人間等に関する適切な理解、豊かな人間性、
 国際社会で必要とされる基本的資質能力)

B.変化の時代を生きる社会人に求められる資質能力
(課題探求能力等に関わるもの、人間関係に関わるもの、
 社会の変化に適応するための知識及び技術)

C.教員の職務から必然的に求められる資質能力
(幼児・児童・生徒や教育の在り方に関する適切な理解、
 教職に対する愛着、誇り、一体感、教科指導、
 生徒指導等のための知識、技能及び態度)


と書かれています。(箇条書きに加工)
なんだか,一気にハードルが上がった感じです(笑)

先日電車内でこのような親子連れの会話を聞きました。
母:「看護師になりたいって言ってるけど,朝も早いし,
   夜勤もあるし,大変よ」
子:「パティシエにしようかなあ」
母:「パティシエも,おいしく作れるまで,
   どれだけの修業がいると思っているの。
   作らせてもらえるまで,長い間の下積みがあるのよ。
   そんなのできるの?」
子:「じゃ,先生かなあ」
母:「そうね,大学には行かないといけないけど,
   すぐに授業もさせてもらえるし,いいんじゃないの」


このやり取りを聞いて,私は,隣の車両に乗り換えました(笑)

お母さん,上記の資質能力がいるんですよ……(苦笑)

3.得意分野を持つ個性豊かな教員

文科省のサイトを見てみると,

A.画一的な教員像を求めることは避け、生涯にわたり
 資質能力の向上を図るという前提

B.全教員に共通に求められる基礎的・基本的な資質能力を
 確保する

C.積極的に各人の得意分野づくりや個性の伸長を図ることが
 大切であること


と書かれています。(箇条書きに加工)

 少し,ほっとしたのは,私だけ……?

生涯にわたって,資質能力の向上を図っていけばいいのか!
(と,都合よく解釈……。)


そして,積極的に得意分野づくりを!とのことです。

私は,教科で言うと,国語と算数の授業の取組が好きです。
これに,ICT機器を使うこと,書かせることをも組み合わせて,
楽しく「楽習」させたいと考えています。

これらを1つの自分の鍛えるべき能力と捉えて,
伸ばしてきました。

ハンカチ理論

若手に次のような話をよくします。

1枚のハンカチがあります。
その四隅をそれぞれの自分能力と考えます。

四隅のうちの1つを持ち上げます。
これを得意分野と考えます。得意分野でなくとも,
つけたい能力としてもいいでしょう。

ここを持ち上げると,当然残りの隅も持ち上がります。

つまりある能力が高まっていくと,
自然と残りの能力も,上がってくるということです。

得意分野を伸ばすことで……

1.いつの時代にも求められる資質能力
は,不易として当然ですが,

2.今後特に求められる資質能力
は,3.得意分野を持つ個性豊かな教員と関連して,

1つの能力を高めていけば,
きっと2も,ついてくるのかもしれません。

そのためには,自分自身に心地の良い負荷をかけて,
教師修業を続けていかないといけないと自戒を込めて,
ここに記します。

本記事の一部のイラストは,
「いらすとや」さんのものです。
http://www.irasutoya.com/

それ以外は,私の同僚に描いてもらってます(笑)

教材・授業開発研究所 in神戸2016冬 blank

月刊「RAKUSHO」1月号

関田 聖和(せきだ きよかず)

兵庫県神戸市立桜の宮小学校 特別支援教育士スーパーバイザー(S.E.N.S-SV)
主な単著:『楽しく学んで国語力アップ!「楽習」授業ネタ&ツール』(明治図書)、『新学期から取り組もう!専手必笑 気になる子への60の手立て』(喜楽研)、『専手必笑!インクルーシブ教育の基礎・基本と学級づくり・授業づくり』(黎明書房)、国語・算数が苦手な子どもへの個別支援プリントシリーズ(全10冊:清風堂)
その他、特別支援教育すきまスキル(明治図書)等共著多数。

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