若い体育主任からの手紙
夏休み中のプール公開が終わった後に、職員室の机に職員全員に向けた若い体育主任からの手紙が置いてありました。
「今年度のプール学習へのご協力ありがとうございました。まず、事故がなく無事に終えられたことが一番の成果だと思います。これは同時に子どもたちの『水場での安全な活動ができる能力』が高まったと言えると思います。先生方の指導の賜物です・・・」
以前の自分自身
この手紙を読んで、若い体育主任から大切なことを教わったような気がします。私自身10年程前まで、勤務校で体育主任を務めていたことがありました。当時は若い先生があまり職場におらず、学校の体育的な行事や取組などにあまり協力してもらえる状態ではありませんでした。特に、小学校の一大イベントである運動会の準備期間になると、「この役割はできない」「主担当はやめてほしい」と言ってくる職員が多く、その役割を他の方に割り振ることができず、私自身が代行することもありました。
また、運動会準備ではどうしても時間通りに作業が終わらないことがあり、勤務時間外にまでかかってしまうこともありました。すると、先生方からおしかりを受けることになるので、残った仕事は私が夕方から一人でやることも多くありました。
しかし、今から思うと、今の学校の若い体育主任のように、きちんと先生方に感謝の気持ちを伝えられていたかと言われたら、心許ないです。残暑厳しい中、通常の授業も行いながら、運動会準備にも取り組んでくださる先生方へ、「ありがとうございます」「おつかれさまです」の一言がきちんと言えていなかったかもしれません。やはり、感謝の気持ちを伝えることはとても大切であると感じました。
教師塾での学びの再認識
私が以前、教師塾でご指導をいただいた原田隆史先生(原田教育研究所所長・元カリスマ体育教師)は、「仕事力は人間力の上に成り立つ」ということをいつも強調されていました。つまり、いくら仕事力を磨いても、人間としての成長がなければ教師として本当に成長することできないということだと思います。このことを、体育主任からの手紙で、改めて認識することができました。
これからに向けて
現在は、体育主任ではなく研修担当という役割をいただき、学校の中でNIE(教育に新聞を)の取組を広めることを目指しています。きっと、今回の気づきはこれからの活動にも役立つと考えています。新聞を使った学習に興味を持ってくださり、実践をしてくださっている先生もいます。まずは、その先生に感謝の気持ちを表すことからスタートしてみたいと思っています。

菊池 健一(きくち けんいち)
さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。
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